[コメント] HERO(2002/中国=香港)
「一度アクション映画を作りたかった」と言うチャン・イーモウは、美しいビジュアルに基づいた美しいアクションを撮りたかったのだろう。この際ストーリーなぞはどうでも良く、「力」ではなく「型」で魅せるアジアの伝統をただただ堪能した。[九段会館 (試写会)]
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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チャン・イーモウ監督は、デビュー作の『紅いコーリャン』から『菊豆』『紅夢』と、ビジュアルに重きを置いた作品を作り続けてきた。本作はその系譜に連なる一本であることは分かりやすいほど明らかであるし、またそもそも撮影監督出身である彼にとって、初のアクション映画がこのように絢爛な作品になるのは当然の帰結ではなかったか。言うなればこれは、最近の作品では強烈な色彩表現から遠ざかっていた監督が「原点に返った」作品であるとも言える。
もっとも『紅いコーリャン』以下の3作ともドラマであったために、強烈な色彩は作品とマッチしてはいなかった。ビジュアルというものは重視すればするほど、ドラマの中で浮いてしまう。つまりビジュアルが映えるのはドラマ性の薄い作品においてであり、その意味で監督がアクションを選んだのは全くもって正解であった。
ちなみにIMDbのTriviaによると、登場人物の衣装の色が「赤→青→白→緑」と変わっていくのは、「想像→知覚現実→真実→悟り」を表しているのだそうです。なるほど。
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