★4 | 夜明け(2018/日) | 木工場社長・哲郎(小林薫)は、自動車で川沿いを移動中、若者がなかば川に浸かって倒れているのを見る。さっそく彼は若者を助け、独り暮らしの自宅へと連れていった。青年はシンイチ(柳楽優弥 )と名乗り、意識に異常はないものの事故の詳細を語ろうとしない頑なさを明らかにした。そんなシンイチは、哲郎によって木工場の新入りとして迎え入れられる。作業員たちの歓迎もさることながら、哲郎の恋人である事務員の宏美(堀内敬子)も、彼の世話を焼く積極性を見せた。だが、先輩に火災跡地に建ったパチンコ店に誘われたシンイチは、なぜか酷い拒絶感を示す。どうやらシンイチにはこの街に住んでいた過去があったようで、彼の周りには噂が立ち始める。〔113分〕 | [投票] |
★1 | アラーニェの虫籠(2018/日) | 太平洋戦争当時。寺久保医師(土師孝也)は、軍上層部の命により不死の兵士を生み出すための実験を行なった。だがその事実は闇に埋もれていった…。数十年ののち、大学生のりん(花澤香菜)は生活している巨大集合住宅のなか、不審な事故の連続に不安を募らせていた。首を不自然な角度に傾げたままでの女子高生の怪死。そんな噂のなか、りん自身も事故に遭い搬送される老婆の腕が膨らみ、そこから大きな虫が姿を明らかにするのを見る。りんはその秘密を探り、「心霊蟲」なる存在に行きあたる。その虫を見た者は変死を遂げるというのだ。怯える彼女の前に、その思いを搔き乱すように踊る少女、奈澄葉(白本彩奈)が現われ、謎の言葉を洩らすのだった。〔74分〕 | [投票(1)] |
★2 | ランナウェイ・ブルース(2012/米) | 幼くして両親を失ったジェリー(スティーヴン・ドーフ)とフランク(エミール・ハーシュ)は、固い絆で結びついた兄弟だ。事故によって片足を奪われ働くことのできないジェリーを助けるために、14の頃よりフランクはハーリー(クリス・クリストファーソン)という男の営む中古車店で働き続けた。だが、ある日ジェリーは事故でひとりの少年を轢き殺してしまう。自殺しようとして果たせなかった彼のために、フランクは大金を賭博でつくりともに逃避行に出る。それでも、自分のために青春をなげうとうとする弟に兄は一人で悩みを抱えるなと諭す。振り向けばフランクには昔の恋人アニー(ダコタ・ファニング)がいたが、ある理由が二人の間を隔てていた。〔85分〕 | [投票] |
★3 | ある戦争(2015/デンマーク) | アフガン。タリバンと戦うデンマーク兵たちは、仲間の一兵士を地雷で失いパニック状態に陥っていた。駐留軍隊長クラウス(ピルー・アスベック)は、これを治めるために自身もパトロールに出ることを宣言する。本国の妻マリア(トゥヴァ・ノヴォトニー)との長距離電話で平静を保つ彼ではあったが、隊長として決して部下の士気を低下させる訳にはいかなかったのだ。その途上危険を訴える現地人を、敵兵の銃撃に晒し「殺してしまった」クラウスは後悔に打ちひしがれるが、部下ラッセ(ドゥルフィ・アル・ヤブーリ)までもが瀕死の重傷を負い、ついに援軍による砲撃を求める。ラッセの命は救われたが、クラウスは現地人殺害の汚名を着せられ、法廷に立たされる。〔115分〕 | [投票] |
★3 | 暁に祈れ(2017/英=仏) | 英国人ボクサーのビリー・ムーア(ジョー・コール)は、ドラッグ中毒に陥った自分を恥じ、はるばるタイ国に飛んで新たな人生の一歩を踏み出そうとした。だが彼はおのれの弱さゆえに異国でも悪癖を棄てることができず、ついに現地警察に収監されてしまうのだった。聞き取れないタイ語を操る囚人たちに翻弄され、ビリーはつい挑発に乗って喧嘩を繰り返し、独房と雑居房を往復する。そして暴力に晒され、男たちの性欲の捌け口にすらされた彼への救いは友たるレディボーイのフェーム(ポンチャノック・マブラン)だけだったが、絶望に落ちかけたその目でムエタイの修行に挺身する男たちを認める。ビリーにとってそれは生まれかわる手段となる修行だった。〔117分〕 | [投票] |
★3 | ミノタウロマキア 迷宮のパブロ・ピカソ(2004/スペイン) | アトリエでアヴィニョンの娘たちを描いていた、若きパブロ・ピカソ。困惑する彼の意識は、高い壁に封印されたある迷宮へと飛んでいた…。そこにいる老いたるピカソは迷宮の奥に、苛立ってヌードモデルの喉笛を食いちぎる画家ミノタウロスの姿を認める。逃げるピカソだったが、すでに彼の存在をミノタウロスは知り、彼の背後より追跡を始めていた。ピカソは『ゲルニカ』の絵に描かれた人々、『泣く女』といった己のモチーフをかき分けて迷宮を移動する。だが、ただの逃亡ではない。彼はミノタウロスを何処かへ導くように、迷宮のあちこちに印を書き込みつつゆっくりと走るのだ。フアン・パブロ・エチェヴェリによるクレイ・アニメの一作。〔10分/スタンダード〕 | [投票] |
★3 | おんなのこきらい(2014/日) | 可愛いことこそがすべてであると信じるOLのキリコ(森川葵)は、男には媚びを売り女はすべて敵と見做す生き方を貫いていた。セフレであるバーの従業員ユウト(谷啓吾)が保険であるとの意識をもっており、男の同僚をつまみ食いしつづけて恥じなかった。だが、ある日先輩とともにデザイナーの幸太(木口健太)の仕事場を訪れたとき、彼女はいつものブリっ子演技がまるで通じないのを感じ狼狽する。幸太は実は学生時代の同輩であったが、演技を駆使して他人とつきあう彼女のやり方を見抜いていたのだ。納得できないキリコがバーに向かうと、新人であるさやか(井上早紀)を紹介される。彼女はユウトとの只ならぬ関係を匂わせる女だった。〔80分〕 | [投票] |
★2 | 神のゆらぎ(2014/カナダ) | 新興宗教団体に属する青年エティエンヌ(グザヴィエ・ドラン)は、白血病に蝕まれながらも、敢えて教団の戒律を守り輸血を受ける道を拒んだ。彼の婚約者である看護士ジュリー(マリリン・キャストンゲ)はその潔癖さに心を傷めるが、ある日引き起こされた飛行機事故の唯一の生還者に輸血することを躊躇した。彼女もまた、熱心な信徒であったのだ。時は遡り、麻薬売人であるシモン(ガブリエル・サブーラン)は兄を頼って帰国、キューバへの渡航を世話してもらう。彼が得た航空券の飛行機には、夫婦愛が冷め切った男マーティン(ロバン・オべール)とその妻、不倫相手を得て高跳びを目論むレイモンド(ジュリアン・プーラン)らが同乗していた。〔109分〕 | [投票] |
★3 | 鰻の男(2014/韓国) | 中国青年チェン(パク・キウン)は、父の汚名を晴らすべく韓国に不法潜入した。彼の父が養殖し、韓国に輸出したウナギは、水銀汚染の疑いで廃棄されていたのだ。入国まもなく食品安全庁でミ室長(ハン・チェア)を銃で脅し、再検査を強いた彼ではあったが、ウナギの汚染という事実は覆されなかった。途方に暮れるチェンを、ミは「鉄の女」の異名にも似ず愛おしむ。だが韓国での暮らしの中、ミとともに入ったレストランの女給キル(イム・ファヨン)が中国娘と知ったチェンは、彼女に暴行を働く男を殴り飛ばした。そして中国製品を毛嫌いするミに「俺もメイド・イン・チャイナだ」と言い放つのだった。〔100分〕 | [投票] |
★2 | マルガリータで乾杯を!(2014/インド) | インドに住むライラ(カルキ・ケクラン)は大学生。障害をものともせぬ若い欲求に生きる娘だ。バンド活動に燃える同級生のニマ(テンジン・ダラ)を愛する彼女は精一杯の思いを作詞にこめるが、彼にフラれてしまい落胆。そんなときライラにニューヨーク留学の話が舞い込んだ。反対する父を母(レーヴァティ)はとりなし、ライラはアメリカに旅立つ。充実した日々のなか、団体活動にいそしむ盲目の娘ハヌム(サヤーニー・グプター)との出会いが彼女を変えていった。初めての酒、iPad、そして女性との愛。自分にバイセクシュアルの素養があったことにとまどうライラは母にそれを告白する。嫌悪を見せながら娘を信じる母は、ある秘密を隠していた。〔100分〕 | [投票] |
★4 | 恐怖を乗り越えて(2008/中国) | 就学経験を持たない青年トゥンドゥプ・ワンチェンは、友人の僧侶ゴロク・ジグメの協力を得て、北京五輪開催を目前に控えたチベットの人々の現在の声を聴こうと考え、フィルムを廻した。五輪を素直に喜べない人々の中国政府への憤り、そして自由の希求と教父ダライ・ラマ14世の帰還を待ち望む声をマイクは拾う。このフィルムの発表後、二人は中国警察に逮捕され、ゴロクは監視を受けながらの釈放が認められたものの、トゥンドゥプの現状は知らされていない。〔24分/カラー/ハンディカム〕 | [投票] |
★2 | トマトのしずく(2012/日) | 美容院の店長さくら(小西真奈美)は、年下の従業員・真(吉沢悠)との結婚を控えてアツアツの関係だが、なぜかそのことを伝えるべき父親の辰夫(石橋蓮司)のことについて頑なに口をつぐんでいた。明るい性格に似ず、父のことを訊くたびに頬を強張らせるさくらには内緒で、真は辰夫のもとに結婚式の案内状を郵送する。真の知らない過去、さくら(田邉歩 / 杉山優奈)は口下手な父(三浦誠己)と彼をフォローする優しい母(中村優子)に囲まれて日々を送っていた。だが、母は病のため若くして倒れ、さくらの愛する自家製のトマトを遺して逝ったのだ。そして父は、母のいない家庭菜園から苗を根こそぎ引き抜くという行動に出た。〔91分〕 [more] | [投票] |
★3 | アイ・フィール・プリティ! 人生最高のハプニング(2018/米) | ポッチャリ体形でイマイチ仕事にも恋愛にも自信をもって当たれないOLレネー(エイミー・シューマー)は、このままではいけないとジム通いをはじめ、まず見かけから革新に当たろうとエクササイズに身を投じる。だが、訓練機器から滑り落ちた彼女はしたたかに床に頭をぶつけて昏倒した。そして目覚めたとき、レネーは自分が夢に見たナイスバディの美女に変貌していることに気がつく。実は錯覚以外の何物でもなかったのだが、そのときよりポジティヴ女に生まれかわった彼女は、美貌だがカエル声に悩むCEOのエイヴリー(ミシェル・ウィリアムズ)に助言し、夜は行きつけの店で草食男子イーサン(ローリー・スコーヴェル)をハントするのだった。〔110分〕 | [投票] |
★3 | リトル・ボーイ 小さなボクと戦争(2016/メキシコ=米) | 第二次大戦下の合衆国。小柄な少年ペッパー(ジェイコブ・サルヴァーティ)の強い味方であった父ジェイムズ(マイケル・ラパポート)が、兄ロンドン(デヴィッド・ヘンリー)に代わって出征していった。不安にちぢこまるペッパーを、母エマ(エミリー・ワトソン)は「魔術師ベン・イーグル(ベン・チャップリン)」のショーに送り出す。ベンのはからいで念力を使える自信をつけたペッパーは、父を連れ戻すべく力を使おうとするが、うまくゆかない。そんな彼にオリヴァー司祭(トム・ウィルキンソン)は、神の力を借りる条件のメモを渡す。町外れに住む嫌われ者の日系人、ハシモト(ケイリー・ヒロユキ・タガワ)と仲良くする条件を書き添えて。〔106分〕 | [投票] |
★4 | グッド・ライ 〜いちばん優しい嘘〜(2014/米) | 内戦に晒されるスーダン。ある村の少年たちは銃撃を逃れ、平和の地を求めて荒野をさまよった。結局ケニアの難民キャンプに腰を落ち着けた彼らは、13年後合衆国への移住を認められる。族長となったマメール(アーノルド・オーチェン)をはじめ、ジェレマイア(ゲル・ドゥエイニー)、ポール(エマニュエル・ジャル)の三兄弟はカンサスシティにて職を探すことになるが、ひとりだけ女性のアビタル(キュオス・ウィール)は手続き上ボストンに離れて暮らすことになり、兄弟の悲嘆を誘う。ともあれ、白人の職安スタッフ、キャリー(リーズ・ウィザースプーン)の手引きで職探しに奔走する彼らの前には、故郷と違う生活様式とモラルとが横たわるのだった。〔110分〕 | [投票(1)] |
★3 | ボーダレス ぼくの船の国境線(2014/イラン) | 少年は国境の川沿いに生活している。打ち捨てられた廃船に兵士たちの監視をのがれて潜り込み、魚をとっては近所の大人たちに売り、小金を稼ぐのが彼の日課だ。だがその平穏を乱す闖入者がやって来る。少年とさほど変わらない年齢の、長銃を構えた子供が船に現われたのだ。彼は廃船内部にロープを張り巡らし、少年に国境として絶対に越えないことを強いる。闖入者の勝手な言い分に激昂し、隙を狙い銃を奪った少年だったが、どこかで見つけたらしい赤ん坊をあやす闖入者に態度を軟化させるのだった。仲間意識の芽生え始めた少年たちの住む船が、さらなる客を呼び込んだのは間もなくだ。それは、敵対する少女と某国の兵士のふたりだった。〔102分〕 | [投票] |
★3 | 台風のノルダ(2015/日) | 文化祭の準備に盛り上がる中学校。少年・東(野村周平)は誰もいない教室で制服を着る裸身の少女(清原果耶)を見つける。彼女はすぐに窓から飛び下りて姿を消した。心をそちらに向ける彼に、親友の西条(金子大地)が掴みかかる。西条が誘った野球部から抜けようとし、真意を語らない友が我慢ならなかったのだ。皆に喧嘩を仲裁されながら教室を出た東は、鉄塔の上に立ち嵐を呼び寄せる少女の姿を見る。ふいに気絶し、鉄塔から落下する少女を追って走る東。ほどなく台風が学校を包み、校舎に閉じ込められた生徒たちのなかで、ふたりと少女の一夜の物語が始まる。作画監督は石田祐康。〔27分〕 | [投票] |
★4 | 彼の見つめる先に(2014/ブラジル) | 生まれつきの全盲である少年レオ(ジュレルメ・ロボ)は、悪童たちの悪戯につねに晒されていたが、長年つちかった勝気さと、幼馴染みの少女ジョヴァンナ(テス・アモリン)のフォローから相手にすることもなくやり過ごしていた。それゆえレオは強気に海外留学すらも望み、過保護の母親(ルシア・ホマノ)たちを慌てさせるのだった。淡々と過ぎてゆく生徒生活のなかで、そんなレオたちの前に現われたのが転校生の少年ガブリエル(ファビオ・アウディ)だった。人懐っこい彼はレオの後ろの席に座ったことをきっかけに、彼と友情を育むべく様々な誘いを持ち掛け、その心を揺さぶってゆく。ジョヴァンナの性別を超えた嫉妬を引き出してしまうまでに…。〔96分〕 | [投票] |
★2 | ジミーとジョルジュ 心の欠片を探して(2013/仏) | 第二次大戦に従軍した米先住民のジミー(ベニチオ・デル・トロ)は、帰郷後激しい頭痛などの症状に悩まされていた。彼の母代りの姉ゲイル(ミシェル・スラッシュ)に付き添われて、カンサスの軍病院を訪れた彼の症状を誰も分析できず、先住民の研究に心を砕いていた仏人医師ジョルジュ(マチュー・アマルリック)が招聘された。ここから始まった対話式の分析法により、ジョルジュはジミーに精神疾患がないことを見抜き、彼の幼児期より現在に至る女性遍歴の特異さに目をとめる。そんなジョルジュは恋人マドレーヌ(ジーナ・マッキー)に過去をめぐり責められながらも、いつしかジミーとのあいだに友情をはぐくみ、関係を深めてゆくのだった。〔117分〕 | [投票] |
★3 | はじまりの街(2016/伊=仏) | ローマの主婦アンナ(マルゲリータ・ブイ)は、度重なる夫の暴力に耐えきれず息子ヴァレリオ(アンドレア・ピットリーノ)と家を後にした。彼女の親友であるカルラ(ヴァレリア・ゴリーノ)は温かく出迎え、演劇活動の拠点に使っているトリノの家の一室をアンナと息子に貸し与える。こうして親子の生活は再出発を迎えたのだが、厄介なことは活発な少年であったヴァレリオの変節だった。友を作れずに孤独な日々を送る息子は、ある日母親が隠した父からの小包を見つけ、感情を爆発させる。母とのすれ違いに傷つき、ヴァレリオは街に出て食堂の主人マチュー(ブリュノ・トデスキーニ)や娼婦ラリッサ(カテリーナ・シュルハ)に友情を求めるのだった。〔107分〕 | [投票] |