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けにろんさんのコメント: 投票数順

★3狂わせたいの(1997/日)リンダみちよの70年代歌謡に郷愁を感じたかったのだが刑務所の面会所での「他人の関係」だけが強烈に画面とフィットしただけで、あとはどうも何か違う感じだ。寺山の暗部とフェリーニの陰部を足し廉価に俗で割った挙句に内向している。[投票]
★3担え銃(1918/米)後の『独裁者』で巨視的・複層的な展開を見せる題材としての戦争だが、芸としてのギャグが豊富ではあるにしても手放しでは笑い切れない。傍観者的ポジションでのアプローチであって未だ怒りの萌芽は無いのだ。当然サディスティックでもなくペーソスも無い。[投票]
★5ラヂオの時間(1997/日)テキトーの屋上にいいかげんの屋を架す連鎖がこれ程までに米スクリューボールコメディのスパイラルテイストに迫り得た事に驚愕。情に棹さすかに見えて驚くほど乾いてもいる。豊富な小ネタの冴えもあるが匂いを纏う井上順布施明の仕込みが効いてる。[投票]
★3クローン(2001/米)それなりのビジュアルは見せるものの、こういう未来絵図は『ブレードランナー』以降正直言って食傷気味。主人公と妻や親友やスラムの人々達との関わりが全てもう1歩描き足りないので思うほど盛り上がらないしラストの感銘も弱い。もう少し浪花節でもいい。[投票]
★3グッバイガール(1977/米)メイスンカミングス母娘にまつわる話は素晴らしいし愛おしいとも思える。両者の演技はキュートそのものだ。だが一方でドレイファスの奇矯なキャラクターが何とも鬱陶しい。作り込みすぎだろう。もっとストレートに愛の歌を紡いで欲しかった。[投票]
★3ブロークン・アロー(1996/米)鈍重な役者たちと辟易するCGの汚濁にまみれて香港の鬼才はハリウッドの大量生産公式に飲み込まれてしまった。最早どこにでも転がってる凡百のアクションのひとつにしか過ぎない。それだけに申し訳程度に見せるジョン・ウーの印の片鱗がかえって侘しい。[投票]
★3モンスターズ・インク(2001/米)余りに単調で毒の無い40年代的ハートウォーミングコメディを2001年にそのまま出してきた時代錯誤な能天気に鼻白む。「ふさふさ」で「ぷよぷよ」した可愛いモンスターと言葉が覚束ない子供のキャラクターはマーケットを意識したマニュアル的うんざり感。[投票]
★2グリマーマン(1996/米)私はセガールは好きです。大阪十三に住んでたと聞いただけで親近感がわきます。どこにでも転がってる単なる女好きのおっさんなのに、何故か本人は世界で一番グレートと思い込んでるような勘違い振りが堪りません。でも、この映画は最低につまらないです。[投票]
★3トゥームレイダー(2001/米)このアクションは安全地帯に居て決めポーズだけ悦に入ってやってる感が拭えない。洒落臭いことこの上ない。もっと泥にまみれて地を這ってみろと言いたい。又、男勝りにクールで強いくせに乙女チックに親爺の命日に浸ったりするのが表層的でプロトタイプ過ぎ。[投票]
★4クライング・ゲーム(1992/英)表通りを歩けないから裏を歩いて片隅で生きる。そういう感じが巧く出てる。スティーブン・レイの情けなく冴えない風情がこれ又その状況を体現してどんぴしゃのニュアンス。そして唯一無二とも言えるジェイ・デビッドソンの存在が涅槃道に輪をかける。[投票]
★3007/ゴールデンアイ(1995/米)ムーアダルトンと下降線まっしぐらのシリーズが世につれ遂げた遅ればせながらの変革。あくまで追随者としてだが。飄々と軽やかに役こなすブロスナンにボンド役のステイタスが喪失した時代を感じ寂しい。ファムケのヴァンプなエロスは良い。[投票]
★3軽蔑(1963/仏)醒めた視線は良いのだが、バルドーが夫をそんなに愛してるようにも見えなげで基本設定が成り立たず上滑る。本質下世話な主筋に付加されたバックステージもの映画へのオマージュも陳腐そのもの。特にラングの映画中映画は余りな抽象化の芸無さに幻滅。[投票]
★4ガンシャイ(2000/米)正直余り巧い演出とは思わないが変な映画であることは確か。大体おならとか腹下しとか幼児的な下ネタにこれほど拘るハリウッド映画って見たことないよ。伏線の無い強引なラストにも何故か腹立たない。人生を肯定的に捉えようとする前向きセラピー映画だから。[投票]
★4忠臣蔵外伝四谷怪談(1994/日)忠臣蔵』にせよ『四谷怪談』にせよ大概にして欲しいという何の新鮮味もない題材を合体させると言う臆面の無さが素晴らしいと言えば素晴らしい。深作にしか出来ぬ芸当。そのいったらんかいの混沌から佐藤浩市の何とも言えぬ虚無的風情が表出する。[投票]
★5裸足のピクニック(1993/日)悪魔に魅入られたかのような道行の、逸脱の鶴瓶打ち展開の予測のつかなさに於いて際立っている。少女が主役だが描写は荒削りで骨太い。ブラックでシュールなサブキャラが立ちまくって、クライマックスは、ほとんど悪夢の世界。まるでブニュエルのように。[投票]
★3男はつらいよ(1969/日)破壊的で荒ぶれる寅だからこそ失恋の痛みが本当に痛切。それは恋愛に関してプラトニックであることと表裏なのだ。終盤の駅の安食堂での別れに滲み出る兄妹愛がそくそくと心に染み透る。粗相やっちまったら去るのみ。妹はそんな兄を赦す。荒削りな全ての原型。[投票]
★4インティマシー 親密(2000/スペイン=英=独=仏)どんなに格好つけたって根のとこでは男ってのは純なモノなのさって肯定が良い。ハードなSEX描写もリアリティがあり見せるが結局は終盤の着衣での結合にこめられた通いあう心の素晴らしさが泣かせる古典的骨格。冬のロンドンロケも冴え、主演2人は最高。[投票]
★3叫びとささやき(1972/スウェーデン)モノクロームの表現主義に傾倒してきた映像作家が虚飾を脱いで彩色世界で曝け出した女性観が血の色だというのが生々しくキツい。手法の変化という以上にベルイマンの内なるミソジニーが全開された転換点。だが先鋭的な神秘主義が後退したのが物足りない。[投票]
★4エネミー・ライン(2001/米)斬新さ無いキャラと設定とストーリーだが可視界100%の山嶺や不穏な廃工場や崩壊した町等の風景が卓越したロケハン力とでも言うべき良さ。破壊された女神像が地獄の始まりを予感させる秀逸さがとりわけ冴えてる。演出センスがワンランク映画を押し上げた。[投票]
★4髪結いの亭主(1990/仏)時間的な頃合いといい出来良い短篇小説の趣があり映画としてのバランスはパーフェクトなものだが、完璧すぎてあまりに夾雑物がなくこれでええのかと戸惑う。幾つもの謎は放置されたまま踊るしかないのかと煙に巻かれるドラッギーな西洋版狐の嫁入りな幻視譚。[投票]