★3 | ファンシイダンス(1989/日) | 実家の寺を継ぐため、1年間の修行を積んで住職の資格を得ようと、山奥の禅寺・明軽寺にやってきた陽平(本木雅広)。弟の郁生(大沢健)、裕福な寺の跡取り娘とラブラブで逆玉を狙う英峻(彦麿呂)たちと一緒に入門した陽平だが、想像以上に厳しい修行内容に、最初に考えていた「1年間適当にこなしていればオッケー」というもくろみはあっけなく崩れ去る。先輩僧(竹中直人)たちのシゴキに遭ったり、俗世間に残してきた恋人(鈴木保奈美)との葛藤に悩んだりしながら、陽平の修行の日々は続く。同名の人気漫画の映画化で、周防正行監督2作目にして一般映画初作品。周防監督はこの企画を「役者が本当に坊主頭になるなら」という条件で引き受けたらしい。 | [投票] |
★4 | 娘・妻・母(1960/日) | 東京の山の手に住む坂西家は、還暦を迎える母親・あき(三益愛子)をはじめとして、長男・勇一郎(森雅之)、その妻・和子(高峰秀子)出戻りの長女・早苗(原節子)など7人の大家族である。和子には町工場を経営する叔父・鉄本(加東大介)がおり、勇一郎は家族に内緒で家や土地を抵当に入れ、かなりの額を鉄本に融資していた。しかし、その工場の経営が傾きかけていることを、勇一郎は見逃していたのだった…。公開当時は原節子と高峰秀子の18年振りの共演などが話題を呼び、興行的にも大成功を収めた。 | [投票] |
★4 | Shall we ダンス?(1995/日) | 毎日単調な生活を送っていた、ごく普通のサラリーマン・杉山(役所広司)。ある日電車から見える駅前の社交ダンス教室の窓に、教師・舞(草刈民代)の姿が目にとまる。舞の佇まいに惹かれた杉山は、思わずこの教室に入会。しかし成り行きで始めたダンスの意外な奥深さに気づいた杉山は、偶然にもこの教室に在籍する会社の同僚・青木(竹中直人)と一緒に、だんだん本格的に打ち込むようになっていく。そんな杉山を、妻(原日出子)は不審に思うようになって…。[136分/カラー/アメリカンヴィスタ] [more] | [投票] |
★4 | おかあさん(1952/日) | 福原家は戦災で焼け出されながらも以前にやっていたクリーニング店を再び開くことができた。病気の父親・良作(三島雅夫)に代わって母親・正子(田中絹代)や長女・年子(香川京子)が奮闘し、またシベリア帰りの木村(加東大介)の手伝いもあって店は順調だったが、しばらくして父親が亡くなり、正子は女手一つで店を切り盛りしていくことになる。「母親」をテーマに全国の小学生から募集した同名の作文集を脚色した作品。 | [投票] |
★3 | 今年の恋(1962/日) | 高校の同級生、光(田村正和)と一郎(石川竜二)は親友である。しかし遊び好きな二人は学校の成績はさっぱり。一郎の姉で銀座の料亭の看板娘・美加子(岡田茉莉子)と、光の兄で大会社の専務の息子・正(吉田輝雄)はそれを苦苦しく思っていた。自分の弟の出来が悪いのは遊び相手のせいだとお互いに考え、相手に敵意を持っていた二人は、ある日美加子の料亭でバッタリ出くわしてしまった…! [82分/モノクロ/シネマスコープ] | [投票] |
★3 | 放浪三昧(1928/日) | 時は幕末、城内随一の剣士・伊達主水(片岡千恵蔵)は美しい妻と幸せに暮らしていた。やがて主水は江戸詰を命ぜられるが、彼の妻に横恋慕する家老の息子が、主水の留守の間に妻に迫り、自害に追いやってしまう。悲嘆に暮れる主水は、息子の小太郎(中村寿郎)を伴って放浪の旅に出るのだが、彼の剣の腕を見込んだ勤王・佐幕の両派の一団が近づいてきて、それぞれに「我らの側につけ」と主水に迫る…。片岡千恵蔵の個人プロダクション(千恵プロ)第二作にして、現存するもっとも古い千恵プロ作品。[60分/モノクロ/スタンダード/サイレント] | [投票] |
★2 | あなた買います(1956/日) | プロ野球にまだドラフト制度がなかった頃、各球団の間では熾烈な新人獲得競争が展開されていた。今年の注目は学生野球の大物・栗田(大木実)で、在京球団のスカウト岸本(佐田啓二)も彼を獲得しようと奔走する毎日である。岸本は栗田の恩人だという男・球気(伊藤雄之助)と接触するが、食わせ者の球気は陰で他球団のスカウトたち(山茶花究他)とも交渉しているらしい。一方、栗田が「金のなる木」であることに気づいた栗田の家族も、やがて各球団と同じように平静を失っていく。かつて南海ホークスで活躍した穴吹義男選手の争奪戦の話をモデルにした一作。[112分/モノクロ/スタンダード] | [投票] |
★4 | 大学は出たけれど(1929/日) | 野本(高田稔)は大学を卒業し、深刻な不況の中で就職活動を開始する。しかし紹介状を手に訪ねた会社で「受付ならやらせてもいい」と言われ、受付とは侮辱も甚だしいと憤然と飛び出す。しかし他の会社でも断られ続け、なかなか職が決まらないうちに、何も知らない母親(鈴木歌子)と婚約者(田中絹代)が国元からやってきてしまった…。[11分 (現存版)/モノクロ/スタンダード/サイレント] [more] | [投票] |
★3 | 暁の脱走(1950/日) | 太平洋戦争末期の中国戦線。ある県城の守備につく三上上等兵(池部良)は、慰問団の歌手・春美(山口淑子)と愛しあうようになるが、ある夜に中国軍の襲撃を受け、応戦の結果、春美ともども相手方の捕虜となる。しばらくして釈放された二人だが、春美に横恋慕する上官・成田中尉(小沢栄)によって三上は軍法会議にかけられることになってしまった。春美は中国側へ逃げようと三上を説得するのだが…。[116分/モノクロ/スタンダード] [more] | [投票] |
★4 | ツィゴイネルワイゼン(1980/日) | 旅先で出会った陸軍士官学校の教授・青地(藤田敏八)と同僚で友人の中砂(原田芳雄)。二人の泊まる旅館に呼ばれた芸者・小稲(大谷直子)。作曲者のサラサーテ本人が演奏する『ツィゴイネルワイゼン』のレコードを聴く青地と中砂。コンニャクをちぎる中砂の妻(大谷直子、二役)。青地の妻・周子(大楠道代)を抱く中砂。骨の美しさを話す中砂から、骸骨を交換しようと言われる青地…。飛躍する物語と鮮烈なイメージが織りなす、妖しくも美しい世界。[144分/カラー/スタンダード] [more] | [投票] |
★3 | 本日休診(1952/日) | 初老の町医者・三雲(柳永二郎)が開いた医院が開業1周年を迎えた。記念の慰安旅行に看護婦たちを送りだし、「本日休診」の札を下げていると、戦争のショックで頭がおかしくなった隣の青年・勇作(三國連太郎)の発作が起きたり、知人を訪ねてきて道案内の男に暴行された娘が連れてこられたりの騒ぎ。これが収まったとたん、今度はやくざ・加吉(鶴田浩二)が指を詰めてくれとやってきて、三雲先生はてんやわんやの大忙し。井伏鱒二の『本日休診』『遥拝隊長』の2本の短編をもとにした、渋谷実監督得意の風俗喜劇の一本。[97分/モノクロ/スタンダード] | [投票] |
★4 | 野菊の如き君なりき(1955/日) | 信州・千曲川のほとり。73歳の老人・政夫(笠智衆)が肉親のいなくなった故郷に帰ってきた。彼は小舟に乗りながら、60年ほども昔の出来事を懐かしく振り返る。それは、15歳の政夫(田中晋二)と従姉の民子(有田紀子)との、美しくもはかない想い出であった。回想シーンでは、画面の周囲に一昔前の写真のような白い縁取りをするという技法が試みられている。[92分/モノクロ/スタンダード] | [投票] |
★4 | 稲妻(1952/日) | 母親・おせい(浦辺粂子)と暮らす、長女・縫子(村田知栄子)次女・光子(三浦光子)三女・清子(高峰秀子)の三姉妹はみな父親が違う。そのために妹二人は姉に気兼ねしつつ暮らす毎日だ。そんな中、縫子の知人の綱吉(小沢栄)と清子との縁談が持ち込まれたり、光子の夫が急死したりといった事件が続く。東京の下町を舞台に、おせいの締まりのなさ・綱吉の欲深さと共に三姉妹の性格の違いが対比されながら、物語が描かれる。[102分/モノクロ/スタンダード] | [投票] |
★4 | ピストルオペラ(2001/日) | 殺し屋組織「ギルド」のランキングナンバー3、通称“野良猫”(江角マキコ)のもとに、「ギルド」のエージェント・上京(山口小夜子)から指令が来た。「ギルドのナンバー1である“百眼”を消せ」。しかし、誰も“百眼”を見たことがない上に、“百眼”が誰であるかすらも知らない。焦る“野良猫”をしり目に、姿を見せないまま逆に彼女を狙いはじめた“百眼”。“野良猫”に勝機はあるのか、そして、“百眼”とはいったい誰なのか…。鈴木清順監督自身の『殺しの烙印』のリメイクにして、『夢二』以来10年振りの長編監督作品。[112分/カラー/スタンダード] | [投票] |
★3 | きらきらひかる(1992/日) | アルコール依存症の笑子(薬師丸ひろ子)は症状を落ち着かせるために結婚を勧められ、気乗りのしないまま医師の睦月(豊川悦司)と見合いをする。が普通の青年と思っていた相手はゲイだった。お互いの事情を理解した二人は結婚するが、それで気持ちが通いあうわけでもなく、やがて睦男の相手の大学生・紺(筒井道隆)を交えた奇妙な三角関係に陥っていく…。松岡錠司監督の第2作。 | [投票] |
★5 | 晩春(1949/日) | 大学教授の周吉(笠智衆)は早くに妻を亡くし、適齢期を過ぎつつある一人娘の紀子(原節子)と二人で鎌倉に住んでいる。周吉は紀子をもう嫁にやる時期だと考えているが、紀子は男やもめの父が心配でその気にならない。しかし、ある日紀子に持ち込まれた縁談と共に、周吉にも秋子(三宅邦子)という女性との再婚話があることを紀子は知る…。小津安二郎監督と原節子の初顔合わせとなった作品。キネマ旬報ベストテン第1位。[108分/モノクロ/スタンダード] | [投票] |
★5 | 驟雨(1956/日) | 結婚から4年、すっかり倦怠期になった亮太郎(佐野周二)と文子(原節子)の夫婦。そこへ新婚の姪・あや子(香川京子)が訪ねてきた。新婚旅行で気づいた夫の無神経さを並べ立てるあや子に、男性の立場から花婿を弁護する亮太郎は、また文子と喧嘩になってしまう。気が滅入ったまま出社した亮太郎は、会社がリストラを計画していることを知り、さらに憂鬱に…。原作者岸田国士による『驟雨』『紙風船』『隣の花』など数編の短編戯曲を一本の脚本に再構成した作品。 | [投票] |
★3 | 鰯雲(1958/日) | 神奈川県・厚木の農村。戦争で夫を亡くした八重(淡島千景)は嫁ぎ先の農家に留まって働いていた。そこへ新聞記者・大川(木村功)が農村の現状を取材にやって来た。大川は妻子ある身だったが、二人は次第に親密になっていく。この二人の関係と、八重の実家での人間関係が、戦後の農村社会の変化や世代間の意識の変化などを背景に描かれる。成瀬巳喜男監督初のカラー・ワイドスクリーン作品。 | [投票] |
★4 | 幕末太陽傳(1957/日) | あと数年で明治維新の世になろうとする時代の江戸・品川宿。ここの旅籠「相模屋」に、佐平次(フランキー堺)という遊び人風の町人がやってきた。飲めや歌えのどんちゃん騒ぎを何日も続けた挙げ句、「実は無一文だ」と公言し、呆れる主人を前に、そのまま手伝いのような形で居着いてしまう。そんな佐平次は、異人館を焼き討ちしようと「相模屋」で計画を練る尊王攘夷派の志士・高杉晋作(石原裕次郎)の時計を拾った縁で高杉と仲良くなったり、旅籠の手伝いや恋文の代筆などで、旅籠の遊女たちにも人気者になっていった…。『居残り佐平次』『品川心中』などの江戸古典落語に題材を取った風刺喜劇にして、川島雄三監督の代表作の一つとされる作品。 | [投票] |
★4 | 蜂の巣の子供たち(1948/日) | 戦地から引き揚げて来た復員兵(島村俊作)は、下関駅でぼんやり座り込んでいた。彼は孤児院育ちで帰る場所がない。そんな彼の目に、街にたむろする浮浪児たち(久保田晋一郎他)の姿が映る。この子たちが、靴磨きやかっぱらいをさせられた上、元締めの男(御庄正一)に上がりをピンハネされているのを知った復員兵は、かつて自分が育った大阪の孤児院にこの子たちを連れていくことにする。そして、働いて旅費を稼ぎながら大阪を目指す、復員兵と子どもたちの旅が始まった。出演者は全員が素人で、子どもたちは皆実際の戦災孤児、主演の島村俊作も、清水宏監督が引き抜いた元熱海駅の駅員である。 | [投票] |