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エピキュリアンさんのコメント: 点数順

★4まぼろし(2001/仏)身体の部分からゆっくり引いてそこに物語を生み出す。海岸の遠景の人物をじっくり時間をかけて撮らえることで出来事がそこの人物に与えた衝撃を鮮明にする。部屋の中で二つの時間をワンショットで混在させる。そういう典型的なカメラと演出をていねいていねいに使って、心の奥の孤独を描いた作品。カメラへの愛に溢れている感じ。[投票(2)]
★4アタメ 私をしばって!(1990/スペイン)最初の撮影所に突入しちゃうとこで、変質的な執着と、純愛は、どうちがうんだ?という根源的な問題をあざやかに突き付けられた気がした。だから、もう後は、すっかり彼等の世界に飲み込まれて、自分の理性と官能の境界を思いきり侵食されて、楽しかったー。人生を分かりやすく薄っぺらにしたら、快楽も薄くなっちゃうよ、と言われてるようで、ついシーシーセニヨーラってうなずいちゃう![投票(2)]
★4海の上のピアニスト(1998/伊)アメリカ的な「勇気」とかで、常に新しい空間的なフロンティアに挑戦することを賛美する文化の流れへの、批判としてある映画なんじゃないか、と思った。だって、自分の心=美意識に挑戦しつづけることだって空間的には内向してみえるけど、立派なチャレンジだと思うのね。その映像的な表現として、ボールルームをピアノが滑って踊るシーンが必要だったに違いない。美しい。[投票(2)]
★4祭りの準備(1975/日)西欧化された表層のせいで、、なんか後ろめたいというか、それは後退ないし堕落である、と感じている土着的な幸福感を、素直に喜んでいいのかもしれない、と思わせられました。そんな土着的なものが自分の中にも残っていたことさえ、忘れていた。自分がアジアの一員であることを、ちょっと喜びたい。[投票(2)]
★4髪結いの亭主(1990/仏)アラブの音楽と、ジャン・ロシュフォールの踊りがいい。このふたつが、エロ親爺をつづけるには、呑気な愛情と強靱な意志が必要なことを象徴している、と思った。おとぎ話のような愛情は、如何にして可能か、を思考実験したような作品。それを永遠にするには、あのラストしかないでしょう![投票(2)]
★4ドグマ(1999/米)ケビン・スミスは、言葉、宗教、ジェンダーなどなど、無意識のレベル(パソコンで言えばOSのレベルかな)で、人間を縛り付けているものに、興味があるのね。なぜ人間はそうやって知らず知らずに自由を奪われているのか、すごく分かりやすく啓蒙してくれる映画でありました。あれ、キリストも同じようなことをやったんじゃ・・・?(笑)。[投票(2)]
★4八月のクリスマス(1998/韓国)ああ、こういう人が確かに生きて死んでいったのだな、という「実感」が刻まれる。それは映画のなかではなく、こちらの心の中の変化なのだけど、そういう実感を与えてくれる映画(とキャラクター)はとても希有。それはこの映画で「街」がもう一つの主人公なことと関係していると思います。愛すべき作品。[投票(2)]
★4ピアノ・レッスン(1993/豪=ニュージーランド=仏)意志の物語。ヒロインの中の唯我的な自己世界が、野卑で激しい自然のなかのピアノという自律的な強度をもった美の存在との相似形とともに描かれる。そして、その調和がこわされるとき、彼女は初めて他者を受け入れる。だから「自分の強い意志が怖い」っていう台詞は自明すぎて野暮と思ったけど、それでもこれを「女のワガママ」の映画と見る人がいるので、しょうがないのかな。[投票(2)]
★4フェイク(1997/米)これは、ストーリーとかよりも、その人間の「存在感」をフィルムを通して味わう作品だと思った。アル・パチーノは、そこに立っているだけで悪と善を匂わせるし、最初にクローズアップされるジョニーデップの眼も、凶悪さと純粋さを合わせもつ。そうでなくちゃ、実話と張り合えないし、アウトローは、人をそういう存在感で、見抜いて生きてきたんだもんね。動物のように。[投票(2)]
★4オーシャンズ11(2001/米)この冷たい温度は、なに?豪華キャストで、単純金庫破り物で、しかもベガスなにの。リメイクだから?ちがう気がする。この冷たいカメラと編集は、もうほとんど自主制作映画みたい。ハリウッド級の要素をもちながら、作家性が強いのって、私は、ちょっとすき。嫌いな人は嫌いだろーけど、私は大好き。[投票(2)]
★4存在の耐えられない軽さ(1988/米)すごい以前に観たので、細部を忘れてしまいましたが、とても充実した時間だったことを覚えています。理念的な主題を扱いながら、それを具体的な出来事として映像化できたことで、とても密度の高い映画になったのだと思います。とくに、東欧と西欧それぞれの、人と街、それから光をきわめて的確に体験させてくれた気がする。「裏アンダーグラウンド」かな。[投票(2)]
★4ひまわり(1970/伊)ひまわりをモティーフにするなんて!凄い。一番大事なことあきらめて淡々と生きてゆかなければならない人生もある、っていう認識に泣ける。なので、頭のなかで『シェルブールの雨傘』とリンクしちゃう。あっちのモティーフは雨傘だけど。こういう恋愛を映画にできるって、すごい成熟してるとおもいます。[投票(2)]
★4ベティ・サイズモア(2000/米)喜怒哀楽とか悲劇と喜劇とかいう分類(観る側も作り側もある)に果敢に挑戦しようとしているところが好き。こういう試みを理解してお金を出したり、スタッフとして貢献する人が少しでもいるのって、凄いと思う。作品はぎりぎり成功とは言えないんだけど、これは愛すべき挑戦にちがいない。[投票(2)]
★4復讐するは我にあり(1979/日)その場の光で撮影する、っていう信念で、突っ走るように丁寧に撮っているその粘着質で執拗な姿勢が緒方演じる犯罪者の性格そのままだし、一見誠実でじつは狡猾な語り口がその父親そのまま。映像で語るってこういうことなのね。[投票(2)]
★4ブレア・ウィッチ・プロジェクト(1999/米)2台しかなく、しかも主観撮影しかできない、という条件を、よく工夫してドラマを生み出したと思います。あと、音がすごい。台詞の声から、環境音のなかにかすかに聞こえるノイズまで、音響設計は特筆もの。低予算でも工夫すれば映画はできることを世界に示した意義は、大きい。[投票(2)]
★4ダイ・ハード(1988/米)何よりも秀逸とおもったのは、ガラスの破片が一面に散らばった床のエピソード。ここの切り抜け方が、たぶん、この映画の基本姿勢ではないでしょうか。しかも、そのあとにトイレで電話しながら(ストーリー上、重要な会話)後処理をしているシーンもさりげなく入れてあり、秀逸。[投票(2)]
★4惑星ソラリス(1972/露)考える葦とか、思う故に我あり、とかいうけど、じっくり我慢つよく、根気よくつくれば、人間の存在になんする観念を、こんなにわかりやすい映像に具体化することができるんだ、と、畏怖の念でいっぱいになります。もっと、ちゃんと考えようっと、と思わせてくれる啓蒙映画。[投票(2)]
★4ざくろの色(1968/露)図像・イコンの映画。宗教画の基になった図像から絵画へ、写真へと変転して映画に辿り着いた表現手法が、その始まりの図像を、そのままシーンとして再現するとは・・。はじめは望遠鏡をさかさまに覗いたような遠近感にめまいを覚えたけど、それは、かなり心地良いめまいでした。[投票(2)]
★4チャーリーズ・エンジェル(2000/米)ばっかじゃねーの、っていいながら、がははははは、といって楽しめる。そのためには、アクションもカーチェイスも爆発シーンも手を抜いてない。次のカットでは手前で別の服を着てても、ウエットスーツ脱ぎつつ半裸で洞窟に入るまでちゃんと見せる。そういうとこ、偉いなあ。[投票(2)]
★4M★A★S★H(1970/米)死と生の境界にいる軍医。正常と異常の境界にある戦争。現実と観念の境界にある映画。それぞれが、同時に進行して緩やかなカタルシスを迎える作品。このアルトマンは、すごくラジカルに見えたんだけどなあ。[投票(2)]