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エピキュリアンさんのコメント: 点数順

★5華氏911(2004/米)ブッシュ政権が情報を断定していないように、M・ムーアも慎重に断定を避けてる。にもかかわらず、ほとんどすでに公開された映像を再編集するだけで、意味の方向がこんなに違って見える、ということを示しただけでも、素晴らしいと思う。メディア、あるいは映像のリアリティそのものへの批判になってるところが素晴らしい。[投票(4)]
★5フリーダ(2002/米=カナダ)フリーダの絵も彼女の身体に起こったことも、有名なので以前から知っていたけど、この映画はそこにだけに焦点をあてずに、政治的な状況におかれ、つねに正しいことをしたい、という激しい意志をもった人間を描いていて訴えるもの溢れていた。映像と、途中挿入されるアニメーションが秀逸。英語なのがヘンだったけど。[投票(4)]
★5山猫(1963/伊)舞踏会で10代の女の子たちがはしゃいでいるのを指して「まるで猿だ」と吐き捨てる怒りと悲しみと孤独が胸に刺さった。これは没落でも世代の交代の映画でもなく、「変わないために変わる続ける」という想像を絶するほど堅牢で退屈な歴史を理解している貴族を描いている。諦念とともに気品を保つことの孤独。[投票(4)]
★5「女の小箱」より 夫が見た(1964/日)舞台になるどの部屋も、すごく狭いのね。テーブルやソファ、ベッドとかで床が見えないほど狭い。しかも物がごちゃごちゃしている。さらに影を活かすリアルなライティングなのでそこにうごめく人間たちが、なんか穴の中の昆虫というか爬虫類みたいでグロい。増村の美学は、こうしてつねにストーリーと密着しているのでした。[投票(4)]
★5ローマの休日(1953/米)酒臭いという台詞、ベッドから転がすアクション、ドオモの前の本当に暑そうなロケ、けっこう狡い登場人物たち、そして最後などなど。較べると、現在のロマンスストーリーのほうが、予定調和で夢物語な気がする。オードリー物の凄いのは、おとぎ話のようで、案外、どれもリアルなことではないかな、と、いつも思います。[投票(4)]
★5マルホランド・ドライブ(2001/米=仏)さらさらの透明な粘液のような時間が、行ったり来たり。その流動性にいつまでも身を任せてしまいたい、と思うほど、それは麻薬的に気持ちいい。とりあず、しばらく考えるのをやめて、リンチの粘液のなかをたゆたっていたいです。語るより観るほうが楽しいなんて、ほんとに至福な映画だと思う。[投票(4)]
★5エンドレス・ワルツ(1995/日)広田玲央名と町田町蔵が、すばらしい。こまかなこと置いておいて、すばらしい、と言いたい。ふたりとも、ほとんど、その役を生きているよね。身体で理解してる、って感じ。それが伝わってきて、高速度で生きたい、と感じることの痛みをしっかりフィルムに残せていると思う。玲央名さんの顔、やまだないとがサンプリングしたのかな?美し悲しエロい。[投票(4)]
★5残菊物語(1939/日)この丁寧で緻密でシーンごとにほんとに迷いながら進んでゆく物語と演出に触れて、そっか今の映画の脚本はパターンで書かれているんだ、と思った。ちょっとした逡巡や、想い余っての勇み足などのディティールが「痛い」のは、脚本家も監督も役者も、高を括らずに物語を真摯に生きているからだと思いました。グローバルな品質の逸品。[投票(4)]
★5昼下りの情事(1957/米)不道徳なものに、いかに品位を見いだすか。腐りかけたものに、いかに美味しさを発見するか、ってことに挑戦した作品に見えた。そのために、何をしても汚れない感じのヘップバーン、愛し方をしらない子供のような老人クーパー、そして熟れきったリッツホテルとパリは、不可欠なキャスティングだったんだろうと思う。[投票(4)]
★5アメリ(2001/仏)人は自分の思い出や記憶を都合よく編集して生きてゆく。人は自分の夢を特撮さえ駆使して頭に描く。そうやってわれわれは毎日リアルと対抗して頑張って生きてゆく。映画って、じつはそこに直接ひびく娯楽だったんだっけ。だから、人生に絶対に必要なんだよな!ジュネはそれを楽しく気づかせてくれた。[投票(4)]
★5ランボー(1982/米)これは、スタローンの映画ではなく、ちゃんと脚本家と監督の映画である。平和をまもるために殺人兵器にされた男が、任務後にその平和な社会で疎外され、反撥する物語。ほとんど詩的とさえ言える孤独と動物的な自立性が、フィルムに静かに美しく描かれている。[投票(4)]
★5ミクロの決死圏(1966/米)初めて観たときに、潜水艇のデザインの素晴らしさ、体内の正確さと美しさに、半年ぐらい夢心地だった。で、ある日「え?体内って、ほんとは真っ暗じゃん・・・・」と気づき、いばし落ち込むが「でもミクロの決死圏好き」と思い直した。映画への愛に目覚めた瞬間かなー(遠い目)。[投票(4)]
★5ナイト・オン・ザ・プラネット(1991/米)ウィノナを観るジーナ・ローランズの眼差しが好き。目の見えなくなったベアトリス・ダルが大好き。これ観た後、JFKでタクシー乗って渋滞をちょっと走ったら黒人の運ちゃんが黒人の女の子を呼び止めておしゃべりし始めて、私に振り向き「いとこなんだけど、乗せってっていいか?」だって![投票(4)]
★5イギリスから来た男(1999/米)長期記憶と短期記憶をどう映像化するか。前2作を観たらそこでも挑戦して失敗してたが、ここで成功しているのは、なぜだろう。考えたい。父・娘・その恋人の関係を、軽やかにしかし深く切り取った脚本。テレンスのほやほやの薄い髪と、P・フォンダの糸楊枝が、すばらしい。 [review][投票(4)]
★5青いパパイヤの香り(1993/仏=ベトナム)冒頭の長回しに、ノックアウト。パパイヤをさくさく切ったり炒めたものをその上にのせたりの調理のシーン、作曲家のピアノの部屋の調度が仏植民地ならではの不思議な美しさ。で、ドビュッシーの楽譜。それに見入るヒロイン。なんだろう、この時間の濃さは・・・。[投票(4)]
★5ベルリン・天使の詩(1987/独=仏)いろいろあるけど、図書館の階段の手すりにとまっている天使が、老人(だったかな?)を首を傾げてのぞき込む様子に、思わず涙がでそうになった。理由はわからない。人を心配しながら、天使自身も寂しそうだったからかなあ。[投票(4)]
★5ドッグヴィル(2003/デンマーク=スウェーデン=仏=ノルウェー=オランダ=フィンランド=独=伊=日=米)あー退屈かも・・と思って見たら、めちゃくちゃ面白かった!。演技ってなんだろう、って考えちゃうぐらい、個々の役者の感情が赤裸々で、それが壁のない空間で透けて見えちゃうことが、ひとつの演出なんだなー、と感心した。見る物を悪へとつれてゆく手並みが鮮やか。しかし命を削って撮ってるね、トリアーは。[投票(3)]
★5座頭市(2003/日)俗っぽさがいい意味で全編に暖かい血のように通っていて、意外性と娯楽性のバランスが絶妙で、見ている私はすごく楽しめました。物語よりも前に出ずに控えめなカメラや編集がリラックスされてくれるのかな。しかも適度に映画の常套句を裏切る仕掛けがあってスパイスもきいているし。ただ殺陣のCGが完璧ではないので殺陣のたびにハラハラしちゃった。[投票(3)]
★5雁の寺(1962/日)黒く光る廊下。木の引き戸にベッド。雨戸に喘ぎ声。袈裟にネグリジェ。などなど、心の暗部を刺激する映像的な素材が、満載!!その極めつけが、僧侶と若尾文子なのではあるまいか?この二人を墓地に並べて立たせただけで、もう完璧にエロいに違いないもんね。[投票(3)]
★5しとやかな獣(1962/日)すごい!舞台芝居に挑戦するかのようなワンセッティング撮影。そのために工夫された多様なカメラアングル。畳みかけるようにつぎつぎに起こる出来事。ラッキョウのような真実(笑)。目の離せない役者たち。いうまでもなく素晴らしい若尾文子(もっとリスペクトされるべき!)。世界中に自慢したい逸品です。[投票(3)]