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[コメント] 大脱走(1963/米)

脱出劇というよりも「スパイ大作戦」的なミッション物の感が強い前半。真の脱出劇は後半の逃走にこそある。チームプレイから個人技へ移るからこそ、オールスターキャストの意味もある。
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







恥ずかしながら今日ここに至るまで観ていなかった超有名作品。今は死んでる機能の「あなたにおすすめ」で必ずトップに推奨されまくっていた。で、今回40周年記念ニュープリントでスクリーンで鑑賞できたことに感謝。

マックイーンのバイクシーンが有名だが(そしてそれが面白いのも充分承知だが)、何より興味深かったのは、陸・海・空あらゆる手段を講じて逃走しようとする後半。 実は収容所なんてのはちっぽけな囲いに過ぎなくて、その先には巨大な釈迦の手が待っている(物理的な意味だけではなく、人情味ある所長の下の空軍収容所から逃れた先に非道なゲシュタポが待っているという意味合いも含めて)。

アメリカ制作の第二次大戦物は、戦勝国の余裕からか、ナチという絶対的な悪の存在があったせいか、ゲーム感覚のお気楽ムードが漂っていてどうも好きになれなかった(アメリカ映画が本気で戦争を反省し始めるのはベトナム以降である)。

ところがこの映画はそれを逆手にとっている。

本当に彼らはゲーム感覚なのだ。「捕まってもまた逃げ出してやるぜ。」初日がそれを物語っている。 だが、現実に収容所を抜け出してから生死を掛けた逃走劇が始まる。ゲームからリアルな「戦争」への移行。チームプレイから個人技へのシフト。しかし悲しいかな、粋でいなせな空軍のパイロット達だから、泥沼の陸上戦を体験していない。そしてゲームの終わりは50人の訃報と所長の更迭。

果たして彼らはまた「ゲーム」を繰り返すだろうか? おそらくマックイーンはやるだろう。だが他の者達はどうか?多数の仲間の死というゲームセットを見て、果たしてまたプレイしたいと思うだろうか?

ところで、収容所物でも監獄物でもいつも思うのだが、調達屋ってどうやって調達してるんだろう?

(評価:★4)

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