煽尼采さんのコメント: 点数順
八月の狂詩曲(1991/日) | 道場六三郎が作ったボンカレーみたい。何となく有難い気がする半面、彼にそんなものを作らせてどうするんだという虚しさ。子供たちの、道徳の教科書に出てきそうなお利口さん振りや、人物の類型性が、下手という以上に不気味にさえ感じられる。 [review] | [投票(4)] | |
デスペラード(1995/コロンビア) | 確かに『エル・マリアッチ』では予算の都合で我慢していた諸々を一気に炸裂させた解放感はあるが、ハングリーさ、哀愁、ユーモア、埃っぽく乾いた空気感、これらは多分に損なわれている。痩せた狼が、良い餌を食ったシェパードになった観。 [review] | [投票(4)] | |
嫌われ松子の一生(2006/日) | ゴミおばさん松子の穢れた一生が、或る視点から見つめ直すことで、女神のように燦然と輝きだす瞬間は素晴らしい。顔が出てきただけで瞬間的にキャラが理解できるキャスティングも見事。だが、中谷と中島の組み合わせは不幸だった。 [review] | [投票(4)] | |
共喰い(2013/日) | いったい時代に何周遅れしているのか計算不能なほどに古い、いや、死んで干からびた内容。釣竿や鰻が男根の暗喩(もはや暗喩と呼ぶのも恥ずかしい)という安易さや、今さら父権批判という古さ以上に、昭和天皇批判を戦争絡めて唐突に挿し込む接ぎ木感よ。 [review] | [投票(3)] | |
ヘルタースケルター(2012/日) | 無駄なシーンが多すぎる。Helter Skelter(大慌ての混乱、狼狽、右往左往)どころか、ダレる。的確なカットを的確に重ねるという「演出」の意識が素人レベル。タイトルには「デタラメの出まかせ」の意味もあるが、ヒロインの整形よりは監督にこそ相応しい。 [review] | [投票(3)] | |
グリーンホーネット(2011/米) | 意外に気の利いた台詞の応酬があるのがアメリカ映画らしい愉しさだが、やはり、あのいかにもインドア派で、稚気と理知が売りのミシェル・ゴンドリーにアクションは合わない様子。またあまりに主人公がクソ野郎であり、敵があまりに小粒。 [review] | [投票(3)] | |
オーケストラ!(2009/仏) | 善良さが滲み出ているとはいえ、まったく姑息な作劇だ。団員たちは皆、音楽よりも大事なことがあるようだし、演奏の成否も人間ドラマに従属している。人間が音楽に奉仕すべきなのであって、その逆は許し難い。物語の歯車に堕した音楽。 [review] | [投票(3)] | |
パコと魔法の絵本(2008/日) | 画面から溢れ出て目に沁みるような濃ゆい色彩も、その下品さも含めて面白くはある。安直な泣かせ演出も、前半はそのストレートさに或る程度はのせられて、感動も出来る。だが、演劇シーンは半ばヤケクソ的な力業で、何より結末がちょっと「許せない」。 [review] | [投票(3)] | |
約三十の嘘(2004/日) | 劇中の「何より人選が大事」という台詞を聞いた瞬間に感じた「舞台はミスキャストで一杯」。開始からタイトルバックまでの演出ぶりから、小粋な犯罪物を目指した意図は感じたが、「センスいいだろう」的アピールが寒い。 [review] | [投票(3)] | |
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序(2007/日) | 凝った緻密な描写。CGフル稼働。描く「手」の存在感が退き気味の絵の無機質さ。幾つかの個所では「押井守の映画かこれは」と思わされる。画面はゴージャスになりはしたが、肝心のエヴァ特有のエモーションが希薄化。 [review] | [投票(3)] | |
醜聞(1950/日) | 志村演じる弁護士は誠実に描かれているが、作品が取り上げた問題に対して全く責任を持って描こうとしていないような不誠実さ満載。 [review] | [投票(3)] | |
夜のピクニック(2006/日) | 移動撮影は別称‘トラヴェリング’とも呼ばれるが、全校生徒が二十四時間かけて同じ道を歩き続ける、という大移動の中で展開される物語というのは、その絶好の被写体ではないか。と思いきや、 [review] | [投票(3)] | |
蜘蛛巣城(1957/日) | 鷲津(三船敏郎)の演技は演劇調の大芝居、その妻・浅茅(山田五十鈴)は能の如く静謐で精妙な演技。沸騰する怒鳴り声と、細く冷たく震える声。床をドカドカと踏む足音と、神経に触れる衣擦れの音。対照的な二人の対話を軸に据えた構成は面白いが…。 [review] | [投票(3)] | |
生きものの記録(1955/日) | 妄想ではなく、感受性の問題としての、強迫観念。 [review] | [投票(3)] | |
ライムライト(1952/米) | 出来れば大きなスクリーンで、なるべく大勢で観るのが理想。人生の終盤を迎えたチャップリンが、自らの人生の総括、或いは最後に一花咲かせて去る為に、己の芸人人生を賭けた勝負を観客に対して挑んでいる事への礼儀として、可能な限りそうするのがフェア。 [review] | [投票(3)] | |
TIME タイム(2011/米) | その特異な設定は、「time is money」の諺から逆算したような寓話性にほぼ回収されてしまい、「ちょっと社会派な犯罪物」という既視感ありすぎな物語の枠を凡庸になぞるのみで、退屈すぎるし勿体ない。 [review] | [投票(2)] | |
メランコリア(2011/デンマーク=スウェーデン=仏=独) | 琥珀色の灯りのもと、広漠たるゴルフ場に漂う終末感。天から降るものが告げる世界崩壊と、天に呼応する魂のような青い電流。世界を侵すメランコリアの青い光を浴びて(花嫁衣裳の「白」から青へ)、終焉の美と一つになるキルスティン・ダンスト。 [review] | [投票(2)] | |
バトルシップ(2012/米) | 紋切り型をツギハギしたバカ映画の筈でいながらも、一応は「戦術」の概念が踏まえられた戦闘シーン。更には、中国や日本の扱い、侵略者の性格的造型に見られる「敵/味方」概念の陰影。ミズーリという艦の意味を理解した上で観るべし。 [review] | [投票(2)] | |
カサノバ(1976/伊) | 性豪としての実力のほどを、覗き見という、映画的な欲望の許に晒すカサノバ。彼の性交のBGMを奏でるのがオルゴール=機械仕掛けというのがまた映画の暗喩を思わせる。彼の最後の愛人は、紛れもない真の愛人ということだろう。 [review] | [投票(2)] | |
ボディ・ダブル(1984/米) | 『めまい』や『裏窓』の児戯的な模倣、敢えて安っぽさを狙ったような造り、乱痴気シーンの無駄にカッコイイ挿入曲、主人公とヒロインの貧相さ、全てはまぁご愛嬌。だがサスペンス演出を放棄したようなカットのいい加減さは許せん。 [review] | [投票(2)] |