[コメント] デビルマン(2004/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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デーモンの存在感が空気の様に希薄だとか、人間が疑心暗鬼に陥って、無差別殺戮を始めるきっかけがしっかり描かれていないとか、ストーリーがなんだか全般にわたってピンボケ状態とかはあるが、私がとにかく信じられなかったのは、製作陣の想像力の圧倒的な欠如です。頭と神経をフル回転させてこの作品が演出されたとはとても思えない。
明が初めてデビルマンに変貌した時の「俺、デーモン(デビルマン?)になっちゃった・・・。」という失笑必至のセリフ(次の「ハッピーバースデー、デビルマン!」にもびびったが)。彼はクリスマスパーティーで無理からデビルマンの格好をさせられたわけじゃない!!
明は自分と全く異形のものである「悪魔」という忌むべき存在に、無理やり変身させられたんです。もっと激しい感情の発露があってしかるべき。
「何でこんな姿にしやがったー!!」と絶叫して了に八つ当たり気味に殴りかかるとか、周りのものを手当たり次第に破壊するとか、もしくは地面に大の字にひっくり返って狂ったように笑い続けたあとに涙を一粒流すとか。
「こんな目にあったら心に葛藤の津波が押し寄せて来そう」とか考えられなかったのかな・・・。
自分を実子のように可愛がってくれた牧村さん一家の無残な姿を見たときの「あー、あー、あああー。」という芸のないセリフ。他の場面でもしょっちゅう使われているが、明はこれしか語彙がないのか? 物語の語り部である監督と脚本家が失語症&運動麻痺状態になってどうするのだ。
おばさんの遺体を思いっきり抱きしめて血を拭いてやれ! おじさんのお腹に刺さっている包丁を抜いて、目を閉じて横たえてやれ! 美樹の首を発見したらゆっくりと近寄って、じっくりと確認したあと、やおら窓を突き破って外に飛び出して「美樹イィィィィー!!」と絶叫しろ! 地面を転げまわれ!
「自分の大切な人がこんな姿になっていたらどんな行動を取るか」とか、頭の片隅にでも思い浮かばなかったのかしら?
怒りというより、観ていてとっても悲しい気分になりました。もうこの監督&脚本家コンビには映画を撮らせてはいけないと思いました。
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