[コメント] JSA(2000/韓国)
“南”が描いた、“北”への期待と現実。[ヤマハホール (試写会)]
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
これは南が作った映画だ。なのに、単に北側の人間をいい奴にしただけでなく、南の人間に対し優位に立っているかのような描き方をしている。そこには、多分に「南にとってこうあってほしい北」という期待が込められているように思えた。
この話がどこまで現実の板門店に当てはまるかは、もちろん私には分からない。ただ、観客である韓国民(と我々日本人のような友好国の民)に最も受け入れられる形が、この北側の兵士の描き方なのだろう。北の人間は実はいい奴なんだ、だから大丈夫、何も心配することはない。そう観客に思わせる、と言うより「期待させる」ことで、「何だかよく分からなくて怖い北」への安心感を求めている観客を満足させることができるからだ。
しかし、このような期待にすがっているという点において、この映画の限界があると思う。事実はどうあれ、最終的には、この映画はやはり南の視点から作られたものにしか過ぎないからである。
細かいところでは、スイス人調査官が、英語で話している途中に突然「Scheisse!」(畜生!)とドイツ語で悪態をつくあたり、なかなかディテールにもよく気を付けていると感心。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (23 人) | [*] [*] [*] [*] [*] [*] [*] [*] [*] [*] [*] [*] [*] [*] [*] [*] [*] [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。