[コメント] ロード・オブ・ザ・リング(2001/米=ニュージーランド)
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原作「指輪物語」に関しては特に思い入れがあるわけでもないが、それよりも劇場での予告編での映像の壮大さや評価の高さからかなり期待を高めて見ました。この映画は壮大な原作本が存在する中、さらにはこの物語は3部作でまだこれから続きがあるということが予め分かっている。その中で原作に劣らない完成度に仕上げつつ、後の物語の伏線で終わるのだけでなく、1本の映画としてどう完成させるのか、また2時間58分という本編の長さ、などと懸念する箇所もあるだろうと思っていた。ところが、見終わった後素直にこう思った。・・・完璧だろう。
まず、「指輪物語」を読もうとする人々は、かなり詳しく書かれた導入部の長さのために断念する人もいると聞いた。しかし、映画の中では導入部をケイト・ブランシェットの語りと圧倒的な映像で一気に見せきり、そこから見る側をその世界に引き込むことに成功している。その後は、時間など全く感じさせない程の魅力だ。ニュージーランドロケによる広大な自然の土地、圧倒的なCG技術、登場人物達、そしてストーリーどれをとっても文句無しの出来だ。ニュージーランドはミドルアース、そして壮大な物語にピッタリの土地だろう。空撮から広大な大地を写すシーンを見ると素晴らしい情景だ。CG技術はこれがなしにはこの映画はあり得ないくらいだ。どの映像をとっても迫力満点だし、ロケ地ニュージーランドと共に映画の世界に完全にのめり込める要因になっている。登場人物も魅力的すぎる。どの登場人物も記憶に残る。どの俳優をとっても良い演技をしている。アカデミー賞にはイアン・マッケランのみのノミネートだが、イライジャ・ウッド、ヴィゴ・モーテンセン、ショーン・アスティン、ショーン・ビーン・・・挙げたらキリがない程、みんな良いと思った。物語を見る上でキャラクターの良さはやはり大きい。個人的にはアラゴルン役のヴィゴ・モーテンセンがかっこ良くて好きでした。若手の注目株、オーランド・ブルームはあの顔を見ると、この映画で完全にブレイクでしょう。また、ピーター・ジャクソンは元々スプラッタを撮っていた監督だけに、オークのビジュアルなどはその経験が現れていて、恐怖ある敵になっていると思った。そしてストーリーの良さ。原作にファンが多いのからも伺えるように、文句無しに面白い。この映画だけ見ても、アドベンチャーとして目が離せず興奮させられ、しっかりした人間ドラマとしても仕上がっている。付け入る隙を与えない面白さだ。
そして上にも懸念していたと書いた締めくくり方だが、これが本当に素晴らしい。物語としては完結はしていないので、中途半端と感じる人もいるかもしれないが、次作への期待を最大限に高めつつ、映画としてしっかり完結させている完璧なラストと言えると自分は思う。ガンダルフは自分を犠牲にみんなの命を救う。ピピンとメリーは指輪を持つフロドを庇い、オークに対しフロドの囮として立ち向かう。指輪を狙ったボロミアは過ちに気付き、ピピンとメリーを守ろうと必死に戦う。フロドとサム、アラゴルン達、さらわれたピピンとメリー、と旅の仲間たちがバラバラになってしまうが、その際アラゴルンは言う、"まだ友情がある。ピピンとメリーを助けに行こう!"。二人で先に進んだフロドはサムに対し言う、"君に会えて良かった。"。と、どれを見ても"友情"が滲み出て伝わってくるのだ。彼ら全員の行動が本当にカッコイイ。これを見ていると、心から感動させられた。個人的に、こういった友情物語は好きだし、心に響きます。第1部は"旅の仲間"と副題があるように、これは仲間達の友情を軸とした壮大な人間ドラマだ。人間ドラマとして感動的に完結している。1本の映画としてしっかり完成されているところを見ると、アカデミーなど評価されているのも納得だ。"友情"を感じさせるエピソードのひとつであるボロミアのくだりのエピソードなどは原作では第2部"二つの塔"の冒頭のエピソードのようだが、それを巧く盛り込んでいる脚色の巧さも感じる。そして、まだこれから・・・とも感じさせる。後の展開への伏線となりつつ、素晴らしい形で締めくくったと思う。
原作本も読んでみたくなった。2作目が楽しみだ。
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