何にも特別な見せ方をしなくても、人の心に伝わる映画って撮れるんだね。自身が忙しい人は精一杯で、空白があるひとは外に気持ちが行く。だからどうしろなんて下世話な内容が一切ない。だから伝わる。これをセリフの量十倍にして恣意的なイベントを頻発させると、橋田ドラマになるかな。

この作品で泣けるようになれば、俺も一人前の大人の仲間入りなんだろうな。良くも悪くも。

恐らく、この作品を真に感じている人は、俺のように冷静ではいられないだろうな。俺は５点つけてるけど、二十歳そこそこで平気な顔して最後まで落ち着いて鑑賞して、調子こいて５点つけてる俺は分かったつもりになってるだけなのかもしれない。

でも嬉しい。俺が死ぬまでの間に、歳を重ねて何度も観れば観るほど好きになるであろう作品に出会えて、久しぶりに映画を観るようになって良かったと思えた。