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[コメント] ラブ・アクチュアリー(2003/英=米)

ブレア前政権の外交路線を踏襲すると思われた英国政府は突如方針転換を発表をし、首相は国民のヒーローになった模様です。
新人王赤星

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「いじめっこの友達はいらない」

とりあえずヒュー・グラントのこのセリフだけでこの映画を嫌いにはなれません。さすがは世界最大規模のピースパレードを実現した国。いじめっこの同盟国になってしまっても意地と誇りは顕在。

「英国は小さいが偉大な国だ」か。うちのもこれくらい言ったらね。無理だろうな。。

9.11とイラク戦争という同時代性を持ってメッセージを訴えかける。「あの日の犠牲者がかけた電話も憎しみばかりではなかったはず」と、ちょっとあざとい気がするが、憎しみと憎しみがぶつかり合っている現実に「愛こそすべて。愛が溢れている」と無邪気に理想をぶつける姿勢は逆に新鮮だし、決して嫌いじゃないです。

一つ一つの話はベタで、大した葛藤もなくシチュエーション頼み気味。全てのエピソードがお気に入りって訳じゃないけど、この小さな話達が束になって巻き起こす爽やかな感動は確かに力強い。最後には怒涛の告白ラッシュという王道展開も含め、この映画のあざとさギリギリの実直すぎる愛の賛歌を受け入れられるのはすべては監督脚本リチャード・カーチスのセンスのおかげ。

全編に渡りアイディア一杯のサービスが行き届き、冒頭から見せ場の連続。欲張り気味に詰め込まれたクライマックスの多さは、普通だったら辟易しかねないのだが、センス抜群のイギリス流ユーモアとテンポの良さで見事に最後まで魅せ切り、散りばめられた数打ちゃ当たる素敵なシーンは確実に何発もヒットした。アメリカ映画のようにテンション高く感傷を押し付けないのも丁度よかった。極めつけは選曲。ビートルズにマライアキャリーにノラジョーンズって。。恥ずかしくなるくらい反則気味の王道ラブソングを惜しげもなく流して心の琴線に強引に触れてくる。ここまでやってくれればもう降参。素直に贅沢なもてなしに浸って思いっきり涙腺緩みました。しかしこの監督、こんなに詰め込んで次の作品ネタあるのかな・・と心配になるくらい妥協なく渾身を込めた作品だ。年末に見たら確実に愛を伝えたくなるね。。

個人的にヒットしたリチャード・カーチスが描いた素敵なシーン達。

○学芸会での「All I want for Christmas is you」のステージ。○アメリカでちょっと英国訛りを聞かせると一々騒ぎ、「貧乏だからベットは一つしか無いの」と申し訳なさそうに言うアメリカ女。くだらね〜〜(笑)どんなもてない英国男も米国行きゃ上等の女ゲット出来るというアメリカに対するとことん皮肉な茶番○結婚式でのビートルズドッキリ。○空港でローワン・アトキンソンの澄ました顔。○首相官邸でのダンスシーン(最高)○妙に歌が上手かった首相の警備のおっさん○プロポーズにぞろぞろついていくポルトガル人。○エマ・トンプソンの前で泣き崩れるリーアム・ニーソンビル・ナイの最低PV。○ビル・ナイのセリフ「今まで寝た女で最高だったのはブリトニーだ。冗談だよ彼女は最低」○ビル・ナイとマネージャーがハグした後の「ポルノでも見よう」。成功してもさえない二人が温かい。○メイドのマルティン・マカッチョンが首相ヒュー・グラントに住所を説明するやりとり。「私の住んでいる場所ダサイとこなんです」「どこだ?」「××の××」「なるほど。あそこはダサイ」○ポルノ映画のスタンドインの二人に対して「君たちどこで知り合ったの?」「え〜と・・」○クラブミュージックからノラジョーンズのスローバラードに変わったダンスシーン○マークのビデオが映すキーラ・ナイトレイの美しい姿・・etc・・etc・・。

(評価:★4)

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