煽尼采さんのコメント: 点数順
題名のない子守唄(2006/伊) | 音楽、ショット、編集の見事な三位一体。そして「転倒」や「身を傾ける」というアクションの反復による主題の描写。とはいえ、前半謎だらけのサスペンス調にしたのは、感情移入という点ではややマイナスか。二度目の鑑賞時の方が乗り易い。 [review] | [投票(1)] | |
女帝[エンペラー](2006/中国=香港) | 『ハムレット』では端に置かれた敵役の愛憎を前面に出し、出来事の因果関係や内容は大胆に改変しながらも、原作を構造的に読解し、‘仮面’という主題を抽出した見事な翻案。(原作のネタバレ有⇒) [review] | [投票(1)] | |
マンダレイ(2005/デンマーク=スウェーデン=オランダ=仏=独=米) | 「この国はまだ黒人を受け入れる準備が出来ていない」――本作の三年後、初の黒人大統領が選出された。が、アメリカの或る街では、彼が暗殺される日が賭けの対象にされている。 [review] | [投票(1)] | |
バイオレント・サタデー(1983/米) | “shot”の応酬。暴力的な映像以前に、映像が暴力的な破壊と侵入であるということ。 [review] | [投票(1)] | |
酒井家のしあわせ(2006/日) | ごく個人的な状況に、他人が出くわしてしまうシーンの連発による、気まずさ、場違いな感覚の演出が見事。この不調和な世界に揺れる人々のコミカルかつ真剣な生きざまを過不足なく描いて秀逸。そして谷村美月の妙な艶っぽさ。金魚の存在も必然的。 [review] | [投票(1)] | |
赤線地帯(1956/日) | 女たちの親密な雰囲気と丁々発止のやりとりが、微笑ましくも楽しい。だからこそ、その隙間から吹きつける、暗く冷たい現実の感触に戦慄する。 [review] | [投票(1)] | |
氷壁の女(1982/米) | アルプスの美景に見惚れるということ、ただひたすらに山に登るという行為、この二つがそのまま、時間性と情念の暗喩となる。抽象性と具象性の見事な結合。 [review] | [投票(1)] | |
海辺のポーリーヌ(1983/仏) | 誰かが自分自身について語る言葉。誰かについて他の誰かが語る言葉。どの言葉を信じるべきかの確かな根拠が無いのなら、最も美しい嘘を信じるのは愚かな事だろうか? [review] | [投票(1)] | |
何がジェーンに起こったか?(1962/米) | この映画で最大の悪役は、実はベビー・ジェーン人形なのかも。 [review] | [投票(1)] | |
アダプテーション(2002/米) | これは一人の脚本家の、自虐的自爆テロ。却ってアクションの無いシーンでこそパニックが起こっているという逆説。 [review] | [投票(1)] | |
叫びとささやき(1972/スウェーデン) | 塵より生まれし者が塵に還るように、沈黙から生まれた叫びとささやきもまた、沈黙に還る。神の沈黙、母の沈黙。 [review] | [投票(1)] | |
草原の輝き(1961/米) | 男の貞操という主題だけでも新鮮だが、精神と肉体の相克を介して展開するのは、絶えず前進し続ける時間と欲望、という、更に大きな主題。 [review] | [投票(1)] | |
ノロイ(2005/日) | 擬似ドキュメンタリーとしての徹底さ、緻密さが、致命的に欠けている。アイデア一本勝負で、細かい所に気が回らない監督の大雑把さ、乃至は小心さが気になるし、実に勿体無い。 [review] | [投票(1)] | |
乙女の祈り(1994/英=独=ニュージーランド) | 後の『ロード・オブ・ザ・リング』での幻想的映像美を予感させる、少女的空想世界の表現に唸らされる。あの、ただ綺麗で可憐というのではない、奔出する思春期の情動そのままの泥人形的な拙さが、何とも現実感があって良い。 [review] | [投票(1)] | |
戦艦ポチョムキン(1925/露) | モーゼの居ない『十戒』のような、正に群衆の映画。全ての群衆がモーゼなのだ。 [review] | [投票(1)] | |
時計じかけのオレンジ(1971/英) | 眼球を抉るイメージ。イメージの中のナイフと、イメージがナイフである事と。 [review] | [投票(1)] | |
第七の封印(1956/スウェーデン) | シリアスな映画だと思って観たら、意外とコメディー・タッチ。ただ、コメディーである事の恐ろしさというものがあって…、 [review] | [投票(1)] | |
鉄コン筋クリート(2006/日) | 原作のシロとクロは、もっともっとクソガキヅラしているから、アニメの方はコケシのように愛らしく見えちゃう。でも、背景美術の緻密な描き込みで、宝町の実在感はUP。 [review] | [投票(1)] | |
ゼイリブ(1988/米) | 資本家はインベーダー(侵略者)。消費者を「生ける屍」のように描いた『ゾンビ』と共に、反資本主義ホラーの双璧。 | [投票(1)] | |
ブリグズビー・ベア(2017/米) | 見事に作り上げられた絵空事は、無意味さバカバカしさに瓦解しそうな危うさを抱えながらも、人生の意味を教えてもくれる。創作という行為を他人事だと思わない心には、どうしたって響く映画。 [review] | [投票] |