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[コメント] おくりびと(2008/日)

山崎努が実に申し訳なさそうに、しかし実に旨そうに鶏肉を食う。それは「人の死」という初源的な出来事を際立たせるのに実に効果的に機能している。それは広末涼子の妊娠においても然りだ。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







納棺師という、あまり一般庶民の注目を受けない仕事についてよく理解できる作品である。人間の誕生が多くの人々にとって喜ばしいセレモニーとして存在するのと同じように、人間の死は最後を美しく飾る、実に人間の尊厳の根幹に連なるセレモニーなのだ。

「恥ずかしい仕事」としてしかその仕事がとられないのは、やはり死をつかさどるものが不浄のものとカテゴライズされてきた不幸な歴史に連なるものであるからだろう。が、本木雅弘はじつに丹念にその仕事を学習し、自らの中に取り入れていた。まだまだうまい俳優とは言えない本木だが、これは大いに評価されてしかるべき仕事であろう。

そして、死というものが誰しもの思いを理想化するものであることもこの作品からは大いに読み取れる。死に化粧はその証しだ。そうして何事もなかったように眠る家族と別れ、人々は平穏を得るのだ。

この作品、モントリオール映画祭グランプリなどという大それた作品とはちょっと思えない。敢えて言えば愛すべき小品だろう(長尺だが)。

余談。広末はそろそろ少女演技を卒業してほしい。本格的女優への転進を図らないと、映画界はそれほど甘い世界ではないぞ。

(評価:★4)

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