[POV: a Point of View]
ロマンポルノを棄てた男・藤田敏八と村川透の仕事
60年代、青春映画とアクション映画を量産する日活に入社し共に70年代のロマンポルノを足がかりに地位を確保した藤田敏八、村川透。しかし藤田は秋吉久美子を始め時代と呼応する女優達を得て青春映画へ、村川は松田優作と仙元誠三を得てハードボイルド志向のアクション映画へと急速に舵を切る。結局、二人は古き良き日活の路線を継承しつつ独自の映画世界を開花させた。そして二人はロマンポルノを棄てた男でもある。 (A=藤田敏八監督作品 B=村川透監督作品)
A | 横須賀男狩り 少女・悦楽(1977/日) | 女性が被り続ける“被虐”への復讐を脚本の那須真千子は二人の少女の友情に仮託して成就させる。鮮血まみれの逆襲から真っ赤な夕日を背景に燃え上がる紅蓮の炎。相変わらず70年代の藤田敏八の“赤”への傾倒とロマンポルノらしからぬ、おざなりな性描写。 | 投票 | |
A | 裸足のブルージン(1975/日) | 過去の亡霊に捕らわれた、善意の者、悪意の者、意図せざる者たちの呪縛の融解と解放。そんな理屈っぽい観念を、なんとか笑いでくるみたいのだろうが、いかんせん藤田敏八に喜劇センスのカケラも見えず、そこはそれ理屈っぽい笑えない話しのままでも味は味。 | 投票 | |
A | ダイアモンドは傷つかない(1982/日) | 80年代初頭、女性の価値観が激変していた時。企画に残間里江子、脚本が田中晶子。いわゆる世は翔んでる女の時代。藤田敏八も何をどうしたら良いのか分からなかったのでは・・・ | 投票(1) | |
A | 八月はエロスの匂い(1972/日) | この前後の作品を観れば分かるが、藤田敏八は状況に根ざした物語の中でしか人間を描くことができない作家なのだ。大和屋竺が作り出した、背景をなくし肉体で思考し浮遊する女と時代や社会に正対できない男、という観念描写がまったくできていない。 | 投票(1) | |
A | 非行少年 若者の砦(1970/日) | |||
A | 海燕ジョーの奇跡(1984/日) | |||
A | 波光きらめく果て(1986/日) | |||
A | にっぽん零年(1969/日) | |||
B | 処刑遊戯(1979/日) | 単純な話なのだが丸山昇一の脚本構成力と仙元誠三のカメラで最後まで見せてしまう。得をしたのは村川監督と松田優作。 | 投票 | |
B | 野獣死すべし(1980/日) | 室田日出男のプライドと鹿賀丈史の狂気を、伊達(松田優作)が倒錯した殺気で圧倒していくさまが印象的。小林麻美は、その眉毛だけで充分印象的。 | 投票(1) | |
B | もっともあぶない刑事(1989/日) | 村川透の歯切れ良いアクション演出は健在。あきれるほどの拳銃撃ちまくりは“バカボンのおまわりさん”をも超越する。時間つぶしには最適。 | 投票 | |
B | 白い指の戯れ(1972/日) | 伊佐山ひろ子のデビュー作だが、このウブで感受性の強い娘といった役どころでは、伊佐山の個性がまだまったく引き出せていなかったとうことが、次作『一条さゆり 濡れた欲情』以降の怪演で判明する分けである。若いスリ集団の奔放さや刹那感もいまひとつ。 | 投票 | |
B | 最も危険な遊戯(1978/日) | 松田優作VS仙元誠三の映画。田坂圭子の役が添え物になってしまったのが残念。 | 投票(1) | |
B | 殺人遊戯(1978/日) | 村川・仙元・松田はそれなりにかんばるも播磨幸治 / 佐治乾脚本の出来の悪さをカバーできず。・・・・佐藤蛾次郎の代表作は『男はつらいよ』シリーズではなく、この作品。 | 投票 | |
B | 白昼の死角(1979/日) | セットは安っぽいけど、出演者は豪華。当時、飛ぶ鳥落とす勢いの角川映画の底力。それなりに楽しめます。 | 投票 | |
B | 蘇える金狼(1979/日) | 主人公朝倉の人となりがまったく描かれないので、彼が権謀術数を巡らせようが、銃をぶっ放そうが、女をはぐらかそうが、共感も羨望も嫉妬も非難も湧かない。暴言を承知で言えば平凡な会社員役に松田優作を起用した時点で原作の「お話し」はすでに崩壊している。 | 投票 | |
B | BEST GUY(1990/日) | ごっこ遊び。ちゃんちゃらおかしい! | 投票 | |
B | 凶弾(1982/日) | 現実の事件を題材にした時点で結末は決まっているのだから、そのエンディングにいかに説得力や意義を持たせるかがこの企画の肝のはずなのだが、脚本家も演出家も誰一人そんなことを考えたふしがなく、驚くべき安易さで平然と惰性をむさぼるさまが恥ずかしい。 | 投票(2) | |
B | 獣たちの熱い眠り(1981/日) | アイドル脱皮をはからんとする三浦友和一念発起の汚れ役も、その甘すぎる坊ちゃんフェイスと山口百恵を我らの前から奪った男としての反感には勝てず、総スカンを喰った上にイメージまで落した悲惨な記念碑映画。 | 投票 | |
B | まむしの兄弟(1997/日) |
■未登録作品・・●藤田敏八 『エロスの誘惑』『実録不良少女 姦』『危険な関係』 ●村川透『官能地帯 悲しみの女街』『哀愁のサーキット』『薔薇の標的』『シングルガール』『押忍!!空手部』『野獣都市 天使の囁き』『よるべなき男の仕事・殺し』『復讐の掟 ROGUE COP』『復讐は俺がやる DISTANT JUSTICE』『甦る優作“探偵物語”特別篇 聖女が街にやって来た』
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