[コメント] 少林サッカー(2001/香港)
映画を見終った人むけのレビューです。
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これだよ、これ! これなんだよ俺が見たかったのは。娯楽映画ってのはこうやって作るんだよ。CGってのはこうやって使うんだよ。「やればできる」ってkionaさんのコメントがありましたな。大賛成。日米の能なし監督達共、貴様ら聞いてるか? これだよ、これ! これだよ、これ! 始まった瞬間に当たりを確信したのは何年ぶりだろうか。
この映画を一言でいうと何か? 「超ド級サッカーエンターテインメント」? コピーとしては最適だが模範解答ではない。「少林拳とサッカーの融合」? 少林拳はそうだが別にサッカーである必要はない。「何気にあの女の子に惚れた?」 すいません独り言です。 「キャプテン翼」? 甘いな。それは重要なネタの一つ、言わばきっかけに過ぎん。 ・・・・「漫画を実写にしちゃいました!」 なに? そこのキミ、キミだよ君、今なんと言った? そうだ、それだぁぁ! ずばり漫画だ!!
え、なに? 別に普通じゃん? なぁにを言っとるかこのファック野郎!(トダ先生、御言葉を拝借) その普通の事をやってのけた映画が今まで何本あった? 漫画ってのはな、最高級の娯楽なんだよ。昨今のハリウッド映画なんて昔のジャンプでも読んでた方がよっぽどマシ。
俺たち日本人がずっとハリウッド大作CG映画に期待してたこと、それは漫画を実写でやること。「漫画でしか表現できない動き」を武器にして多くの傑作漫画が生まれた。その漫画でしか表現できない動きを実写でやる。夢だ。ずっと夢見てきた。本来なら五年は前にかなうべきだった夢。ありがとう香港。君か、君がやってくれたのか。『マトリックス』という優れた先輩を経て、ついに開き直った。「漫画的な動きを取り入れた映画って面白いな・・・だったら全部漫画にしちゃおうぜ!」 イヤァ! レッツ、シンチー♪ 漫画の映像とノリの両面から実写化する事で、もう一歩踏み込んだ漫画映画を生み出すことに成功してしまったのだ。合掌。
しかも何だアレは。微妙に予算ギリギリでCGケチり気味じゃねえのか、ひょっとして。そんな間抜けな点さえ「こういう味付けだ、文句あるかこのやろう」ぐらいの勢いで押し切ってしまう、あのパワー。完成度なんていう言葉をあざ笑うかのような、あのパワー。なんてぇ野郎だ。
確かに、確かにこの映画のギャグはそれ程凄いセンスのネタではない。サムイという言い方もある。むしろそれこそがこの一本の映画を一作の漫画たらしめる要因である。それはお約束。みんなが大好きお約束。お約束こそみんなの味方。世界はお約束さえあれば幸せなのだ。お約束からもたらされる安心感が生み出すパワーを侮ってはいけない。独り善がりのハイセンスなど(たまにしか)必要ない。この場面場面こまめにお約束で進行するノリもマンガパワーの一つ。お約束とわかっていても、わかっているからこそ楽しめる。つまり最高ってこと。寒いネタをも温めるこの熱気よ。
そしてラスト、奴の物凄い蹴りで決着がつく事は、もはやお約束の域を超えて至上命令となった。そこで俺を待っていたのは・・・ああああ。
ジワァァァァァ・・・ 癒された。包み込まれるようなこの温もり。ていうか恍惚感。どんなに凶暴な力も美しき女子(オナゴ)の優しさの前には無力なのだ。お約束はお約束でもそう来たか。意外なんだけど、意外なんだけど、でもやっぱりお約束。女子の優しさのぎっしり詰まったこの「愛のパス」(バレーで言えば愛のトス)、受け取って!! お前の気持ちはしかと受け止めたぁ、(今度こそ、待ってました!) くらえ必殺シュート、もしくはハリケーンミキサァーーーーー!!!
この映画が、コンプレックスを持つ女の子を馬鹿にしすぎなのは、あんな可憐な女子に特殊メイクでブス役やらしてしまった大罪は、何卒この私に免じて、バッファローマンの1000万パワーで吹き飛ばしていただきたい。何卒。
終わりです。
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