[コメント] スパイダーマン(2002/米)
とにかくこのヒーロー、一瞬たりとも隣家の幼なじみの彼女の事を忘れることがない。急に身についた超人的運動能力でイジメっ子を撃退してスカッとしたのも束の間、それを見て眉をひそめた彼女を見て、どう思われたのかを非常に気にしてヘコむ主人公。「ボクも彼女のために車を買うんだ」と賭けプロレスに出場を決意、スケッチブックに衣装案をデッサンする間も脳裏に浮かぶのは彼女、彼女、彼女。もう、見ている方がこっ恥ずかしくてキュンとなるくらい、この主人公は本気で恋している。しかも6つの頃からの片想いは伊達じゃない。
主人公の親友が、裕福だけど何の取り柄もない自分自身にいつも鬱屈し焦りを感じている姿も「お前ら、青春してるな〜」と嬉しくなってしまう。しかしグリーンゴブリンなんかが出てきた日にゃさすがに青春三昧してらんないでしょ…と思いき、主人公の恋心はとまらない。ゴブリンと闘いつつも、その合間にオーディションを受ける彼女を気遣い、恋の相談を受ける。またトビー・マグワイヤがホントに切なそうなイイ表情をする。
サム・ライミは随所にかなりフザケた演出を散りばめているが、それがなぜか悪フザケに見えない。とくに主人公がスパイダーマンの初期の衣装をスケッチブックに次々と考案する場面は、今どき誰もやらないような(ライミ・ファンにはお馴染みの)古典的手法で思わず笑ってしまうが、それでも燃える。「衣装のシンボルは?」「もっとカラフルに!」自分自身にダメ出しする主人公。そして衣装を作りながらも脳裏に浮かぶは彼女の顔、新車、彼女の顔。
プッと吹き出すと同時にガッと燃える。そしてキュンとくる。ライミ初の青春映画は、ライミってちょっと…という人でも十分いける味(のハズ)。これを「スパイダーマン・青春篇」で終わらせず、続編でも彼らの青春模様を追い続けて欲しい。少なくとも自分は次作の敵キャラが何かより、ピーターの片想いのゆくえの方が気になるから。見終わると「青春っていいなぁ…」と思わずしみじみしてしまった。
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