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[コメント] 禁じられた遊び(1952/仏)

エゴイズム
ルミちゃん

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







両親を亡くした幼い少女、その少女が両親の死を理解するまでの姿を通して、人間のエゴを、少し言い換えれば、ミシェルとボーレット、二人の子供の純真な心と対比させ、大人のエゴを描いた映画.

1.冒頭に描かれる戦争のシーン、戦争は人間のエゴによるもの.

2.避難民が先を争い、故障した車を落とす.

3.荷車の夫婦、夫を急かす、荷車の上の妻.

4.仲の悪い、隣り合った二軒の農家.

5.互いに家同士が仲が悪いからと言って、好き合った男女を引き裂こうとする.

6.「順序が逆だと言われた」懴悔に行きながら、この会話を交す男女.

7.霊柩車の十字架を盗んだ懴悔の後、祭壇の十字架を盗もうとしたミシェルはおまけ.

8.ミシェルを騙し、十字架のありかを聞き出した後、ボーレットを警察に引き渡した両親.

ざっと上ただけで、八つほど.

主人公の少女があまりにも幼すぎる、その演技をどう理解して良いか迷いました.けれども、ルネ・クレマンは、子供を含めた、人が、人の死をどの様に受け取るのか、きちんと捉えた上で、この映画を描いているのが分かりました. 大人でも近親者の死、それをきちんと受け止めるのは難しいもの、例えばお酒を飲んで、和らげながら受け止めるものなのです. さて、子供の場合は.それは、この映画に描かれたとおり、最初は全く理解できない、理解しようとしないものなのです.どうするかというと、身近な他の悲しみに置き換える、まず愛犬の死に置き換えました.それを契機に、お祈りを覚え、様々な動物のお墓を作る.それらは、子供の心の中で、両親の死が置き変わったものなのです.

そして、ラストシーン. 「ミシェル、ミシェル」 「ママ、ママ」 「ミシェル、ミシェル・・・・・」 これは、描かれたとおりに受け取るべきだと思います.ミシェルとの別れによって、ボーレットは両親の死を理解したのです. 言い換えれば、幼い子供同士であろうとも、男女の仲を引き裂くこと、そこにある悲しみ、苦しみは、人の死、両親の死による悲しみ、苦しみと同じものなのだ.この映画の主題はここにあると思います.

戦争による死の悲しみも、男女の仲を引き裂く事による悲しみも、同じもの. 戦争は、家族を、あるいは好き合った恋人同士を引き裂く.家同士のエゴで、好き合った男女を引き裂くのも、それは当然、同じことなのね.

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (10 人)けにろん[*] ジェリー[*] ジャイアント白田[*] 甘崎庵[*] ドド[*] tkcrows[*] ロボトミー[*] Osuone.B.Gloss[*] muffler&silencer[消音装置][*] sawa:38[*]

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