★3 | 軍旗はためく下に(1972/日) | フレームに拘泥しない深作の演出技法が現代パートのドキュメンタリータッチに即応しており寒々とした寂寥が非情を際だたせる。しかし、過去に遡った戦場シーンでは一転ステロタイプな形骸に堕した。これは逆でも面白かったかもだがやっぱダメな気もする。 | [投票] |
★4 | 鉄コン筋クリート(2006/日) | 悉く巧いのだが新たな次元を切り開いたかというとそうでもない。多くの既視感のある表現をリミックスした世界が結果行き着くのは善悪論のシンプルなテーゼでしかないのだが、落とし所の補完が共生を訴え、だからこそかなりに胸を打つ。 | [投票(3)] |
★2 | 幻魔大戦(1983/日) | 初期限定で平井和正を信奉することに吝かではなく石森のアプローチも同線上に沿ったもの。つまり異形のものの越境を経た孤絶感。しかし、大友は浪花節を拒否して無機的な別次元を志向する。りんたろう如きに巨頭達の采配が適うはずもない。 | [投票] |
★5 | 風の谷のナウシカ(1984/日) | 地政学的広がりと歴史的時間軸を精緻に設定して巨大なクロニクルの一端を垣間見たようなロマンティシズムが発生。清冽な風吹く空と澱む腐海の高低差の表現とそこを縦横に飛翔するダイナミズム。ナウシカの無為と余りに人間的な脇役陣。対比は須らく成功した。 | [投票(3)] |
★4 | スカイ・クロラ(2008/日) | 虚無的な無限連鎖の頽廃に刹那なクサナギも彼岸と此岸を往還するに従順で無機的なカンナミも、棒読み台詞のみでは表現としてはこっ恥ずかしいまでに青過ぎる。一方で陽光下での多くの飛翔や戦闘のシーンの完璧なる美しさ。歪なまで相反性は悪魔的とも言える。 | [投票(3)] |
★5 | ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破(2009/日) | 新キャラで幕開け渦中に置かれる混迷が心地良い。陽性アスカの加入もあり内省的ダウナー世界が一気に拡張。矢継ぎ早のファクター投入で螺旋状に深耕されゆくかに見えた物語は終盤でシンジ・綾波の極私世界に収斂してしまう。それを最開放する昭和歌謡の朗詠。 | [投票(1)] |
★5 | 夜は短し歩けよ乙女(2017/日) | 独り好き女子を好きになった奥手男というオタク設定は、2人を狂言回しにして古今が融解する京都で虚実が錯綜する文学の裏表に塗され止め処なく拡散していく。その奇矯なイメージの奔流が何時しか2人の情動に作用する。憑物が落ちたような最後のピュアネス。 | [投票(2)] |