[コメント] 花様年華(2000/仏=香港)
たとえば薔薇模様のカーテンが背後でゆれる部屋。そこには鮮やかなグラジオラスの鉢があり、たたずむ女は水仙柄のチャイナドレスを身にまとっている。そして次の場面で上司に手渡す包みまでもが、美しい花模様で覆われている。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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ただの夫婦交換の話なのか?という感想もなくはないが、あちこちに散りばめられた(まるでふたりの恋を象徴するかのような)花々が印象深い。
つぼみから徐々に開花してゆき、そして時の経過とともにそっと色あせ、ためらいがちに散ってゆく。残されたのは一粒の種と鮮やかな残像。
「花は散り際が最も美しい」とは誰の言葉だったのか。透明性までもを手に入れた熟成された官能美は、その瞬間ならではのもの。
随所に挿入される時計のカットが『欲望の翼』を想起させ、それも印象的だった。
恋は時間抜きには育たないが、時間とともに消えてゆくことも多い。それがもう一歩を踏み出せない臆病者同士の恋ならば、なおさらだ。
「ひどく感情移入し泣きそうになった。」と言う女友達の、これからの恋にプラス1点。
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