[コメント] ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ(2001/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
心情的には「5点あげられなくって、ゴメンよ」って感じなんですが、映画として冷静に評価してしまう自分もいて、少々悲しい・・・。
このお話がユニークなのは、意図的に女になっているのではなく、周りから女にされてしまったトコロだと思う(父親から同性愛の洗礼を受け、恋人と母親から女になることを要求され・・・)。「1インチ」のシコリは、開き直っているつもりでも、あくまで周りから女にされてしまったが故に残ってしまった「男」の象徴のような気もする。そして女にもなりきれないからといって、ゲイとして男に戻ることもできないことでの天涯孤独振りが、逆にゲイとか性転換者という特定のコミュニティに限定したメッセージというよりは、世の「異端」と呼ばれる存在にまで、そのメッセージは届いているような気がする。
カツラをつけて女になったところで、「1インチ」のシコリは痛みとなって彼を苛む。だからといって恋人に「1インチ」の存在を受け入れて欲しいと願っても、逃げ出され裏切られるる始末。生きるのに疲れきってしまうのも無理はない。しかし道のりは長かったけど、トミーが「1インチ」を歌に託して受け入れてくれて、こちらも一安心。彼がこれからも本当に片割れなのかは分からないけど、とりあえず化粧もカツラも脱ぎ捨て、「1インチ」というあるがままの存在としてハダカになるラストの姿に、グっときました。
音楽もまごうかたなき「ロック」。とにかく伝えたいことや赤裸々な感情が、ビシバシ伝わってくる。ロック・ミュージカルということで『ロッキー・ホラー・ショー』的な、ある意味「ノリが命」っぽいのを予想してたのですが、笑えるどころか主人公の切実な感情に、身を切られるような思いで鑑賞しました。
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