水那岐さんのコメント: 点数順
ALLDAYS 二丁目の朝日(2008/日) | 視点は面白いのだが、如何せん監督の演出力と脚本家の描写力が幼稚すぎる。ゲイ、娼婦、そして赤線廃止運動家たちの存在感が現実に裏打ちされていない嘘塗れの体たらくだ。演劇出身の脚本家のためか、何事もセリフで説明されるのがうざったいし、画面のリアリティのなさには呆れ果てた。「張り紙」という小道具の使い方の無粋さよ。 | [投票(1)] | |
靖国 YASUKUNI(2007/日=中国) | 失望した。クリエイターが自分の訴えたい事実も正確に表明できないドキュメントなんて何の意味もない。…だが、そう自分に判断を下させた配給元や映画館の皆さんには感謝している。 [review] | [投票(1)] | |
人情紙風船(1937/日) | 確かに江戸の貧乏長屋の活写は見るべきものがある。しかし語られる物語の薄弱さが、自分を画面の外に踏みとどまらせたままだ。ペシミズムの羅列が如何に戦前の淀んだ空の色を移そうと、虚無は虚無から先に進むことはない。 | [投票(1)] | |
王妃の紋章(2006/香港=中国) | 絢爛豪華さだけが先立って、その実内容空疎なこのところのイーモウ節の継承作。戦いの様式美は舞踏劇としてみればまだまだ鑑賞に堪えるが、それが作品自体のリアリズムの最後の砦までも奪ってゆく。結果、物語はごくシンプルな「他人事」になる。色彩の乱舞からは、最早かつての輝きの片鱗すら失われてしまった。 | [投票(1)] | |
団塊ボーイズ(2007/米) | とりあえずカタルシスは殆ど得られなかった。邦題のショボさはそんなに作品と離反してはいなかった気がする。もっと漫画的でいいから、主人公達が一生一度のありえないほどの成功を獲得する話でよかったのじゃないだろうか。 [review] | [投票(1)] | |
クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ 歌うケツだけ爆弾!(2007/日) | ゲストキャラとしての京本政樹と戸田恵子の扱いが壊滅的に酷く、勿体なさ過ぎる。問題はシロを含む野原一家と戦う敵組織の煮え切らなさだ。 [review] | [投票(1)] | |
キトキト!(2006/日) | フィクションであれNFであれ、永遠のテーマとしての「母親讃歌」であり、それゆえの大竹しのぶの女神化なのであろうが、ここまで高らかに情緒的に母子愛をぶち上げてくれると、正直こっぱずかしくてDVDを叩き割りたくなる。武田鉄矢の『母に捧げるバラード』のCDとともに、マリアナ海溝の底深く沈めて忘却したい嫌らしさだ。 | [投票(1)] | |
マリア(2006/米) | この作品は、新約聖書でも神話的色彩の強い「ルカ福音書」を下敷きにしているようなので、イエスを救世主でなく思想家として評価する自分のような者には「だから何なの」としか言えたものではない。 [review] | [投票(1)] | |
サンシャイン 2057(2007/米) | 『2001年宇宙の旅』の昔から、近未来宇宙SFはテーマから外れた、人間の欲望に操られるサバイバルに大半の時間を費やされる。その裏にはキリスト教哲学に裏打ちされた「原罪」思想がのぞく。それが問題というよりは、それを求める監督の頭脳が問題だ。今時時代遅れのサブリミナル効果で何をしようというのだろう? [review] | [投票(1)] | |
サウスバウンド(2007/日) | 小学生でも判るアナーキズム講座。果たしてその真偽は? [review] | [投票(1)] | |
女は二度生まれる(1961/日) | 池野成の不安感を誘う劇伴に引きずられて、若尾がありとある男の間を川魚よろしく泳ぎまくる。未だ残る戦争の臭いをものともせず…。しかし妙にダレた演出のキレの悪さは、川島雄三らしくもない。 [review] | [投票(1)] | |
高校生心中 純愛(1971/日) | 普通でない高校生同士ですら、お互いに心中を誓い合うためには、性格破綻者に囲まれたこれほどまでの不幸のドラマに身を晒しあわねばならないのか。事に及ぶ前に雪合戦に戯れるシーンは、『泥だらけの純情』の亜流であることの暴露と映った。 | [投票(1)] | |
樹氷悲歌〈エレジー〉(1971/日) | 誰一人悪人はいないのに起こってしまう悲劇のナイアガラ現象。こういうのが一番タチが悪い。そんな話に、関根は脱ぎっぷりがいいからとポロリ・サービスまでつける。こうなると製作者は鬼畜か、と言いたくなってしまう。 [review] | [投票(1)] | |
高校生ブルース(1970/日) | 当時のセックス観の甘ったるさが、センセーショナルな音楽で妙な具合に彩られ、関根恵子が能面の無表情さで性戯に溺れる。これも70年代フリーセックスブームの落とし子か。 [review] | [投票(1)] | |
ガメラ対宇宙怪獣バイラス(1968/日) | 既に斜陽の趣を匂わせていた大映、その最後の輝きすら潰えようとしていた経過はこのフィルムの中に刻み込まれている。 [review] | [投票(1)] | |
ダメジン(2006/日) | 全体的に空気が重く、笑うに笑えないダークな雰囲気が漂う。三木監督の『どですかでん』というイメージが濃厚。彼はオリジナルより原作付き(にして原作をナメ切っている)作品の方が良いように思われる。音楽はポップな中にも哀愁がにじみ出ていて秀逸。 | [投票(1)] | |
クリムト(2006/オーストリア=仏=独=英) | 美醜に対する幼稚な問答の繰り返しと、最早古ぼけてしまった前衛と、ペシミズムと衒学趣味に彩られた「宿命の女」探しの貧相な迷路でできたフィルム。ここからは何も生まれるものはない。クリムトのプロフィールはこんな安っぽいものではない筈だ。 | [投票(1)] | |
海でのはなし。(2006/日) | スピッツありきの物語なのだろうが、それぞれのナンバーが場面に結びついていないし、むしろ明らかにされる重いファクトが中和されてしまう軽薄さを感じる。 [review] | [投票(1)] | |
天使の卵(2006/日) | 冨樫森のシスターコンプレックス・「ピュア」(というか夢精臭い)少年ものも、『ごめん』『鉄人28号』までは許したがいい加減イライラしてきた。あんたにはそれしかないんかい!? [review] | [投票(1)] | |
浪華悲歌(1936/日) | 未熟な照明技術とカメラのためか、画面上にある人物が誰で、何をしているかの判断が困難なのは仕方がないにせよ、ここぞとばかりに放たれる「名台詞」の不発に繋がっているようでは致命的。大阪弁で会話を律したのは当時としては画期的なのだろうが、それが作品の唯一の取り柄ではおよそ成功作とは言い難い、凡庸なトラジディ。 | [投票(1)] |