[コメント] パッチギ!(2004/日)
そうか、レオポンですか。豹を父に持ちライオンを母とする世界初の珍獣レオポン。60年代、西宮の阪神パークで子供の人気を集め、大人たちからも愛されたレオ吉とポン子。なるほど融和の象徴ですか。全編に散りばめられた当時を知る者にしか分からない小ネタとギャグの中から、さりげなく焦点があてられていくレオポン。しかし井筒さんコレ、若い人や関西育ち以外の人には分からへんのとちゃうかなぁ?
『GO』では在日三世世代のクルパー(窪塚洋介)が、二世世代の父親(山崎努)と日本の関係を「ダッセー」の一言で総括していました。当時、「GO」を見て関心を持ち原作まで読んだ私の娘から、在日と日本人の歴史についてあれこれ質問されました。なんと彼女は在日韓国・朝鮮人の歴史はおろか、その存在すら知りませんでした。それは彼女にとって始めて聞く事実であり、正に理不尽でダサイ話だったようです。当然、韓国・朝鮮人に対する差別意識などあるはずがありません。こうして問題は時間の中で薄れ、いつしか両国人のわだかまりも解消していくものなのかな、という淡い期待を持ったものです。但し、「知らない、知らせない」ということが、差別され冷遇された人々にとって望ましい問題の解決方法なのか正直なところ分からず複雑な心境だったことも事実です。
私とほぼ同世代の井筒さんは、改めて正面からこの問題を提示されました。差別し、あるいはそれを傍観した世代にとって避けて通れない正直な心情だと思います。たとえ、ダサイと言われようと、寝た子を起こすなと批判されようと、私達の世代が過去に何をしてきたのか、してこなかったのかをはっきりと示し若い人たちに伝えていく責任が、私達にはあると思います。ただそれが、新たな差別や逆差別を生まないことを心から願います。それには若い世代を信じるしかありません。そして、私は信じたいと思っています。
「パッチギ」ではなく「パチキ」。同じ関西でも私の育った地域ではそう呼ばれていました。パチキくらうと額は割れるは、鼻血は止まらないはで、そりゃ悲惨でした。「チョーセンの奴ら、河原の石でデコ鍛えてねんで」そんな話がまことしやかに囁かれてましてた。彼らの「なんじゃい〜!ワレ!パチキ入れたろか!」の恫喝には心底ビビリました。今ごろ、あのS君どないしてるかなぁ・・・。アンソン(高岡蒼佑)達を見ていて、そんなことを思い出しました。
井筒さん、素敵な映画でしたよ。
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