★2 | RIVER(2011/日) | 事件の傷跡も生々しい秋葉原で、ヒロインとともに探求する「現実」探しの旅。だが、ひとりの青年の故郷にあまりにも長い描写時間を費やすことで、秋葉原の「現実」が色褪せることを監督は理解していた筈だ。現実に重みの差がないなら、例えばメイド喫茶で食わされるオムライスの現実をすら等価値の事実として語る努力をせよ。それが誠実ということだ。 | [投票] |
★2 | 金門島にかける橋(1962/日) | 単なる「(悪い意味での)人間らしさ」に基づく色恋沙汰の話が、小奇麗な「反戦映画」にすり替わる手順があまりに拙劣。裕次郎の恋は他人を巻き込んで不幸にしてゆくばかりとしか見えないのだ。 [review] | [投票] |
★2 | ガラスの中の少女(1960/日) | 幼い恋慕の情を汲み取ってやれないのは、演技者の幼さゆえとは言い切れない。編集の拙劣さと徹底した予算不足がそれに影響していないといえば嘘になるだろう。少年少女の家庭のありようを対比させる興味深い演出は突出してはいるが、どうにも心に響くべき言葉が噛み合わず、異国の溜息としか届かないのはそのためだ。 | [投票] |
★2 | 男の紋章(1963/日) | マカロニ・テイストな(と、この時代の映画を言うのはおかしいが)殺陣など凄みはたっぷりなのだけれど、一貫しているのは英樹坊やの意地っ張りな点のみ。最後の最後でドッチラケになってしまった演出は救いがたい。ママや幼なじみは「ああ」であってくれれば安心して反応できるのだろうが…。 | [投票] |
★2 | 遊侠五人男(1958/日) | 遊侠ではない人も交えて、目張り白塗り五人男のぬるい殺陣が欠伸を誘う。…というより昔ながらの牧歌的バトル演出がつまらないのだ。伝法さが目を引く木暮実千代のお藤なくしては、単調にも程がある田舎芝居にしてスターの無駄遣い。 | [投票] |
★2 | ベルセルク 黄金時代篇III 降臨(2013/日) | 諧謔の這い入る余地なき四角四面な本作映画を眺め、それでも馴染んでいるつもりで最後までも眺めれば、ここに来て一見さんの「絶望」お断りの札が高々と翻る。いや、原作ファンの「鬱展開必至」との噂に期待を膨らませ過ぎた俺の「怖いもの見たい」根性が悪いに相違ないのだが。 [review] | [投票] |
★2 | 夏への扉(1981/日) | これはすでに賞味期限切れのアニメ。頻出する止め絵、ポエムの朗読、衒学的な決め台詞、はたまた花や落ち葉の乱舞といった効果は平成の世にあっては受け入れがたい。だがそれ以上に、この物語の舞台がなんちゃってヨーロッパでしかないのが最大の問題点。地に足のつかぬ台詞を安心して吐けるのが、このあやふやなステージの存在理由なのだ。 | [投票] |
★2 | 拳銃無頼帖 明日なき男(1960/日) | 総じて順を追うごとに、このシリーズの赤木圭一郎が軽薄になってゆくのはおそらく演出・脚本のつまらなさのためだろう。「いかにも」な「日活スタイル」を彼に強要して事足れりとすることで、日活アクションにおいても中の下以下にしか位置できない映画の量産を生んだスタッフの罪は重い。結局、赤木の代表作は何だと規定すべきなのだろうか。 | [投票] |
★2 | 打倒 KNOCK DOWN(1960/日) | 自虐的にボクシングという舞台を貶め、そこにある全てをペシミスティックに否定するような筋書きが癇に障る。それ以前に脚本の気障ったらしさが受け入れられなかった時点で、この物語への感情移入度はゼロだ。 | [投票] |
★2 | 宇宙刑事ギャバン THE MOVIE(2012/日) | これがアクション映画である以上、アクション場面が冴えていることですべての欠点を帳消しにすべきなのは判っている。しかしこの映画のアクション、俳優の力、CG処理の美しさをチャラにしてしまうのが、脚本と編集の並外れてはげしいダメさ加減なのだ。 [review] | [投票] |
★2 | 伏 鉄砲娘の捕物帳(2012/日) | ヒロインの内面の成長を描ききる、その豊かな表情演出は素晴らしいが長所はそこだけだ。活劇も恋愛劇も登場人物の有効なキャラ付けがなければ成り立たず、デフォルメされた人物の心情を雄弁に表すアクションなくしてアニメも構成されない。その欠点を「江戸っ子の粋」という作者が理解できないもので覆い隠すのはごまかしだ。 [review] | [投票] |
★2 | それでも、愛してる(2011/米) | 一見、躁鬱病患者の人生について真摯に捉えた脚本のように見えるが、真剣にこの病の発症を考え、怖れている人々にとって、この奇妙な治療法が功を奏するわけがないのは自明の理だ。そしてもうひとつの問題点がある。 [review] | [投票] |
★2 | 二人の世界(1966/日) | ムードアクションの一作としても、恋愛もアクションもこれといった見所のないこじんまりとした一作。熱血漢・裕次郎とクールな二谷、そして熱を内に秘めるルリ子のトリオは確立したようだが、そのバランスの妙を見極めるだけで安全牌の域を出ていない。せめて犯人の見えないミステリーなら、もう少し盛り上がったかも知れぬものを…。 | [投票] |
★2 | 俺は銀座の騎兵隊(1960/日) | 靴磨きやボーイで生計を立て、バス暮らしする最下層少年たちの奮闘物語と、観客とかけ離れすぎた境遇は逆ステータスとも見えてしまう。イキがりつつも子供の隠れ蓑から無縁になっていない和田のお子様ぶりに合わせる大人俳優たちも気の毒だ。もっとも初井言栄のキリッとした小母さんはちょっと見ものだった。 | [投票] |
★2 | 光のほうへ(2010/デンマーク=スウェーデン) | 作為的な悲劇演出のもとに、それぞれに底辺に暮らす兄弟たちを観て、観客は相応の涙を流してくれるのか…新派大悲劇の体裁ではないにしろ、内面に大した相違はないこの作品の突き詰めたテーマはそれでしかない。 [review] | [投票] |
★2 | 闘牛に賭ける男(1960/日) | 闘牛試合は大抵の場合八百長であり、こういう「夢の海外旅行」ムービーなればこそ、本気で命を賭ける裕次郎が道化に見えることはさておいても、北の某国のアナウンサーのように鬼気迫る表情を崩さない北原三枝の演技もどうしたものかと思わされる。まだ青臭い主人公に余裕の遊び演技はこなせなかったにしても、見ていて辛い。 | [投票] |
★2 | 俺にさわると危ないぜ(1966/日) | コメディなんだか「手に汗にぎるサスペンス」なんだか、出演者でさえ確信をもって演じているのだかと首を傾げさせる中途半端さ。タイツ忍者の断末魔の愁嘆場演出なんか如何にもアホらしい。でも、複雑な役の演じられないマイト・ガイには、恋のゲームを愉しむショーン・コネリーばりの余裕も持ち得ないのは承知の上なのだが。 | [投票] |
★2 | アリラン(2011/韓国) | ギドクを「韓国の北野武」と呼ぶのは非常に嫌なのだが、今回ばかりはこの作品が『監督・ばんざい!』に等しいというネガティブな意味でその比喩を使わざるを得ない。本作をギドクは「ドキュメンタリーであり、ドラマでもファンタジーでもある」と形容するが、ことジャンル論で言うならこれはセルフ・チア・フィルムだ。実験作とてエンタテイメントの性格を棄てなかったギドク作品にあってベクトルは確実に歪んでいる。 | [投票] |
★2 | 劇場版 仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー(2009/日) | 演技が巧くない、カッコ良くない、明るくない。どれかひとつを否定できれば充分「仮面ライダー」役をこなせるものの、三拍子揃ったディケイドにはみごとに役者の華が欠落している。 [review] | [投票] |
★2 | 俗物図鑑(1982/日) | ツツイスト内藤誠作品ゆえに、原作のセリフをほとんどいじらずに演技させたのが裏目に出た。舞台ならそこそこ見られようが、映画としては観るに耐えない代物だ…例え志は高くとも。唯一、魔性の美貌をたたえる朝比奈順子以外は、筒井ファン芸能人の学芸会。 | [投票] |