[コメント] アラバマ物語(1962/米)
少女の鼻唄。おもちゃ入りの箱。クレヨンで描かれた鳥。チッチッチッと音を鳴らす時計。転がるビー玉。二つのビー玉のカチリという衝突音とともに弾けるバーンスタインの音楽。映像と音が重なり合って成し得た魔法のオープニングに、映画としての喜びが集約されている。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
原作があまりにも有名で、脚本もほぼ原作に忠実なため、比べられることの多い作品だが、オープニングのタイトルロールや、スカウトとブーが出会う時のお互いの微妙な表情の変化等、これは立派な「映画」。
この映画で描かれる一年間の経験で、最も成長したであろう10歳の兄の視点ではなく、ほとんど意味がわからなかったであろう6歳の妹の視点から語らせているところが良い。裁判を、疲れた目で、おそらくはあまり中身も判らず、しかし父の姿と裁判所の異様な熱気に、眠りに落ちることなく見つめるスカウト。森の中で兄が襲撃され、ブーに救出されるのを着ぐるみの中から困惑して見る彼女。ブーとの初対面で、(おそらくは自分にも何だか判らないような)何かを感じて微笑む彼女。少女の描き方が6歳という年齢に正直だ。
子供の頃の経験は、すぐには意味を見出せなくても、また、後々振り返ることが無くとも、知らぬ間に自分の血や肉となる。そんな当たり前のことを思い返す映画。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (13 人) | [*] [*] [*] [*] [*] [*] [*] [*] [*] [*] [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。