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[コメント] ボウリング・フォー・コロンバイン(2002/カナダ=米)

MADE IN THE U.S.A.
町田

こういう映画(明確な政治信念に基づいた準ドキュメンタリ作品)は日、英、他世界中で散々作られて来ている。この映画が製作公開されたこと、映画賞を受賞したことが今のアメリカの健全を証明するとは俺には到底思えないし、それで安心してしまうことは却って危険だと思う。

昔、ブルース・スプリングスティーンが「ボーン・イン・ザ・USA」を唄ったとき、レーガン大統領はこれを自己のイメージ宣伝に利用した。スプリングスティーンの歌詞がアメリカの病理を皮肉っているのも拘わらずだ。サビのフレーズのみを抜粋リピートし、新しいアメリカ国歌、その支持者のようなツラを下げてだ。

遡れば’60年代のボブ・ディランもそうだ。ベトナム時のアメリカをプロテストした彼は”アメリカンロックの源流””アメリカの知的良心”として世界中に喧伝、輸出され続けている。俺はこれは違うと思う。ディランはディラン個人であり、”アメリカのディラン”ではない。(しかし一方で元ユダヤ人である彼が、カナダ人ニール・ヤングのような自由な発言がしにくくなっているというのも又、事実だろう)

情報操作国家アメリカの恐ろしいところはここだ。寛容を装い、プロテスタント(反抗者)たちを懐柔し、或いはしたように見せかけて、彼等や彼等の作品を取り込み、それに「アメリカの」という冠詞を付けて輸出する。今回の場合は「アカデミー賞受賞」というのがそれだ。こうやってアメリカは「健全な国アメリカ」のイメージを世界中に配信する。

そして、それを最大の喜びとともに迎えるのは我々日本人、と相場が決まっているらしい。しかしそんなことはここでは別にどうでもいい。

俺がいいたいことはこれだけだ。

マイケル・ムーアよ、そのままアメリカに呑みこまれるなよ!

(評価:★4)

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