[コメント] ミツバチのささやき(1972/スペイン)
洋の東西を問わず、古代人たちは人智を越えた精霊がミツバチの姿を借りてわれわれの前に現れると考えた。(以下レビューに続く)
こういう民間の信仰はいろいろなタイプの民間説話の中に生きている。たとえば、日本でも蜂の報恩説話は「今昔物語」や「十訓抄」にあるし、(中略)グリムの収集した民話の中に「ミツバチの女王蜂」というのがあるが、(中略)このようにまったく交流のなかった日本とドイツに同じようなミツバチの民間信仰が見られるのは、古代人たちが共通してミツバチの中に精霊を見ようとしたからであろう。−−−「ミツバチの文化史」渡辺 考、1994年筑摩書房より抜粋。
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皆さんの熱きコメントに触発されて鑑賞。コメントを読んだ後、暫く何かに取り憑かれたようになる。そして今日、ミツバチ研究の第一人者である渡辺 考氏の書籍を血まなこになって図書館で調べたところ、この映画に沿った記述を見つけた。こんなところにミツバチを担ぎ出した事と、この映画のネーミングの意図があったんだと至福の時を得る。
それにしても、アナ・トレントは侮れんと思う。瞳で演技する子役は数少ない。ついでに図書館で『カラスの飼育』を見つけることが出来たので借りることにした。娘は偶然にも「みなしごハッチ」(笑)
エンディングの1分に及ぶ真っ黒の画面で余韻に浸る。そして真っ黒の画面に監督の意図を探るが、あの醜いフランケンシュタインを妖精と思える純真さを無くした自分には、ミツバチのささやきはもはや聞こえない、多分これからも・・・。
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