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さんのあらすじ: 点数順

★4新選組(1937/日)慶応四年、鳥羽伏見に敗れた新選組は波濤のなかを東へ向かう軍艦上にあった。二百を越えた隊士も今は四十五名。近藤(河原崎長十郎)・土方(中村翫右衛門)の憂愁も深い。最後の決戦を望んで京におけるすべてを、女達をも捨ててきた彼らだった。しかし江戸に着くと形勢は一変している。焦りをつのらせる彼らにやがて甲州鎮撫の命が下る。上様のお言葉と勝安房は言い、信じた近藤は感激して出陣する。その実、それは「大人達」による体のいい厄介払いなのだった…。その頃、肺を病んで植木屋の離れに療養中の沖田(嵐芳三郎)は『百人も斬ったのにまだ血を吸いたいと泣くのです』と傍らの刀を見やって明るく笑っていた。[白黒73分][投票]
★4兄いもうと(1936/日)日盛りの多摩川で護岸工事に汗を流す人足達。しかし親方の赤座(小杉義男)は何やら機嫌が悪い。娘のもん(竹久千恵子)が奉公先から身重で戻ってきているのだ。しかも相手の男は行方も知れないという。そのもんが家でうたた寝をしていると兄の伊之(丸山定夫)が帰ってくる。彼は母(英百合子)や下の妹のさん(堀越節子)の止めるのもきかず、これでもかと冷酷な言葉を浴びせ妹を泣かせるのだった…。やがて季節が一巡りした頃、小畑という若い男が訪ねてくる。赤座の応対は意外にも穏やかなものだったが、伊之は目の色を変える…。田園を舞台に描かれる兄妹愛と幻滅。戦後、二度にわたってリメイクされた佳品。[白黒60分][投票]
★4ダントン(1982/仏=ポーランド=独)1793年、恐怖政治の嵐吹き荒れるパリへダントン(ジェラール・ドパルデュー)が帰ってくる。熱狂する市民をロベスピエール(ボイチェフ・プショニアック)が窓から見下ろしている。革命を指導する公安委員会とダントン一派の激突はもはや必至だった。しかしロベスピエールは動かない。彼は深い懐疑と恐怖に囚われていたのだ。そしてそれはダントンも同様だった。最後の和解を賭けて二人はホテルの一室で対決する。かたや人生を愛する享楽家、かたや高潔な理想家、かつての同志は昼と夜ほども違うのだった。革命の論理は再び流血の供物を欲していた。断頭台は意思ある生き物のように人々の頭上に高く聳え立つのだった…。[カラー136分][投票]
★4ひとりで生きる(1992/仏=露)極東ロシアの炭坑町。過酷な外界に住民の心はとうに朽ち果てている。ワレルカ(パーベル・ナザーロフ)は十五歳になったが家でも学校でも孤立している。飼っていた豚がつぶされ、その悲鳴が耳について離れない。いじめの蔓延している学校は校長とモメて退学になる。死んだ幼馴染の妹ワーリャ(ディナーラ・ドルカーロワ)だけは「あんたが姉さんを死なせた。悪党!」と言いつつ彼を好いてくれる。だがどの道彼の居場所はないのだった。拘留されていた日本人達も帰国するらしい。ある日彼は船に乗ってアムール河を遡る…。第二次大戦直後の「収容所群島」と化した世相に生きる子供達を描いた『動くな、死ね、甦れ!』の続編。[カラー97分][投票]
★4マラドーナ(2008/スペイン=仏)『マラドーナはやることなすこと失敗ばかりの主人公だ』―魔法の左足でW杯史上最高のゴールを決め、手でも決め、ブッシュとエリザベス女王とFIFAと資本主義を罵倒し、カストロとチェ・ゲバラに忠誠を誓い、肥満体になり、コカイン中毒で死にかけ、バラエティ番組で司会をし、デモで演説し、踊り、歌い、自分が何なのかわからないと呟くマラドーナ。サッカー界のセックス・ピストルズ?生まれる時代を間違えた革命家?いや、マラドーナとは宗教なのだ。戦争や貧困にとともに生きる人々の苦悩が生み出した聖像なのだ。その奇跡と転落と救済と恩寵をノー・スモーキング・オーケストラ他の音楽に乗せてクストリッツァが描く。[カラー95分][投票]
★4パリ・オペラ座のすべて(2009/仏)世界最高級のバレエ団パリ・オペラ座を84日間に及び取材したドキュメンタリー。150名以上のダンサーとその最高位エトワール・芸術監督・振付師・音楽・衣裳・メイキャップ・美術・照明・事務職から掃除夫まで1500名のスタッフ。修道僧の精神とボクサーの肉体。繰り返される厳しい鍛錬。ダンサー達の激しい息遣い。42歳での定年(国家公務員なのだ)と年金。ガル二エ宮のネオ・バロック様式による華麗な装飾。屋上の蜂(小道具に使う)の巣箱。怪人の住んでいる(はずの)広大な地下水路…等など。演目は「くるみ割り人形」や「ロミオとジュリエット」他。ナレーションも音楽も排した静謐なスタイルによって描かれる美と情熱の殿堂![カラー159分][投票]
★4地獄への逆襲(1940/米)ジェシー・ジェームズが殺された。撃ったのは鉄道会社の賞金に目が眩んだ元仲間のフォード兄弟、しかも背後からの銃撃だった。ジェシーの兄フランク(ヘンリー・フォンダ)は暴力沙汰から身を引いて農夫になっていたが、鉄道会社が二人を釈放させたと知って再び銃を手に取る。宣戦布告代わりに駅を襲い給料を強奪、宿命の対決が再開される。街が噂で騒然とする中、フランクは地方紙の美人記者エレノア(ジーン・ティアニー)に偽情報を流して敵を誘い出そうと企てる。エレノアは無法者とは思えない優しい物腰の彼に興味を持つのだった。西部開拓時代の強盗団「ジェームズ・ギャング」を描いた『地獄への道』の続編。[テクニカラー92分][投票]
★4ドクトル・マブゼ(1922/独)精神分析医のマブゼ博士(ルドルフ・クライン・ロッゲ)は犯罪の天才。多数の手下を使い、次々に顔を変え、人の心をさえ自在に操る。証券取引所・キャバレー・劇場・秘密クラブ…人々の欲望が発熱する場所にはつねに彼の影が差す。しかし財閥の御曹司が賭博で大負けした事件をきっかけにフォン・ヴェンク警視(ベルンハルト・ゲツケ)が犯罪王国の存在を察知する。顔も名もわからない謎の敵の探査に暗黒街へ潜入した警視の眼前にはめくるめく悪の世界が広がっていたのであった。催眠術を使った殺人・爆弾・毒殺・誘拐・大衆扇動。死闘の末、警視はマブゼの情婦カーラ(アウト・エゲデ・ニッセン)の逮捕に成功するのだが…。[白黒][投票]
★4愚なる妻(1922/米)欧州大戦終結直後のモンテカルロ。夜も眠らないこの歓楽地に砂糖に群がる蟻のように集まる人々。王侯貴族・金持ち・芸人・そして闇の世界の住人たち…。海沿いのヴィラに滞在するロシアの亡命貴族カラムジン伯爵(エリッヒ・フォン・シュトロハイム)もその一人であった。遊蕩生活の末に彼は贋金造りに手を出すまでに窮迫している。折から赴任してきた米国公使ヒューズ夫妻は絶好のカモだった。巧みに接近するカラムジン。妻のヘレン(ミス・デュポン)はその優雅な物腰に忽ち魅了されてしまう。新興国から来た彼女の目に欧州の夜は妖しい輝きを放つのであった…。オリジナルは5時間以上にも及ぶ長編だったが短縮して公開された。[白黒][投票]
★4大阪の宿(1954/日)保険会社に勤める三田(佐野周二)は上役を殴って大阪へ飛ばされてくる。ひょんなことから、西土佐堀の「すいげっちょ」こと酔月荘に下宿することになる。古ぼけた旅館である。元芸者の老女将は誇り高く、「うちはパンパン宿とは違いまっせ!」が口癖だ。三人の女中たち、ヒモのような夫に貢ぐおりか(水戸光子)、戦争未亡人のおつぎ(川崎弘子)、男狂いのお米(左幸子)、が面倒をみてくれる。女将の兄の「おっさん」(藤原釜足)。そして、三田に惚れている酒乱気味の芸者「うわばみ」(乙羽信子)。彼らとの交友は憂鬱な日々を送る三田を慰める。結局のところ、誰もが決して幸せではないのだ…。[白黒122分][投票]
★4女王陛下の戦士(1977/オランダ=ベルギー)1938年オランダ。名門レイデン大学入学式の夜は恒例の上級生による新入生歓迎いびりだ。頭を割られぶっ倒れた奴が一人。エリック(ルトガー・ハウアー)である。これをきっかけに学生自治会長グースに気に入られ、華麗なる学生生活を謳歌するのだが…。1940年、ドイツ軍の電撃的侵攻にオランダはあっけなく降伏、女王はイギリスへ亡命する。血気に逸る学生達は勇躍レジスタンスに身を投じるものの、アマチュアがプロの秘密警察に敵うはずもなく事態は凄惨なものとなるのだった…。エリックもイギリスへ逃亡せざるを得なくなる。そんなある日、ある屋敷に招き入れられた彼の前に現れた気品のある老婦人。それはオランダ女王陛下その人だった![投票]
★3マクナイーマ(1969/ブラジル)アマゾンの密林に響く産声。老婆から生まれた中年の黒人にしか見えないその赤子はマクナイーマ(グランデ・オテロ)と命名される。生まれついての怠け者で、初めて言った言葉は『面倒くさい』であった。美人の兄嫁と森で乳繰り合い兄を激怒させたり、荒野に捨てられたりしているうちに母親が死に、二人の兄と都会へ向かうことにする。その途中、不思議な泉の水を浴びた彼は、なんと男前の白人(パウロ・ジョゼ)に変身してしまった!そしてやってきた大都会。そこには美女とめくるめく冒険の日々が待っていた…。『モンティ・パイソン』×『エル・トポ』?ブラジル版ヌーベル・ヴァーグ「シネマ・ノーヴォ」のカルト作品。[カラー][投票(1)]
★3故郷(1937/日)東京の大学を出た喜多子(夏川静江)は信州の田舎へ帰ってくる。しかし都会の風に染まった彼女は周囲から浮き上がる。卒業証書を有難がる母は家業の手伝いもしない娘を腫れ物に触るように扱い、彼女は増長する。兄・堅太郎(坂東簔助)は妹を学校へやるため田畑まで売ったのだが、今は彼女の軽薄ぶりが許せない。一方、堅太郎の友人で小学校で教える彦太郎(丸山定夫)はある生徒の父兄の機嫌を損ねる。その父兄は喜多子が教職の勤め口を依頼している県会議員で、しかも喜多子の弟は彦太郎のお気に入りだったから彼女の就職が上手くいく訳はないのだった。ある日、喜多子は兄から厳しく叱責され、つくづく故郷が嫌になる。[84分白黒][投票(1)]
★3激怒(1936/米)ジョー(スペンサー・トレイシー)とキャサリン(シルヴィア・シドニー)は結婚資金を貯めるため離れて生活していた。つましい暮らしの末ようやく結婚できることになり彼は意気揚々と出発する。ところが町の手前で保安官に尋問されそのまま拘置されてしまう。付近で起きた誘拐事件の嫌疑を掛けられたのだ。田舎町を興奮が渦巻き、集まってきた群集は保安官の制止を無視してジョーを私刑に掛けようとする。キャサリンが駆けつけてきた時、拘置所は巨大な松明と化して暴力に酔い痴れる人々の笑顔を照らし出していた。炎上する鉄格子の向こうに恋人の姿を見た彼女はその場に昏倒する。しかしジョーは生きていた。激怒とともに…。[白黒90分][投票(1)]
★3青春がいっぱい(1966/米)カトリックの全寮制女子校セント・フランシス・アカデミーに新入生たちがやってきた。メアリー(ヘイリー・ミルズ)は両親を失い、金持ちの叔父にここへ送りこまれてきた。初日からタバコをふかし、修道院長(ロザリンド・ラッセル)の訓話もどこ吹く風。感化されたレイチェル(ジューン・ハーディング)とふたり悪戯しては罰をくらう日々。学校生活は厳格な修道院式で、教科を教えるのは敬虔かつ個性豊かなシスターたち。そんな信仰生活になんの意味があるのかはメアリーの理解の外だ。しかし院長は厳格ななかにも愛情をもって、この天使にはほど遠い二人組に接するのだった。ある日、地下室で葉巻をやっていた二人は・・・[112分][投票]
★3バビロン(2022/米)ハリウッド・1926年。砂漠の豪邸の大パーティー。メキシコ人青年マニー(ディエゴ・カルバ)は雑用係として走り回っている。勝手に入り込もうとした女優志望のネリー(マーゴット・ロビー)を機転を利かせて入れてやり、二人で意気投合する。夜半、今夜の主役にして業界の主役、ジャック・コンラッド(ブラッド・ピット)が、おもむろに玄関先で二人目の妻を離縁したうえで姿をあらわし、乱痴気騒ぎは佳境を迎える――。朝。目立ちまくっていたネリーは、この日撮影開始の端役を手にする。泥酔したジャックに気に入られたマニーは彼の助手となる。二人は天性の才能と努力で創成期の映画業界を駆け上がっていくのだが・・・。[185分][投票]
★3続丹下左膳(1953/日)乾雲を得た丹下左膳(大河内伝次郎)は主君・饗庭候に面会を求めるが、すでに自分は見捨てられていると知り愕然とする。治安を預かる大岡越前守(大河内二役)は配下を動員し市中を完全封鎖する。饗庭候も捕手より先に左膳を倒し刀を奪うべく剣士達を路上へ放つ。さらに、坤龍を持つ諏訪栄三郎(三田隆)は左膳を追い夜を徘徊するうちいつしか人斬りに手を染める。かくして江戸の町は殺気の黒雲に包まれるのだった。そんな中、左膳は櫛巻お藤(水戸光子)とともに法華宗の行場に潜み、自身の人を斬りたい衝動に必死の戦いを挑んでいたが…。二刀相離れれば互いを呼び乱を生ずるとされる宝刀、乾雲・坤龍を巡る大活劇。[89分白黒][投票]
★3丹下左膳(1953/日)小野塚鉄斎道場の後継を選ぶ内試合。勝者の得るものは宝刀乾雲・坤竜と跡取り娘・弥生(沢村晶子)。鉄斎意中の諏訪栄三郎(三田隆)にはお艶(山本富士子)という女がおり、故意に負けて周囲を困惑させる。そこへ道場破りと称して乗り込んできた隻眼隻腕の剣士、丹下左膳(大河内伝次郎)と名乗る化け物のような男は化け物のような強さを発揮して乾雲を奪い去った。それは刀剣蒐集狂の主君の命による強奪だったが、奪った刀の魔力はやがて左膳を夜々辻斬りを重ねる殺人鬼と化したのだった。彼に惚れる櫛巻お藤(水戸光子)、追う栄三郎、大岡越前守まで入り乱れ江戸の町に血の雨が降る!『続丹下左膳』へ続く。[101分白黒][投票]
★3宮本武蔵(1944/日)嵯峨野の寺で独り心を鎮める武蔵(河原崎長十郎)のもとを年若く品の良い姉弟が訪れる。父の仇を討つため剣法を教授してほしいというのだ。武芸は私の意趣を晴らす便法にあらずと拒んだ武蔵だったが、二人の熱意に負け手ほどきしてやる。これを知った仇の左本兄弟は厳流小次郎(中村翫右衛門)のもとへ走る。不意を襲い弟を討った小次郎は姉・信夫(田中絹代)に自分の名を武蔵に告げよと言い置いて去った。剣を究め人格を磨くことのみを念願する武蔵もこれを聞いて顔色を改めるのだった。ついに彼とは雌雄を決するべき宿命なのだと…。一年後、決闘の地へ向かう武蔵の舟を見送る浜辺には思いを秘めた信夫の姿があった…。[白黒55分][投票]
★3恐るべき親達(1948/仏)イヴォンヌ(イヴォンヌ・ド・ブレ)は二十二歳の息子ミシェル(ジャン・マレー)が無断外泊したというので機嫌が悪い。ようやく帰宅した息子に恋人がいると明かされ逆上する。あんなに溺愛してきたのにこの仕打ち!一方父親のジョルジュ(マルセル・アンドレ)は息子の恋人がマドレーヌ(ジョゼット・デイ)だと知って仰天。それは彼の若い愛人だったのだ。居候のイヴォンヌの姉レオ(ガブリエル・ドルジア)は一部始終を醒めた眼で見ている。かつて婚約者を妹に譲って以来独身を通している彼女は恐るべき企みを提案する。明日みなで敵の家へ押し掛けるのだ。そして若い二人の仲を裂くのだ。大人として!親として![白黒][投票]