[コメント] サンダカン八番娼館 望郷(1974/日)
断罪<贖罪。
熊井啓という人の演出は、底が浅い。
重要度の高い最初のカットバックが実に平凡。(市川崑の『おとうと』を見習え!) ロケによる現代シーンとセット撮影の回想シーンにギャップあり過ぎ。 (回想シーンをモノクロやセピアにしろとは言わないが、衣装や美術関係にもう少しくすんだ感じが欲しかった。照明の問題かもしれない。) 音楽による心象表現がウザイ。 「煙草だけが愉しみだった」という台詞にもかかわらず回想シーンで一度も喫煙していない。現代シーンの毒虫のショットも二度、三度はくどい。
など問題多数。
しかし、田中絹代が「焼き飯にしときな」の登場シーンから 最期の最期まで、映画史上屈指とも云える存在感を発揮。 片膝をついて煙管を吹かす彼女のたたずまいは一生瞼から離れないだろう。
俺は、祖国に背中を向けての「断罪」よりも、 絹代が小巻に最期に言った「人にはそれぞれの立場がある」との「贖罪」に号泣しました。
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