[コメント] 宇宙大戦争(1959/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
言いたいことはすでに多くの方々が言及しておられるので、付け加えることはあまりないが、感銘を受けた点を少々。
1・宇宙空間に浮かぶ宇宙ステーションの残骸。 今では「デブリ」なんて言葉もあるくらいだが、爆破するだけでなく、ここまで描く想像力。しかもそれを見てロケット内から手を合わせる人々・・・まさに日本的無常観。
2・こと、月の描写に関しては『2001年宇宙の旅』を超えている。9年前に・・・ 「2001年」で宇宙船が月に近づく時、宇宙船は月の黒い部分でしか移動できなかった。合成に自信がなかったのだろう。しかしこの映画では合成のブレなど物ともせず、一旦ロケットを反転させての堂々大技着陸。さらに2台シンクロランディング。 「2001年」でのムーンバス月面移動とほぼ同じ構図ですでに撮られている。バス内部を正面から撮ったシーンで両側の窓から月面の風景が後方に移動している(ように見える)、9年前のアジア人の技術で。これに限らず、この映画の窓合成は見事の一言。
3・ロケットの下の地面が丸く変色しているのだが、何の説明もない。当時の観客は着陸時の噴射でできたものだと理解できるほどレベルが高かったのだろう。
4・土屋嘉男の殉職。 実際、彼には罪がなく「いやー操られちゃててさー」と弁解すればみんな許してくれると思うのだが、彼はそれを潔しとしなかった。易々と宇宙人のいいようにされた自分の不甲斐なさに我慢がならず、高潔な精神を取り戻すために死地へ向かっていったのだろう。儚く消えていくところがいい。
5・千田是也が思わずつぶやく。「まさかこのロケットに人を乗せようとは・・・」「回天」や「桜花」のことが頭にあったのだろうか。スタッフのほとんどが戦争体験者でなければ、こうも簡潔に重いセリフは言えないであろう。
6・驚愕宇宙ドッグファイト。 パイロットを正面から撮ったアングルも『スターウォーズ』と同じ。この臨場感も戦争体験と、戦争映画のノウハウからだろうか?ロケットが地球から発射されるとこれまでのテンポがいきなり変わって俊敏になる演出も冴えている。これをモーションコントロールシステムなど影も形もない、手作業とピアノ線とマット画で作っているとは・・・ やっぱり日本人はすごいんだよ!
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