[コメント] 運命じゃない人(2004/日)
タイムシフトは、活劇や心理描写とならぶ映画の醍醐味のひとつだが、ここまで緻密かつスマートに時間と空間と人間の関係を手玉にとって観客を楽しませてくれる作品は珍しい。嫌味がなく上品で、軽やかで暖かい。こういう映画こそ一級の娯楽と呼ぶに相応しい。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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キャラクターも全員魅力的で、それを映画ずれしていない役者さんたちが肩の力を抜いて好演しているのが実に楽しい。
■宮田(中村靖日)と神田(山中聡)の関係。中学時代から続く三十男の腐れ縁。まさに親友。これ、よく分かる。友情の核はやさしさなんですね。■一人で生きると強がってみても、ゼッタイ一人になんかなれない優柔不断女真紀(霧島れいか)。居ますねェ〜、私の周りにもこういう人。たくさん。■実に要領よく虚勢をはって、その上にあぐらをかく浅井(山下規介)。虚勢が揺らいだときのあわてぶり。頂点に居る奴って、みんなそうかも。■欲望の化身にして権謀術数の天才あゆみ(板谷由夏)。最後まで中途半端で終わらない魅力的な悪女でした。
今電話をかけてきた友人の知り合いが、さっき電車で隣り合わせた人が、ひょっとしたらどこかで自分とつながっているかも知れない。自分が今、喜んでいるのは、さっき悲しんでいたのは、実はまったく知らない他人のせいだったのかも知れない。そんな日常のダイナミズムを感じさせてくれる楽しい映画でした。
そして、何よりも内田けんじ監督という若く非凡な才能と出会えたのが嬉しくてたまりません。これだらか、映画館通いはやめられないのです。
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