[コメント] ターミネーター3(2003/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
私はアーノルド・シュワルツェネッガーの熱狂的ファンである。彼の出演作品は全てビデオを保管して、時折ニヤニヤしながらケースを拭いてみたりしている(怪)。当然パンフも全部揃えた。どんな小さな記事も切り抜いてファイルしている。彼の著書、関連書、またあらゆる資料を収集するのが私の生きがいとなっている。日本国内未発売のものでも海外から買ってしまう。ここまでいくと「シュワマニア」もしくは「シュワオタク」と呼ばれてしまいそうだ。事実そうかもしれない。そのうち「シュワルツネッガーの全て」などというカンチガイした本を出版しかねない自分が怖い。
そんな私であるが、今回の『ターミネーター3』がとうとう制作されるというニュースを聞いた時は、本当にショックだった。頼むからやめてくれと心から願った。 そして映画は完成し、私は山のような不安を抱えながら観に行った。
しかし、私が一番恐れていた不安は回避された。それは、今回はターミネーター同士の無機質なアクション映画で、前作・前々作の持つヒューマンドラマ要素は無くなってしまうのではないかという不安だったが、予想外に今作も前作に負けないくらい、ジョンを中心にしたヒューマンドラマ要素が強く仕上がったことは、嬉しい誤算であった。
また、CGに頼りすぎず、アクションに頼りすぎずの構成も気に入った。
そしてクレア・デーンズの好演が素晴らしい!ニック・スタールもそれに巧く応えて、グングン引きこまれてゆく。
・・・だが・・・
この作品は、前作と、恐らく作られるであろう次回作の「つなぎ」でしかないという印象を持った。
「つなぎ」でしかない映画、単体では説明不足な映画というのは、私の中では映画としての魅力を失っている。
そして、前作と次作の辻褄合わせをするかのように、シュワターミネーターは水先案内人の如く、ジョンとケイトにベラベラと説明を繰り返す。私の愛したターミネーターはこんなんじゃないやい!!
そして、ターミネーターT-Xだが。
女ターミネーター、史上最強とガンガン宣伝していたわりに、インパクトが薄い。演技派若手俳優が揃う中、一人浮いていた感がある。
勿論ターミネーターは機械だから、無表情で台詞は無く、無機質でいいのだが、同じ「無機質なターミネーター」である前作のロバート・パトリックとは比べ物にならない。彼には「眼の演技」があった。台詞は無くとも、眼だけで物凄い存在感を出し、眼だけで演技をしていた。しかし、クリスタナ・ローケンにはそれが無い。少なくとも私には、彼女が「無機質な芝居」をしているようには見えなかった。
クレア・デーンズがあまりにも巧すぎるから、ローケンの影が薄れたというのもあると思う。 それまでのいい雰囲気が、彼女が登場した途端に一転してマンガチックになってしまい、映画そのものがチャチくなってしまった印象を受けた。
女ターミネーターだから、無機質な絶世の若い美女でいいのだが、個人的にはT-X役を、30代くらいの存在感と迫力と凄みのある女性にしたらもっとリアリティが出たのではないかと思った。前作のリンダ・ハミルトンが絶世の美女ではないけれど、物凄い迫力があったように。
最後にもうひとつ。
この映画、タイアップがクドすぎる!!
いかにも金をかけてます、超大作にするためにあちこちで宣伝しまくります、というのはもうわかった。それを映画本編に持ってくるな!!
ケイトの車のTOYOTAの四駆、不自然なくらい頑丈なこって。ダンドラのCMならヨソでやってくれ!!
砂漠の中のコンビニampm。画面いっぱいに看板が大映しになった途端、哀しくなった。いくら世界中あちこちにコンビニが存在するにしても、あの大映しはあんまりだ。欲を言えば、砂漠のスタンドにあるお店って、寂れた食料品店や古臭い軽食屋であって欲しかったなあ・・・。
さて、続編が作られそうなラストだった。というか間違いなく作られるだろう。もう、タイトルから『ターミネーター』は外して下さいませんか・・・?
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