★3 | 乱れ雲(1967/日) | 夕闇に沈む湖面。雨の中で震えるヒロイン。美しい映画だが、メロドラマという様式がもはや時代遅れであることも明白に。一つの様式とともに一人の偉大な監督のキャリアにも幕が…。 | [投票] |
★3 | 大日本帝国(1982/日) | 脚本家の「天皇の軍隊」に対する思いはともかく、80年代東映大作映画特有のあざといメロドラマ的演出に辟易。このテの湿った描写が日本の戦争映画をどれほど駄目にしているか…。 | [投票] |
★3 | ローズ・イン・タイドランド(2005/カナダ=英) | 死臭に満ちた荒地。美しい過去の残骸。怪奇な隣人たち。お伽話の力を武器に生き抜くヒロイン。夢と現が混濁したギリアムらしい映画だが、原作を読んだ方が面白そうな気も…。 | [投票] |
★3 | 野良犬(1949/日) | 黒澤の現代劇が苦手な私にとって、この映画は鬼門だ。テレるということを知らない大仰な演出。この世には白と黒しかないかのような勧善懲悪。力感溢れる映像は素晴らしいとも思うが。 | [投票] |
★3 | 祇園囃子(1953/日) | 『祇園の姉妹』のピカレスクな闊達さはどこへいった?世間並みの道徳など拒否したところにこそ芸者の自由はあると思うのだが。この映画の溝口は綺麗事になっていやしないだろうか? | [投票] |
★3 | 花くらべ狸御殿(1949/日) | 狸映画が楽しいのは、一体これはどこの話なんだ?というような滅茶苦茶も、狸がやるなら許されること。そもそも映画を観るということは、狸に化かされるようなものではないだろうか。 | [投票] |
★3 | 硫黄島からの手紙(2006/米) | 玉砕戦の狂気と栄光を描くのは、常識人にはさすがに難しかったか。しかし、あの戦争をこれよりきちんと描いた日本映画をほとんど思い出せないのも確か。イーストウッドは健闘している。 | [投票] |
★3 | オペラ座/血の喝采(1988/伊) | かつては漂っていた狂気の影は跡形もなく、ホラーというより自作のパロディ。奇想はただのコケ威しに、耽美はゴテゴテした悪趣味に転落。すっかり毒が抜けてしまったのは幸か不幸か。 | [投票] |
★3 | 父親たちの星条旗(2006/米) | 兵隊のヒロイズムとは否定形でしか語りえないもの、声高に語るべきものではない。神話的な戦いを品格をもって描いたイーストウッドに感心。この潔癖さこそ、この人の美点だと思う。 | [投票] |
★3 | 悪魔の手毬唄(1977/日) | 部分部分は悪くないのだが、全体としては『犬神家の一族』のような化学変化は起きなかった。その最大の理由はキャアキャアした岸恵子。前作の島田陽子のような翳りがほしかった。 | [投票] |
★3 | アウトロー(1976/米) | 怨恨を含んだ流浪のガンマン、というイーストウッドがよくやる役。しかし結晶化するには到らなかった。同じ南北戦争における南軍ゲリラの話ならアン・リーの『楽園をください』の方がいいと思う。 | [投票] |
★2 | アウトレイジ(2010/日) | 残酷フェティシズムは極端な内向の裏返し。そこに他人が存在しないため、人形の首をもいで喜ぶ子供のような情緒欠落しか感じられない。怒鳴る・いたぶる・死ぬの三種類では貧困過ぎる。 | [投票(3)] |
★2 | スクール・オブ・ロック(2003/米=独) | ロック魂なし。豚の首を投げるとかギターに火をつけるとか学校に火をつけるとかJ・ブラックに火をつけるとか、何でもいい、ぶち壊してくれ。保育園児の方がよっぽどガッツがある。 | [投票(2)] |
★2 | 機動警察パトレイバー2 the Movie(1993/日) | 映画の中でいくら戦争を語っても、戦争を「知らない」ことの逆説的な証明にしかならない。独り遊びにも似たお喋りにげんなり。映画はオモチャ。戦争がやりたいなら理屈は不要では? | [投票(2)] |
★2 | バイオレント・サタデー(1983/米) | ペキンパーの被害妄想と繁栄の中で腐敗する市民への敵意が大暴走。世間と折り合うなどとは無縁の親父である。その孤立ぶりを象徴するかの如く十八番のモンタージュも見事に空転した。 | [投票(1)] |
★2 | アギーレ 神の怒り(1972/独) | 緑の荒野で国家のパロディを演じる盗賊たち。国の起源とは案外こんなものなのかも。アギーレ=神武天皇?いずれにせよ、彼らは黄金郷を求めて実は自分の頭の中をさ迷ったのだ。 | [投票(1)] |
★2 | 高校大パニック(1978/日) | 数学が出来ないといろいろと困ったことがおきる。たとえば、学校に反抗するのにわざわざ一番幼稚な方法を選んでしまい、自滅するしかなくなったりする。若い浅野温子に★一つプラス。 | [投票(1)] |
★2 | ジャン=リュック・ゴダール/遺言 奇妙な戦争(2023/仏=スイス) | ゴダール最後の作品にこんな点はつけたくないが、つまらないのだから仕方がない。観客にケンカを売るがごとき冒頭の入り方にらしさは垣間見えるも、あとは偏屈映画老人の落書き帳。ただ、「痛み」のようなものは伝わってくる。ヒップで上等なジジイであった。 | [投票] |
★2 | ヘヴィメタル(1981/カナダ) | エイリアンだ変身だデカパイ女だのB級のガラクタは決して嫌いではないが、モテない男特有のオーラが全編に漂っていて赤面する。音楽の大半はへヴィ・メタルとは何の関係も無いし。 | [投票] |
★2 | イラク −狼の谷−(2006/トルコ) | フル装備の分隊を拳銃で壊滅してしまうトルコ人の強さ。米軍の悪逆非道。クルド人の陰険さ。イスラムの教えの正しさ。…等などイラクの真実が白日の下に。大変勉強になりました。 | [投票] |