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[コメント] リトル・ダンサー(2000/英)

ストの風吹きすさぶ炭坑、ごく狭いコミュニティにすら存在する階級社会。そこにまとわりつき、のしかかる閉息感を、ダンスという自己表現で打ち破っていく少年。家族の愛や思いやりに励まされながらも、自己実現のために1人で歩いていかねばならない孤独。
かける

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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週末の渋谷の映画館で、ピアノの発表会にでも来たような「他所行き」の子供たちと一緒に行列する。入れ替え上映になるまで膨れ上がった観客の大半は、バレエを習っている子供たちだったかも。

観賞後、「誰でもレッスンが受けられる社会でよかったね」と声をかけたくなるような気分になる。主人公の名前は「ウィリアム」であって「ビリー」ではない……という原題に隠されたちょっとした仕掛けは、彼女たちには届くだろうか。もっとも、そのかわりに(?)ロイヤルバレエスクールのように生徒を公募するバレエ団も、日本には皆無なのだが。

残念だったのは、主人公にタップダンス経験者を使ったこと。クラシックバレエにこだわって見ていると、どうしてもひっかかってしまう。フレッド・アステアのような分かりやすいキーワードを、強く必要とするような作品だったとは思えなかった。

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イギリス映画だと「また炭坑?」と食傷気味な人も多いようだけれど、北海道の旧産炭地で生まれた私にとっては、リアリティを超えて現実がよみがえり、のしかかってくるばかりだった。あの虚無や虚脱といった感じは、画面からだけは実感体感してはもらえないだろう。

(評価:★5)

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