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[コメント] 4ヶ月、3週と2日(2007/ルーマニア)

ヘヴィで緊張感溢れる体験型スリラー。描かれるのはとても個人的で短い時間の出来事であるが、ヒロインを中心として再構成されるその世界には、普遍的な人間の歴史が横たわっている。
shiono

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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最初から最後まで出ずっぱりのヒロイン、アナマリア・マリンカに寄り添うような近さで、だが揺らぎない距離感を保ちながら、シンプルなカメラがその行動を記録していく。時間軸に忠実だから、スクリーンに映し出されるのは常に劇中での「今」であり、その瞬間に待ち受ける幾多の困難と、それに立ち向かうべく頭脳をフル回転させるヒロインの思考は休まることがない。マリンカの感情表現は豊かで、それがこちらにも重い現実感を伴ってのしかかってくる。

ホテルでの堕胎シーンでの、組み立てられる会話が意味するところに行き着く時、緊張感はピークに達する。このサスペンス演出において選択された一連のショットは映画的リアリズムに溢れている。その後の、ボーイフレンド宅での長回しにおけるヒロインの、そこに居ることの焦燥、ホテルに戻ったときの空疎なエレベーターホールの造形、そしてエンディングで描かれる二人の女性の関係性。生命力豊かなヒロインとともに過ごした長い半日は忘れがたく記憶に残る。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (9 人)寒山拾得[*] けにろん[*] kirua ジェリー[*] chokobo[*] あちこ[*] ぽんしゅう[*] Keita[*] 3819695[*]

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