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さんのあらすじ: 更新順

★4罪の天使たち(1943/仏)その夜、刑務所を出た一人の娘が女子修道院へ入った。娑婆へ出ても男に食い物にされるだけの不幸な身の上だった。そこはそんな女達の駆け込み寺なのだった。ここへ良家の出の若いアンヌ=マリー(ルネ・フォール)が出家を志願してやってくる。誓願を立て一人前の修道女となるまでの期間が始まる。しかし彼女の過度の純真の裏側に、ある種の高慢を見て取って周囲は危ぶむのだった。ある日、訪問した刑務所で彼女はテレーズ(ジャニー・オルト)という反抗的な娘と出会う。一度はアンヌ=マリーを拒絶した彼女だったが、ある事情から信仰心のないまま修道院に身を投じる。そして二人の心には不思議な葛藤が生まれたのだった…。[白黒96分][投票]
★4戦國群盗傳(1937/日)土岐家の長子・太郎虎雄(河原崎長十郎)は北条家への上納金を野武士の群れに強奪される。賊の根城を探すうち甲斐六郎(中村翫右衛門)という男と知り合い意気投合するが、実は彼こそが当の盗人なのだった…。一方、北条家の問詰を受けた土岐家では太郎が金を横領し逐電したと釈明する。抗弁しようにも城の門扉は閉じたままピクリとも動かない。囲みを破り追手を振り切る頃、白々と夜が明けてくる。太郎は決然と家を捨てることを宣言し、六郎と共に野武士達を率いて去るのだった。向かう先は富士の麓の曠野。そこに自由の王国を築くために…。もとは『前篇 虎狼』『後篇 暁の前進』の二部構成だったが、総集編のみ現存。[白黒101分][投票]
★4新選組(1937/日)慶応四年、鳥羽伏見に敗れた新選組は波濤のなかを東へ向かう軍艦上にあった。二百を越えた隊士も今は四十五名。近藤(河原崎長十郎)・土方(中村翫右衛門)の憂愁も深い。最後の決戦を望んで京におけるすべてを、女達をも捨ててきた彼らだった。しかし江戸に着くと形勢は一変している。焦りをつのらせる彼らにやがて甲州鎮撫の命が下る。上様のお言葉と勝安房は言い、信じた近藤は感激して出陣する。その実、それは「大人達」による体のいい厄介払いなのだった…。その頃、肺を病んで植木屋の離れに療養中の沖田(嵐芳三郎)は『百人も斬ったのにまだ血を吸いたいと泣くのです』と傍らの刀を見やって明るく笑っていた。[白黒73分][投票]
★4兄いもうと(1936/日)日盛りの多摩川で護岸工事に汗を流す人足達。しかし親方の赤座(小杉義男)は何やら機嫌が悪い。娘のもん(竹久千恵子)が奉公先から身重で戻ってきているのだ。しかも相手の男は行方も知れないという。そのもんが家でうたた寝をしていると兄の伊之(丸山定夫)が帰ってくる。彼は母(英百合子)や下の妹のさん(堀越節子)の止めるのもきかず、これでもかと冷酷な言葉を浴びせ妹を泣かせるのだった…。やがて季節が一巡りした頃、小畑という若い男が訪ねてくる。赤座の応対は意外にも穏やかなものだったが、伊之は目の色を変える…。田園を舞台に描かれる兄妹愛と幻滅。戦後、二度にわたってリメイクされた佳品。[白黒60分][投票]
★4ダントン(1982/仏=ポーランド=独)1793年、恐怖政治の嵐吹き荒れるパリへダントン(ジェラール・ドパルデュー)が帰ってくる。熱狂する市民をロベスピエール(ボイチェフ・プショニアック)が窓から見下ろしている。革命を指導する公安委員会とダントン一派の激突はもはや必至だった。しかしロベスピエールは動かない。彼は深い懐疑と恐怖に囚われていたのだ。そしてそれはダントンも同様だった。最後の和解を賭けて二人はホテルの一室で対決する。かたや人生を愛する享楽家、かたや高潔な理想家、かつての同志は昼と夜ほども違うのだった。革命の論理は再び流血の供物を欲していた。断頭台は意思ある生き物のように人々の頭上に高く聳え立つのだった…。[カラー136分][投票]
★3恐るべき親達(1948/仏)イヴォンヌ(イヴォンヌ・ド・ブレ)は二十二歳の息子ミシェル(ジャン・マレー)が無断外泊したというので機嫌が悪い。ようやく帰宅した息子に恋人がいると明かされ逆上する。あんなに溺愛してきたのにこの仕打ち!一方父親のジョルジュ(マルセル・アンドレ)は息子の恋人がマドレーヌ(ジョゼット・デイ)だと知って仰天。それは彼の若い愛人だったのだ。居候のイヴォンヌの姉レオ(ガブリエル・ドルジア)は一部始終を醒めた眼で見ている。かつて婚約者を妹に譲って以来独身を通している彼女は恐るべき企みを提案する。明日みなで敵の家へ押し掛けるのだ。そして若い二人の仲を裂くのだ。大人として!親として![白黒][投票]
★3倫敦から来た男(2007/仏=独=ハンガリー)暗闇に白い舳先が浮かび上がる。フランスの港町。停泊する船の甲板に英語を話す男がいる。男は岸壁へ鞄を投げる。拾った男は別の男と争い、鞄ごと深夜の海に落ちた。その一部始終をガラス張りの制御室から見ていた者がいる。夜勤の鉄道員マロワン(ミロスラヴ・クロボット)である。海から拾い上げた鞄には英ポンド札が詰まっていた。朝、仕事を終えた彼は殺人を犯した男とすれ違う。いつも通り馴染みのカフェへ寄り、家路に就く。妻と不機嫌な会話を交わしながら朝食をとり、朝の光の中寝床にもぐり込む。普段と変わらぬ日常。夕方、目を覚まし街路を見下ろすとそこにあの男がいた。何かがゆっくりと動き出していた。深淵へ…。[白黒138分][投票]
★5ぼくら、20世紀の子供たち(1994/仏=露)1991年ソビエト連邦は崩壊した。失意の街をストリート・チルドレンが徘徊する。路上に廃ビルに矯正施設に少年刑務所に、カメラは彼らを追う。時には煙草をふかしながら笑顔で、時には暗い面持ちでその短い人生を語る彼ら。その明るさ・無邪気・転落・破壊・そして多分再生…。カメラは『動くな、死ね、甦れ!』等で主役を演じ今は青年期に入った二人の再会を写す。あの輝かしい撮影の日々を二人は追憶する。そして歌う。♪二人は愛し合っていた、まだ子供だったけど…。『動くな―』でスターリン時代を懸命に生きる子供達を描いたカネフスキーが、半世紀後再び「世界の崩壊」に直面するロシアの子供達を描くドキュメンタリー。[カラー84分][投票]
★4ひとりで生きる(1992/仏=露)極東ロシアの炭坑町。過酷な外界に住民の心はとうに朽ち果てている。ワレルカ(パーベル・ナザーロフ)は十五歳になったが家でも学校でも孤立している。飼っていた豚がつぶされ、その悲鳴が耳について離れない。いじめの蔓延している学校は校長とモメて退学になる。死んだ幼馴染の妹ワーリャ(ディナーラ・ドルカーロワ)だけは「あんたが姉さんを死なせた。悪党!」と言いつつ彼を好いてくれる。だがどの道彼の居場所はないのだった。拘留されていた日本人達も帰国するらしい。ある日彼は船に乗ってアムール河を遡る…。第二次大戦直後の「収容所群島」と化した世相に生きる子供達を描いた『動くな、死ね、甦れ!』の続編。[カラー97分][投票]
★4マラドーナ(2008/スペイン=仏)『マラドーナはやることなすこと失敗ばかりの主人公だ』―魔法の左足でW杯史上最高のゴールを決め、手でも決め、ブッシュとエリザベス女王とFIFAと資本主義を罵倒し、カストロとチェ・ゲバラに忠誠を誓い、肥満体になり、コカイン中毒で死にかけ、バラエティ番組で司会をし、デモで演説し、踊り、歌い、自分が何なのかわからないと呟くマラドーナ。サッカー界のセックス・ピストルズ?生まれる時代を間違えた革命家?いや、マラドーナとは宗教なのだ。戦争や貧困にとともに生きる人々の苦悩が生み出した聖像なのだ。その奇跡と転落と救済と恩寵をノー・スモーキング・オーケストラ他の音楽に乗せてクストリッツァが描く。[カラー95分][投票]
★3快楽の園(1967/伊)海辺のホテルに新婚の夫婦が泊る。カルロ(モーリス・ロネ)とカルラ(イヴリン・スチュワート)、同じ名前の夫婦である。結婚初夜、トイレが壊れて五分おきにゴボゴボいう。朝、妻は朝風呂のバスタブの縁に小さな失望を発見する。夫が寝過してもう一晩泊ることになる。妊娠三カ月の妻が倒れ、医者の夫は部屋で看病する。波の音が窓の外に騒がしい。そしてあくる朝…。新婚夫婦の二晩に交錯する快楽と恐怖と強迫観念。淫欲の罪・聖体拝領・子供の覗き見・お医者さんごっこ。ベルイマン、ラング、ルノワールも称賛したインディペンデント作品。題名はヒエロニムス・ボスの絵画(奇怪な生物が裸の男女をいたぶるあれ)からとられた。[白黒][投票]
★4パリ・オペラ座のすべて(2009/仏)世界最高級のバレエ団パリ・オペラ座を84日間に及び取材したドキュメンタリー。150名以上のダンサーとその最高位エトワール・芸術監督・振付師・音楽・衣裳・メイキャップ・美術・照明・事務職から掃除夫まで1500名のスタッフ。修道僧の精神とボクサーの肉体。繰り返される厳しい鍛錬。ダンサー達の激しい息遣い。42歳での定年(国家公務員なのだ)と年金。ガル二エ宮のネオ・バロック様式による華麗な装飾。屋上の蜂(小道具に使う)の巣箱。怪人の住んでいる(はずの)広大な地下水路…等など。演目は「くるみ割り人形」や「ロミオとジュリエット」他。ナレーションも音楽も排した静謐なスタイルによって描かれる美と情熱の殿堂![カラー159分][投票]
★3第九交響楽(1936/独)新年のニューヨーク。ハンナ(マリア・フォン・タスナディ)の夫が公園で自殺しているのが見つかる。公金を横領しドイツから逃亡してきた末のことだった。絶望のあまり床に臥せた彼女を救ったのはラジオから流れる音楽―ガルフェンベルク(ヴィリー・ビルゲル)指揮によるベートーヴェン交響曲第九番だった。回復した彼女は故国へ帰る。しかし里子にやった一人息子はすでに他家の養子となっている。彼女は母親とは名乗らずにその家に住み込みの乳母となるが、その家とは偶然にもガルフェンベルクの家なのだった。名指揮者と妻シャルロッテ(リル・ダゴファー)の間は冷めきっており、家庭内には寒々とした空気が流れていた…。[白黒][投票]
★3南海の花束(1942/日)日本が委任統治する南洋のある島。スコールの中を興亜航空支所長として五十嵐(大日方伝)が新任してくる。片足を引きずって歩く彼は元は操縦士だったらしい。その仕事ぶりは厳格で忽ち部下の反発を買う。台風の最中にも飛行を命じ、飛んだ機が行方不明になる。しかし操縦士の妻から激しく詰られても彼の態度は全く揺らがないのであった。次第に彼は部下達の信頼を勝ち得てゆく。そんな頃、戦時下の国策である赤道越えの南洋航路開拓がいよいよ実行段階に入る。支所にも巨大な飛行艇が配備されてくる。冒険的な第一回飛行に抜擢されたのは日下部(河津清三郎)だったのだが…。九七式飛行艇などの実機を使った本格航空映画。[白黒106分][投票]
★3真人間(1938/米)百貨店で働くジョー(ジョージ・ラフト)はハンサムで接客も巧い優秀な店員。しかし実は仮釈放中の服役者なのだった。店の経営者は理想主義者で多くの前科者を雇っているのだがジョーはそれを知らない。社会復帰への不安を打ち明けられる相手は同僚のヘレン(シルヴィア・シドニー)だけ。やがて二人は結婚する。夢のような新婚生活が始まる。しかしジョーは妻に幾つかの不可解な点があることを知る。結婚を周囲に隠すこと、戸棚の手紙の束、訪ねてくる妙な男…。そんな時、昔の仲間が接触してくる。彼らの強盗計画を憤然と退けた彼だったが、そこで妻についての思わぬ事実を聞くのだった。フリッツ・ラング唯一のコメディ。[白黒90分][投票]
★3地獄への道(1939/米)南北戦争後、アメリカは西部大開拓へと舵を切る。鉄道を通じて人・モノ・金がフロンティアへ雪崩を打つ。鉄道会社は莫大な利益を上げたが、繁栄から取り残された人々の怨みをも買ったのであった…。その日、ジェームズ兄弟の農場にも鉄道会社が土地買収の交渉にやってくる。冷静な兄フランク(ヘンリー・フォンダ)が応対するが相手は高圧的で、ついに弟ジェシー(タイロン・パワー)が発砲する。政治を牛耳る会社側は兄弟に逮捕状を発行させ、二人は逃亡する。数ヵ月後、開通した鉄道の初運行列車を強盗団が襲う。ジェームズ兄弟一味だった。たちまち二人は大衆の偶像となるのだが…。続編『地獄への逆襲』へ続く。[テクニカラー106分][投票]
★4地獄への逆襲(1940/米)ジェシー・ジェームズが殺された。撃ったのは鉄道会社の賞金に目が眩んだ元仲間のフォード兄弟、しかも背後からの銃撃だった。ジェシーの兄フランク(ヘンリー・フォンダ)は暴力沙汰から身を引いて農夫になっていたが、鉄道会社が二人を釈放させたと知って再び銃を手に取る。宣戦布告代わりに駅を襲い給料を強奪、宿命の対決が再開される。街が噂で騒然とする中、フランクは地方紙の美人記者エレノア(ジーン・ティアニー)に偽情報を流して敵を誘い出そうと企てる。エレノアは無法者とは思えない優しい物腰の彼に興味を持つのだった。西部開拓時代の強盗団「ジェームズ・ギャング」を描いた『地獄への道』の続編。[テクニカラー92分][投票]
★3激怒(1936/米)ジョー(スペンサー・トレイシー)とキャサリン(シルヴィア・シドニー)は結婚資金を貯めるため離れて生活していた。つましい暮らしの末ようやく結婚できることになり彼は意気揚々と出発する。ところが町の手前で保安官に尋問されそのまま拘置されてしまう。付近で起きた誘拐事件の嫌疑を掛けられたのだ。田舎町を興奮が渦巻き、集まってきた群集は保安官の制止を無視してジョーを私刑に掛けようとする。キャサリンが駆けつけてきた時、拘置所は巨大な松明と化して暴力に酔い痴れる人々の笑顔を照らし出していた。炎上する鉄格子の向こうに恋人の姿を見た彼女はその場に昏倒する。しかしジョーは生きていた。激怒とともに…。[白黒90分][投票(1)]
★4ドクトル・マブゼ(1922/独)精神分析医のマブゼ博士(ルドルフ・クライン・ロッゲ)は犯罪の天才。多数の手下を使い、次々に顔を変え、人の心をさえ自在に操る。証券取引所・キャバレー・劇場・秘密クラブ…人々の欲望が発熱する場所にはつねに彼の影が差す。しかし財閥の御曹司が賭博で大負けした事件をきっかけにフォン・ヴェンク警視(ベルンハルト・ゲツケ)が犯罪王国の存在を察知する。顔も名もわからない謎の敵の探査に暗黒街へ潜入した警視の眼前にはめくるめく悪の世界が広がっていたのであった。催眠術を使った殺人・爆弾・毒殺・誘拐・大衆扇動。死闘の末、警視はマブゼの情婦カーラ(アウト・エゲデ・ニッセン)の逮捕に成功するのだが…。[白黒][投票]
★4愚なる妻(1922/米)欧州大戦終結直後のモンテカルロ。夜も眠らないこの歓楽地に砂糖に群がる蟻のように集まる人々。王侯貴族・金持ち・芸人・そして闇の世界の住人たち…。海沿いのヴィラに滞在するロシアの亡命貴族カラムジン伯爵(エリッヒ・フォン・シュトロハイム)もその一人であった。遊蕩生活の末に彼は贋金造りに手を出すまでに窮迫している。折から赴任してきた米国公使ヒューズ夫妻は絶好のカモだった。巧みに接近するカラムジン。妻のヘレン(ミス・デュポン)はその優雅な物腰に忽ち魅了されてしまう。新興国から来た彼女の目に欧州の夜は妖しい輝きを放つのであった…。オリジナルは5時間以上にも及ぶ長編だったが短縮して公開された。[白黒][投票]