[コメント] アニー・ホール(1977/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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相手のことが好きで好きでしょうがないのにああいう風にひねくれて振舞っちゃう奴。
自分が変わろうとすればもっと楽しいってのは分かってるのに、自分の殻がやぶれなくて、変われなくて。でも、彼女は変わってって、置いてかれるような気がして、いらいらして、余計なこと言っちゃって。でも素直に謝れない。家に帰ってから体育座りでへこむ。
大恋愛した後にぽっかり穴が開いちゃって、でも、「たいしたことねーよ」みたいなふりして、別の人と付き合ってはみたものの、やっぱりなんか違う。一人になってから体育座りでへこむ。
この映画はそんなことが身に覚えのある奴にとっては、心の中を覗かれてるような気分になる。苦くて切ない。
ロブスターのシーンで新しい彼女から冷たいリアクション受けて、やっぱりアニーと違うってことを再認識しちゃうとこなんて、男の未練たらたらで、気持ちわかっちゃうやら恥ずかしいやら切ないやら。
そして、アルヴィーがアニーをロスにできない運転して迎えに行くシーン。離れてるのが耐えられなくて、恥もプライドも何もかも忘れて、武田鉄矢ばりに「一緒にいたい」って叫びにいったはずなのに、気持ちを素直に表現できない。怖くて、自分にいまひとつ自信が持てなくて、ためらってしまう。必死になって真面目に本気で気持ちを伝えて断られたときに自分が受けるショックが大きいのが分かってるから。本当の自分をさらけ出したときに、実は大したことないくだらない人間だと思われるのが怖いから。だから、「おれはニューヨークが好きなんだ、ロスなんてくだらんよ、けっ」とか言い訳みつけて、一歩が踏み出せない。
付き合ってるその時には、その相手が自分にとっての「アニー・ホール」なのかはなかなか分からないもの。失ってはじめてその大きさに気付く。で、未練。しかもなかなか成長しない。
男ってあほだ。でもそんなあほな男たちにもアレンは優しい。アレンの声が聞こえてきそうだ。「未練もいいじゃないか。頑張れ、ウディーズ」
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