★4 | 奇跡(2011/日) | 色々悩みつつも生きていく諦観とも言うべき境地。仄かに暖かい3世代の群像スケッチは稀有な高みを感じさせる。見続けたい停滞を振り切り疾走に移る後半に行き着くクライマックスのケレンの無さ。それも味とは思うが無為を活かす奥のもう1手が欲しかった。 | [投票(2)] |
★4 | 終わった人(2018/日) | 卒婚なんてほざけるのも恵まれた団塊世代で終わりだとは思うのだが、それでも噛んで含んで歩み寄る人生ってのはあるわけで、そういうスローライフもありなむと思える歳なわけで俺も、さすれば債務保証も浮気もどうでもいいやんのええ加減なネタ放置も許せる。 | [投票(1)] |
★4 | 海よりもまだ深く(2016/日) | 母息子とか嫁姑といった家族間の感情の機微や軋轢を細緻リアリズムを折に触れ挿入し描くという点に於いて最早名人芸の域に達している。ただ名人芸すぎて観る側のハードルも上がっちまうのだ。本当の痛さや本当の苦しさ未満の世界に安寧に耽溺してるのは危険。 | [投票(6)] |
★5 | 海街diary(2015/日) | 姉妹間だけではなく他者との関係性の変容を「空気」だけに最大限の演出を注ぎ込んで緩やかに慈しむかのように描いた工芸品。3度の葬儀と法事が編年のメリハリを付与する構成が高度に小説的だ。想定外の4人の良さだが「穢れ」を滲み出させる大竹は弩級。 | [投票(7)] |
★5 | そして父になる(2013/日) | 1人の父親の子どもとの或いは社会との親和性の喪失と再構築の物語で、極限化された快楽システムに疑問を呈し、時には自壊する必要性を問うている。それだから終盤の父子の移動シーンは複層的に涙なしには見れない。ショットはアルメンドロス的に怜悧。 | [投票(2)] |
★5 | ディア・ドクター(2009/日) | 決して新味のある話でもないのだが、時制の支配力とでも言うべき構成の説得性と、行間の描き込みの緩みの無さ。畢竟、物語の上澄みではなく総体のボリュームが浮上する。ロジカルセンテンスで浮かび上がるトリックスターってのも新しい。 | [投票(5)] |
★4 | 怪物(2023/日) | 前段の誰が加害者で被害者なのかを問う羅生門叙法が後段の展開に全く寄与しないし、過度に恣意的なキャラ変や掴みきれない底浅キャラたち。そのプラスチックなワールドから2人だけの真実の世界へと全ては放逐されて飛翔する。帳尻なんて最早どうでもいい。 | [投票(4)] |
★3 | どこまでもいこう(1999/日) | 少年時代は大抵の事に落とし前をつけられないままに、どんどん時間が過ぎていってしまうもので、リアルと言えばそうなのかも知れぬが、たとえ虚構だと言われるにせよ映画は矢張り落とし前をつけて欲しい。唐突なハッピーエンドで全てが過ぎ去るのでは軽すぎ。 | [投票(2)] |
★4 | 誰も知らない(2004/日) | 全面的自己犠牲を自らに課さぬからと言って、この母親も父親達も全否定は出来ない。かと言って子供達を救済出来ぬシステムにも所詮限界があるのだ。是枝の事実認識は正しいし題材選択の意義も認める。しかし、歪みを是正する糸口をこそ提示すべきだろう。 | [投票(2)] |
★4 | 銀の匙 Silver Spoon(2013/日) | 今更ながらの泰平なニッチ業界少年成長譚なのだが、ヘタに周防や矢口の先駆者に並ぼうとせず、寧ろ上島などの緩い廉価品再生に活路を見出したのに好感を持つ。翔・力の対峙に至っては賞味期限過ぎの腐りかけ豚肉の熟成的芳香をさえ放つ。 | [投票] |
★4 | 万引き家族(2018/日) | 子供虐待時代の受け皿が社会システムからの逸脱者コミュニティってのは殊更目新しくもないが演出と演者の付与するリアリズムが圧倒的なので形骸化しない。素麺シークェンスの暑さと見せブラと裸体と驟雨の連鎖。過去が照射される拘置所のさくらの慈母性。 | [投票(3)] |
★5 | ホットギミック ガールミーツボーイ(2019/日) | 地味女子の妄想譚的な四角関係を理数系の合理性で処理したような幾何学的な美しさがあり、それはロケーション選定やカットの断片組成にも及ぶ。主体性ゼロの流され続ける主人公を触媒とし男たちは変容する。祝祭的な帰結が山戸流の全肯定なエールなのだ。 | [投票(2)] |
★4 | 溺れるナイフ(2016/日) | 泳ぐ彼に彼女が出会うリアクションショット無き常識破りモンタージュの粗削り感。神話世界を絡ませ強引に独走するが急速に凡化し堕ちた虚像の下世話な価値観さえ突き詰められない。それでも尚ゴリゴリ演出は今後注目すべき。小松はマグロ女の印象を払拭。 | [投票(4)] |
★5 | 永い言い訳(2016/日) | 妻の死で人生の形骸が顕現し間隙を埋めるべく敬遠区に踏み込むが簡単にいく訳ない。だが1周回り行き着く境地は足掻かぬ人生では勝ち取れないとしみじみ詠嘆し映画は閉じる。偏屈な人間愛。山道を登るバスの黄泉への誘いや携帯録音声の対照。技法は冴え亘る。 | [投票(2)] |