[コメント] クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲(2001/日)
●過去というもの●
僕は万博公園には行ったことがあるけれど,万博は知らない.だって,そのあとに生まれたから.ウルトラマンも仮面ライダーもサリーちゃんもメグも見たけど,それはたぶん再放送で….
物心ついた頃には既にのっぺり平坦になっていた,そんなすべてが再放送みたいな時代を生きてきた僕らには,万博世代のみなさんほど感情移入することはできませんでした.でも既に「未来へ放たれた矢」である子供を2人も設けた自分は,やはり大人に戻るヒロシの回想に泣くしかなくて….(ボイス母様,私は最初の子ができたとき,ある人からタゴールの詩の話を聞かされましたよ!) 実は私にとって,この世紀の節目はいつもと何ら変わらないタダの年越しのように感じられたのですが,実は大事な節目であることにも気づかされましたね.やり残したことへの責任,混在している情報の編集とソーティング,そして21世紀を創るということ.
見る世代によって評価が違うのは当然のこと.フィーバーする世代,シラける若者,おもしろみが理解できない子供.誰でも経験する時代は異なるわけで,今回は万博世代にターゲットを絞って見事ツボにはめた原恵一監督の裁量に+1です(あ…僕はクレしんは最初から大人のための物だと思ってますので).そういう意味でもこれほど時間の流れを感じさせる作品は少ない気がしますよね(局所ウケかもしれないけどモーレツだという意味でネ).
ああ,そういえば同時に宮崎駿夫がいかに駄目かも良く解りましたね.彼はカッコつけて(?)小金井なんぞにスタジオ構えず,秋葉原のテナント借りてオタク相手にこっそり商売すべきですよ.21世紀に引きこもりオヤジは絶対不要です!みんな(特に未熟な大人)を巻き込むな!!
●これから●
『ドラえもん』の道具のいくつかが既に現実になって,たまに時の流れに小さな驚きを感じることはあるけれど,いったいどこが過去で,未来で,現在なのか,記憶をソートするのにさえ苦労する時代.もはや時のベクトルはあらゆる方向を向いていて,見かけ上ほとんど時間が止まって見える今,この映画はそれでも未来に向かってコマを進めてゆくための大事なヒントを「とても解りやすい形で」投げかけてくれたと思います.
そりゃあ確かに今の時代,万博の頃ほど勢いはないと思う.でも僕はきっと未来は退屈なんかじゃないと信じています.だって子供たちの目は決して死んでなんかいないから.
これから先,止まってしまった時間の中で彼らが「懐かしい」と感じるのはむしろ地域であり,「人」(含家族)になるのではないかと思ったりもしました.いますぐ子供でも,親でも,家族に限らず恋人でも,親しい人の手を握ってみるといいです.その温もりがきっと未来への鍵ですね.
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ほら,今日もきれいな夕日が….明日も晴れるかな?
家路を急ぐ子供たちが自転車に乗って駆けてゆく….
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