[コメント] デイライト(1996/米)
仲間を。その時の彼の苦渋の表情、あれを見て本当に彼が二流の俳優だと思いますか?
今まで、ランボーでも何でも、彼が誰かを見捨てることはありませんでした。それは確かに彼のスタイルで、子供の俺はそこに惹かれて、彼を見続けました。ですが、この映画、一時流行ったデザスター・ムービーの中では、間違いなくまじめに作られた映画でした。彼は、そんな作品の趣旨を汲み取り、与えられた役割に徹したのです。俳優として当たり前だなんて言わないでください。確立された自分のスタイルを壊し、新たなアイデンティティーを模索することの難しさとリスク。でも、思えば、彼はずっとそれをやり続けてきました。何の苦悩もなく肯定されるコミックヒーローのシュワと違い、スタローンは臆面もなく迷走します。しかし、“人間のアクション”を保ち続けたスタローンの本質は、実は、この迷いと迷走にあり、それゆえ人間くさい魅力を持ち続けていられるのです。
そういう彼の本質が如実に現れたのが、クライマックスのシーン。災難にぶちきれるスタローン。災害に対し怒りをぶつけるんですよ?そんな行動が様になる俳優が他にいますか?だいたい、彼の役柄は、第三者のくせに飛び込んでくるという相変わらずものでしたが、でも、これこそが凄いんですよ。飛び込んできたくせに、たった二時間であっというまに当事者になり、主人公になり、そして姿なき敵を形作り、最後はそれに対し怒りをぶつける。これですよ、これ。これができる者を、アクション・スターと呼ぶのです。できますか?同じことが、そこいらの人気者に。
「娯楽映画だからといって、人間のドラマを蔑ろにしたくない。そもそもスタローンはドラマに始まったんだ。彼をドラマに戻したい。」この映画の監督は確かそんなようなことを言っていました。まじめな映画ですよ、これは?
それだけに、最後は不満です。地上に出たスタローンが“橋を通ってくれ”なんて寒いジョーク飛ばしてないで、そのステロイド付けのポール・マッカートニーみたいな顔で真剣に“デイライト”を拝んでいるようなシーンで終わってくれれば、申し分なかったのに。
それから、最後まで意味不明だったのが、生牡蠣話。何が言いたかったんだ、スライ!
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