[コメント] 猟奇的な彼女(2001/韓国)
映画を見終った人むけのレビューです。
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タイム・カプセルは『イルマーレ』のポストをなんとなく思い出させるし、自作の脚本から妄想シーンに入るクダリは『美術館の隣の動物園』あたりへの目くばせかな。「ハン・ソッキュとシム・ウナ使えば売れる」なんてセリフも飛び出したりもするし、最後はしっかり「韓国人の大好きな」切ないラブ・ストーリーを持ってくるあたり・・・(笑)
エピソードも詰めまくりだけど、日本でもなじみのある韓国映画のエッセンスのごった煮、とも言える。とはいえ、旺盛なサービス精神とベタな笑いは、どちらかと言うと香港映画のノリに近いような。いや、結構楽しいですよ、コレ。
個人的にやや不満だったのは、「女の子が暴力!?」みたいな興味でこちら側をひきつけときながら、「暴力的な女の子」という設定にイマイチ説得力がないこと。恋人との死別という辛い経験から、新しい恋への一歩をうまく踏み出せない女の子。そして「自分でもどうしていいなか分からない」という混乱、苛立ちが「暴力」というカタチに結びつく。この図式は分かる。でも「攻撃的」にはなっても「暴力的」にはなるかなぁ、と。
ただ女の子の内面の弱さと、男の子の内面のタフさが、外側が逆転してることでよりくっきりと浮かび上がっている感じはオモシロイ。でも、それだからこそ、「この女の子に勇気付けられる」なんて巷でたまに耳にする意見には首を傾げてしまう。だって、これは実は傷付きやすい繊細な女の子の話なんだから。
チョン・ジヒョンの魅力もさることながら、キョヌのキャラが、この映画のなんとも憎めないテイストに大きく貢献しているようで。この映画で一番好きなのは、彼女の見合い相手にキョヌが忠告するクダリの中の「痛くなくても、痛いフリをしろ」という言葉。この一言で映画の中の暴力から後味の悪さはほとんど払拭されるし、ことごとく振り回されているように見えて、実はしっかり彼女を包み込んでいたこともよく分かる。女の子みたいに育てられたとはいえ、いやはや彼は立派に男の子デス。[3.5点]
(2003/4/1)
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