煽尼采さんのコメント: 点数順
ラ・マンチャの男(1972/米) | 色々と努力や工夫は見えるが、この脚本を舞台から映画に移したことによる演出上の自由が、却って作品の底力を奪っているのではないか――と、舞台を観に行ったこともない僕が思った理由→ [review] | [投票(1)] | |
スーパーマン リターンズ(2006/豪=米) | スーパーマンに力で匹敵する敵の不在が不満。宇宙から地球を「盗聴」し、米国発で「世界の警察」として飛んで行く彼は恰も軍事衛星+大陸間横断ミサイル。ポスト9.11時代にナイーヴすぎかなと。「なぜスーパーマンは必要ないか?」を、なぜ掘り下げない? | [投票(1)] | |
親切なクムジャさん(2005/韓国) | 前作『オールド・ボーイ』と比べると、何か技巧的・人工的に過ぎる観があり、情念を漲らせた役者の顔に、生々しい説得力を持たせる事が出来ていない。 [review] | [投票(1)] | |
イン・ザ・カット(2003/豪=米=英) | In(挿入)とCut(切り裂き)の表裏一体。女にとっての、男を迎え入れる事の恍惚と不安。 [review] | [投票(1)] | |
東京画(1985/独) | “無”の一文字。それはまさに、ヴェンダースの仮想空間としての「東京画」にこそ与えられるべき言葉だろう。 [review] | [投票(1)] | |
GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊2.0(2008/日) | 同じ台詞をなぞる声優の声は、どこかゴースト(魂)が抜けている印象。元の、寒色系の無機質さやデジタル感から一新、暖色系の、「無機質な生体感」とも呼べる態のCGに。本作の画とは馴染みきれていない嫌いがある。 [review] | [投票] | |
パラダイム(1987/米) | 終盤で描かれる「向こう側」の禍々しい闇は、逆説的にも、「こちら側」の眩い光との対比によって際立たせられる。この、ミニマムな視覚的演出による、形而上的なるものの現出。 [review] | [投票] | |
シークレット・オブ・モンスター(2015/英=仏=ハンガリー) | 重厚そうな画と不穏そうな音でゴリゴリ推して参るコケ脅し的演出から漂う芸術家気取りが鼻につくが、実際には画面内で何事かが起こっているという気配が希薄で、映画自体が癇癪を起しているかのよう。 [review] | [投票] | |
るろうに剣心(2012/日) | 実写とマンガ性の折り合いのつけ方が気に入らない。ワイヤーアクションは人間離れした業というより人間ではない動きで、故に人間的情念としての表現から逸脱する。佐藤健が甘ったるい好青年振りで「おろろ」とか「ござる」と言う台詞回しも気色悪い。 [review] | [投票] | |
ゼロの未来(2013/英=ルーマニア=仏=米) | キッチュな極彩色の監視・管理社会にワケ分からん数学的証明の行為がゲーム感覚で放り込まれ、そこにはフランツ・カフカ的哲学的寓話性が見てとれるが、レトロフューチャーな世界観と共に、「今さらそれやって何になる?」という寂寞感を抱かせる。 [review] | [投票] | |
少林寺(1982/中国=香港) | 見事な演武披露だが、あまりにも延々と続く乱闘シーンよりは、一人、自然の中で修行しているシーンの方が、身体の運動そのものが堪能できて見応えがある。物語は添え物とはいえ、戒律の扱いのあまりな雑さは、少林寺や僧を愚弄している。 [review] | [投票] | |
天使の分け前(2012/英=仏=ベルギー=伊) | 冒頭シークェンスでは各人物がフラットに扱われ、その内、或る一人が浮かび上がる。利き酒によって、価値あるものを嗅ぎ分けるという行為が象徴的に描かれた本作を暗示する導入部。が、結局本作は、価値という概念を愚弄している。 [review] | [投票] | |
女性の勝利(1946/日) | 三浦光子が告白シーンで見せる狂乱演技はパワーが有るが、それを受ける側の田中絹代が大人しいお芝居の枠内に留まるのが苛立たしい。徹頭徹尾、戦後民主主義教育の教科書的な台詞が空々しい。時代を越えて観るに値する映画ではない。 [review] | [投票] | |
劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ(2011/日) | 以前、NHKで「かまってちゃん」のドキュメンタリーを観て、リアルタイムのネット配信等、幾らかは面白いけど個人的には興味無い存在だったが、そういうこと抜きにしても、この映画の取って付けた感は萎える。終盤のCG演出は完全に映画を嘗めている。 [review] | [投票] | |
御用金(1969/日) | 冒頭の、無茶可愛い浅丘ルリ子、『鳥』張りのショック演出に期待が高まるが、結局ここがMAX。心情を語るシーンは、台詞による語りにしても、地獄の鬼太鼓にしても、長々と引っ張りすぎ。これを冗長と感じさせない程度の演出力を備えてからやってよ。 [review] | [投票] | |
ジョルスン物語(1946/米) | やっぱり、ほら、初トーキー『ジャズ・シンガー』の主役として興味を抱いて観るわけじゃないですか。そこが全然見せ場にも何にもなっていない(「映画撮ったよー」的な報告程度しか無い)のがね。 [review] | [投票] | |
ミッドナイト・ミート・トレイン(2008/米) | 「見ること」に伴う暴力性や権力を見せるシーンが幾つか現れることで、このテーマをどう料理するかと期待したが、結局は思わせぶりだけで終わる。賛否が分かれそうな終盤の展開も嫌いではないが、これもひとつの定型に思え、尻すぼみ感は否めない。 [review] | [投票] | |
日曜日が待ち遠しい!(1982/仏) | ミステリーとしては、真相はまるで面白くなく、恋愛心理の絡ませ方も稚拙。このトリュフォーの緩さ、甘さは「味」なのかもしれないが、ナンパ・シーンにも一端が見える、トリュフォーの馴れ馴れしさと享楽性が、僕には無神経に感じられる。 [review] | [投票] | |
サトラレ TRIBUTE to a SAD GENIUS(2001/日) | 鈴木京香演じる洋子の、プロ意識も冷静さも欠いた無計画で無神経な言動に苛々。本来、子供のように無邪気な健一(安藤政信)に対する冷めた観察者として最初は入ることでドラマを引き締められたはずの彼女の有り様は、映画自体の甘さと緩さの象徴。 [review] | [投票] | |
ヤコブへの手紙(2009/フィンランド) | 設定やプロットに色々と作為や不自然を感じさせながら、それを神の計画通りと装うような姑息さが幼稚。見ていて可哀相になるヤコブ牧師の人物造形や、そんな彼の傍にいる罪人レイラの、兔の傍に虎を置いているような危うさはドラマ的だが。 [review] | [投票] |