★5 | 天使が俺を追い駆ける(1961/日) | ナンセンス・スラップスティックに見えてかなりのハートウォーミング・コメディ。好漢三木のり平の人徳か、ギャグの古めかしさはむしろ気持ちのいい古典の美と映る。おバカな役柄の吉永小百合すら野暮を申さず応援できるから不思議だ。幸福な時代の珠玉作。 | [投票] |
★3 | 侍タイムスリッパー(2024/日) | この監督は今更なにを狙おうとしたのか、と途中まではシラケきった。だが文芸面で評価する映画ではなく、ここまでジャンルを愛するパッションこそが評価される作品なのだ。揚げ足はとらず、殺陣と侍の顔面こそを愉しむ。 | [投票(1)] |
★2 | 首(2023/日) | 「既成事実を破壊する」とは言ったものの、だんだんモチベーションが持続できなくなったのでは。秀吉であることを放棄したたけしは、どんどん長編コントの小ネタ構成に没入してゆく。男色とか衝動殺人とかTVでできないネタを散りばめただけでは、失せた興味を取り戻すには足りなかったようだ。 | [投票] |
★2 | 九十歳。何がめでたい(2024/日) | 何が面白いというのだろう。老人エクスプロイテーション映画か、あるいは佐藤愛子のプライベートフィルムか。草笛光子の逞しさに辛うじて加点はするが…。 [review] | [投票] |
★4 | はたらく細胞(2024/日) | 「見立て芸」映画の極北。馬鹿馬鹿しさも極まれば感心させられ、少女体内の清浄な勧善懲悪活劇と純愛が、父の体内ではうらぶれたドブ板街での逃走劇と男同士の愛(『パタリロ!』の加藤諒!)と化す、原作の描写をド本気の演出力で一気に押し切る。アクションの見せ方も進歩したものだ。 [review] | [投票(1)] |
★3 | ボルテスV レガシー(2024/フィリピン) | 初見の映画ファンを唸らせるような演出は皆無なのだが、日本製の原作をフィリピン国民がマルコス政権時代にダブらせる国民作としてリスペクトする以上、承知で再現しているのだろう。むしろ古色蒼然の玩具ロボットを、ここまで凛々しく見せる本気度にシャッポを脱ぐ。思い入れの深さを馬鹿にはできない。 | [投票] |
★2 | キングオージャーVSドンブラザーズ(2024/日) | 無難であるが、二戦隊の最低限の設定を踏まえ紹介しただけであり、擦れ違いざまに視線を交えたのみでドラマすら存在しない。クセのあり過ぎる両者を絡める無謀さはわかるが、金を出させて見せる以上これでは駄目だろう。タロウの名セリフは辛うじて活かし、全滅は免れた。 | [投票] |
★3 | Broken Rage(2024/日) | 十年一日の如し。特に後半はもはや「定型文の魅力」である。いっそ専業コメディアンに戻って活動すればいい…始終花魁のヅラを被って演技しつづける位の「自ギャグのゴリ押し」を演じるなら、「コマネチ」の意味が分らない若年層だって、苦笑くらいはしてくれるかもだ。 | [投票] |
★2 | 未成年 続・キューポラのある街(1965/日) | 右も左も大差なく、川口の街は等しくどう転んでも針地獄である。そんな中、絶望と妥協に右往左往する人々を尻目に、決意した小百合の正しさなど検証せぬまま、野村監督は彼女を放り投げて物語を終えたのだ。ファンのラヴコールに応えただけにしろ、こんな続編を誰が望んだろう? | [投票] |
★3 | 機動戦士Gundam GQuuuuuuX Beginning(2025/日) | コンセプトだけで高得点を与えてもいい出来。こういう斬りこみ方は余人の追随できぬ所であり、しばらく無人の荒野をひた走るもまた良し。しかし、手法だけで攫った話題もここまでだ。本編の出来具合によっては勢いだけと見放されても仕様がない。さて、ここからどう跳ぶかだ。 [review] | [投票] |
★3 | 窓ぎわのトットちゃん(2023/日) | 素晴らしいモノ、美しいモノの喧伝にこころは動かない世代だ。だが、そんな俺の意識にもそれらの喪失はなんと胸に迫るものがあるのだろう!影も姿も失われてゆく「価値あるモノ」を惜しむ哀しさの発露は、おそらく人間の根源に潜む感情に違いあるまい。 | [投票] |
★4 | ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ(2024/米) | なんて悲しすぎるミュージカルの断末魔!われらが昔胸を躍らせたあのイカれた文化は、もはやカリスマヴィランと同じくぶざまな姿で退場するしかないのだ。俺は泣きに泣いた。 [review] | [投票(3)] |
★3 | 映画 めんたいぴりり パンジーの花(2023/日) | 正直、こんなベタな脚本なら俺でも書けるのだが、それでもほんわかした気分になれるのは、華丸が底抜けに明るい亭主であり、富田靖子がカワイイ女将だからだ。アホなベタ話を昇華させるのは、つまりはアホの自乗にほかならないのだ。くだらぬエピソードだが、やってる本人が音を上げるまで演らせていただきたい。 | [投票] |
★4 | ゴジラ-1.0(2023/日) | ノスタルジー監督でいい。百田のバカの御用達監督でいい。この日本にエモーショナルかつ超科学におもねらないゴジラ映画が撮れる男は、もはや山崎貴しかいないのだ。例え俳優のセリフがアンチリアルであっても、本気でキワモノに命を吹き込もうと企む稀有な監督には感謝しかない。 [review] | [投票(1)] |
★4 | 川っぺりムコリッタ(2022/日) | まるで荻上直子の『どですかでん』のよう。群れても一人でも、その厚かましさに閉口させられる隣人に、過去を引きずり出されて仲良くなる過程。どうしても俺には馴染めないユートピアというのは本当にあるのでしょう。むしろ地獄から天国に移住するまでに、前科を洗い流す「煉獄」というのが、監督の思い描く薄汚いモデルなのでは。 | [投票] |
★1 | アリスとテレスのまぼろし工場(2023/日) | 凄まじい嫌悪感。この監督は大人と男が大嫌いで、この色情に餓えた美少女たちにより勃起を促したあと、都合のいい男を楯にして自分たちは生き延びようとする、とんでもない女どものアジテーターなんだろう。そういう部分を度外視すれば岡田の最高傑作だが、所詮ランバ・ラルをコケにする反マッチョ軍団の総帥。その承認欲求など認めるお人好しではない。 | [投票] |
★3 | 青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない(2023/日) | 正しい順序なのか判らないが、「ゆめみる少女」に続いて観て思うのは、ああ、語り口と音楽と絵の世界なんだな、ということ。きわめて美しく洒脱に語られる事実は、青春期の誰しもが経験するアタリマエにすぎない。でも、そういうシリーズなんだなと思ったあと、甘ったるい語り口のパフェを食べきったことへの脱力感はなく、後味はよい。 | [投票] |
★4 | Ultraman: Rising(2024/米=日) | 彼らは、我々の知るウルトラマンではない。だが、その戦いは、時代を追って意味を失ってゆく我が国の醜いウルトラマンたちより、なんと素朴で原初的な意味をもって行われているだろうか。沖縄に生まれ、祖国の実質的な壊滅を見てきた脚本家たちの魂に見せたかったものではある。 [review] | [投票] |
★3 | 好きでも嫌いなあまのじゃく(2024/日) | なんて勿体ないことを!数知れぬ魅力的なキャラクター、舞台となる現実の山形と隣接した鬼の世界の謎、その他をジブリオマージュを匂わせつつムリヤリ2時間に詰め込み、およそ魅力のない教訓で括っている。1クールで真面目に撮れば愛すべき秀作になったろうに! | [投票] |
★3 | BLUE GIANT(2023/日) | 実績のあるプロの演奏をそのまま活かすのは正解で、この映画の魅力の95%。熱血青年のユーモラスな青春放言がその価値をほとんどこそげ落としている。 [review] | [投票] |