作品がある以上、そこには作意が必ず存在するはずである、それがドキュメンタリーだとしても。事実を公平に紹介するのがドキュメンタリーの使命ではない（捏造はダメだけどね）。記録したフィルムのどれを使うかという取捨選択の時点で作意はあるはずだし。

　被写体に何らかのシンパシーがあるからこそドキュメンタリーを作るのであって、観客にも同じものを感じてほしい、または問題提起をしたいというような作意がないのなら、ドキュメンタリーを作る意味はないと思う。

　そういう意味でこの作品は立派なドキュメンタリーである。ただ方法論的にあまり例がないだけなのだろうと思う。編集に次ぐ編集でできあがった映像、徹底した個人批判など。大統領なり国家という大きな相手だからこそ成立した映画とも言える。

　ただ、同じ映像だけを使って再編集し、ナレーションを変えたら、親ブッシュのドキュメンタリーもできるはず。誰かやってくれないかなぁ。ホワイトハウスがプロデュースして泥仕合にでもなったら盛り上がると思うんだけど。