[コメント] クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲(2001/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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言わずもがなの名シーン、父ヒロシの人生の道程のフラッシュ・バック。
説明じみたモノを一切排して、音楽と映像のみで淡々と積み重ねられていく一コマ一コマ。そしてフと我に返ると、靴の臭いをかがされている自分に気付く。そうなんだ、この臭いは今まで自分の積み重ねてきた人生が凝縮されたモノなんだ。ヒロシの「オレの足の臭いにかなうヤツはいない(うろ覚え)」というセリフは、つまりは自分の人生への誇り。どれだけの人生を経てここまで強烈な臭いになったかと思うと、いとおしさも増してくるのサ(なんてコメント書いてると、泣いていいやら笑っていいやら、ようワカラン)。
もちろんしんちゃんも負けてはいない。たくましきミサエママから託されたバトン(使命)をしっかり携え、必死で走る。流れる鼻血も、転んだ痛さも忘れ、必死で気の遠くなるような階段を転がるように駆け上がる。到着した時には、言葉すらロクにでない位にボロボロ。先を越してたケン&チャコカップルが髪一つ乱さないで涼しげな顔してるだけに、そのコントラストはより一層際立つ。甘い過去に生きている人間には分かるまい、未来を見据えていまを生きている人間は、みんな沢山の傷を作ってるハズなんだ。なんてことを、こんな小さなコドモから教わるんだからタマラナイ。
結局麻薬のような過去の臭いも消え、20世紀博も終焉を迎え、甘くない現実の世界へと帰っていくオトナたち。でもこころなしかみんな満たされた顔してる。そんな彼らを夕日が優しく照らす。なつかしい昔から変わらぬ色で、今の風景をも優しく染め上げる。そう、捨てたもんじゃない。これからもずっと「ただいま」を言える愛しき我が家が待っているのだから。
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確かにコレはコドモが今見て理解できるような話ではない。このメッセージを受け止めるには、コドモの体じゃまだ小さ過ぎる。昔の風俗云々もあるけど、何と言ってもあの2人の悪役。オトナとしては悪役とは言い切れない興味の尽きないキャラだとしても、コドモにとっては強いのか弱いのかもわからないし得体が知れなさ過ぎる。コドモ映画に見せかけてオトナに発信することを否定的に考える意見も、ある意味正論だと思う。でもいつかこのメッセージのバトンを渡すときがくると思う。今はワケも分からず必死になってるしんちゃんにかじりつくしかないコドモたちも、現実の世界でその意味を問う時がくるように。
「子は親の背中を見て育つ」。ボロボロになっても、背中だけは丸めないように気をつけましょうね(笑)。
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