[コメント] 真昼の決闘(1952/米)
で、君はどうするんだい?上映中、ずっと突きつけられていた質問にも強気だった私だったが、汽笛の音に泣き出しそうになる。
これほど観客を愚弄するために制作された映画もない。
「俺なら保安官とともに闘うよ」
誰だってそう思うさ、皆そう思う。だけど、汽笛が鳴り、時計の針が12時を指し、ぎらつく太陽が真上に昇った時、本当に家を後にする事が出来るのか?
行かなくともよい。後で非難する人物はいないのだ。そう、彼はこれから殺される。女も町を出て行く。家に閉じこもっていれば幸せな生活は何事も無かったように続くはずだ。きっと女房もそれを支持する。
だから時計の針が12時を指した時、町の住人は下を俯く。いや、観客も気まずさに下を俯いたのだ。
フレッド・ジンネマンがスクリーンの向こうから我々を嘲笑っている声が聞こえそうだ。「どうした正義漢?行かないのか?」
誰も行けないのを分かっていながら、嘲笑している。汽笛の音はジンネマンの声、時計の針はジンネマンの耳、そしてジンネマンの視線は真上に昇って我々を見下ろしている。
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