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[コメント] ボウリング・フォー・コロンバイン(2002/カナダ=米)

野球帽かぶったムーア監督の奇妙な風体や、「突撃インタビュー」だけが取上げられて、文字通りアホバカ映画だと思われているかもしれないが、いたって真面目で知性あふれる映画。
ジョー・チップ

ムーア監督の突撃インタビューも、極めて礼節をわきまえたもので、それでいて核心をついた質問、意見をズバズバを矢継ぎ早に畳み掛けていく。その手際は見事。この監督の知性、ガッツは大したものだとわかる。                                           私など、アメリカでこれほど銃による死者がでてるのは、銃が規制されてないからだろ?と考えていたが、そう単純な結論には至らない。なんと隣のカナダでは人口1000万人に対して、700万の銃が出回っていると言う。それでも年間の銃による被害はゼロに等しい。暴力による歴史が長かったから?では50年前のドイツは?日本は?映画は思いつく可能性を冷静に次々とつぶしていく。                                                                               ムーア監督はチャールトン・ヘストンに同じ疑問をぶつける。このシーンがこの映画のハイライトシーンだが、このシーンでヘストンのファンは大変な失望感を味わうかも知れない。彼がライフル協会の会長だからではない(そりゃあ、いろんな立場があるだろう)、大スターの人間性に肉薄したという点でこのシーンは映画史に残るのではないだろうか。                                        ほとんどの国民がおかしい、と内心思いながら誰一人正面切って論議しようとしない、それどころか空気のようにあたりまえと思っている・・・なんとなく日本の天皇制論議に似ていると思った(まあ確かに歴史の重みが全然違うが)。

(評価:★4)

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