[コメント] キル・ビル(2003/米=日)
これは一から十までタランティーノ少年が観たかった究極の劇画映画なのだな。「にいさん、『女囚さそり』が好きなの。いいねえ、そこの赤ちょうちんで一杯やってかない?」以下は、赤ちょうちんでにいさんに垂れる「怨み節」…じゃなくて文句→
わたしは『女囚さそり』もこの『キル・ビル』も、バカ映画だとは微塵も思っていない。
梶芽衣子を襲う三原葉子が一瞬にして鬼の容貌に変化するのは、決して観客を笑かすためなどではなく、その怒りと凶暴性のケレン味に満ちた表現なのであって、それはつまり歌舞伎における隈取やミュージカルにおける歌唱と同じものだ。
だから飛行機に日本刀ホルダーがついていたって東京の街がミニチュアであったってわたしは決してそれをツッコんだり笑ったりはしないし、そうであればこそカタコトの日本語を面白がったりもできないのである。
はじめは「日本語の部分は吹き替えにすればよかったのに」(梶芽衣子が吹き替えていたら泣いてしまったかもしれない)とも考えたのだがやはりそれはちがう。この映画をド本気の復讐譚として捉えるならば、あの台詞をユマ・サーマンやルーシー・リュー自身が語ることにこそ意義がある。
ならば両者とももっともっと日本語の特訓をすべきであったし、ユマ・サーマンは殺陣の特訓をもっともっと積むべきであった。
オマージュでもパクリでもなんでもかまわないが、本物と同等の、いや、本物を越えるほど、観客を震わせなくっちゃ、ウソだ。
にいさんもそう思うだろう?
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にいさんの好きだって言う映画を、あたしも好きだから、あたしもそれに痺れたくちだからさ、こんなことも言いたくなっちゃうんだよ…
(03.11.20@梅田ブルク7)
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