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[コメント] 友へ チング(2001/韓国)

15年前、後にやくざになる友を持つ私は、サンテクとジュンホを足して2で割ったような存在だった。失なわれつつある真の友情を描いた傑作だと思う。※注意※ソウルで食べるキムチのように熱く臭い作品でもあります。
スパルタのキツネ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







<<回想>>

 15年前、私の友人に中学生ながら暴走族の一員で教師からも札付きの悪とされていたやつ(注:幾分よそよそしいですが”やつ”と表記します)がいた。今思うと、普通の家庭で育ち、運動と物作り、それに人の注目を浴びることが好きだった私とやつとの共通点は全く無かったと思う。しかし、不思議なことに仲が良かった。

 私はやつに勉強を教え、やつは(一回だけ)私に万●きを教えてくれた。

 やつの仲間が捕まったとき、やつを含め万●き仲間はいもづる式に指導室に呼び出された。それぞれが体罰を受け、みんな丸刈りにされた。しかし、私の名は最後まで出なかった。(このとき私の名前があがっていたら、今の自分はなかったかもしれない。感謝などという言葉は当てはまらない。あの時は複雑な心境だった。)

 中学卒業後、私は普通科の高校へ進んだが、やつは進路が決まらぬままだった。

 約半年後、駅でばったり出会い、「俺、やくざになったから。」との報告を受けた。

 (それ以来、関東に出た私とは、音信不通のまま今に至る。)

 20歳になったとき、実家から成人式の写真が送られてきた。中央にどっしりと構えるやつがいた。この写真をみたときの私の正直な感想は、<<行かなくて良かった>>であった。

 本作鑑賞中、以上の思い出が頭から離れなかった。

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 「お前なんか、やくざのくせに!」

本作の居酒屋におけるこのシーンに私は息を飲んだ。サンテクは酔いつつも自分の言ったことをはっきり認識していたようであったし、ジュンソクは変わらぬ友に喜んでいた。

 画に描いたような一般庶民のジュンホも、最後までやくざのジュンソクの為に動いていた。

 私にはできないと思った。サンテクにもジュンホにも遠く及ばない小さな自分を感じた。そして、今の生活が精一杯で、過去と故郷を犠牲にしている自分に気が付いた。

 今、もし成人式のような集まりがもう一度あったら…。

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 韓国・朝鮮語(注1)でチングは友を意味する。由来は本編にも有ったように”親旧”。 由来であって現在のチングの意味ではない。

 言葉の意味は時とともに移りゆくが、友は変わらぬものであってほしい、との作者のメッセージを感じた。

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(注1)韓国語の表記を韓国・朝鮮語に訂正しました。'02.05.05

(評価:★5)

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